激辛ラーメンの悲劇…しびれる辛さで激しい腹痛と下痢症状が!
久しぶりに辛いものを食べたらお腹がシクシクと痛くなった。辛いものを食べるといつもお腹を壊して下痢をしてしまう……。
こうした「辛いものを食べた後の腹痛」に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
このような自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。
今回は「辛いものを食べた後の腹痛」をテーマに、薬剤師の中田早苗先生にお話を伺ってみました。
目次
激辛ランチで腹痛が…お腹から肛門まで突き抜ける熱感にびっくり!
菜津美さん(34歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。
先日、同僚と一緒にランチに行ったのですが、そのときにまさかの事態が起きたんです。
その日は肌寒く、冷え性な私は寒くて寒くて! すっかり体が冷え切り凍えていた私を見た同僚が「こんな寒い日はラーメンに限るよね!この近くにすごく美味しいラーメン屋さんがあるから、そこに行って温まろう!」なんていうのでついて行ったんです。
そうしたらそのラーメン屋さん、激辛が売りで話題になっていた人気店で、激辛マニアが集うようなラーメン屋さんで……。
多少二の足を踏んでしまったものの、お昼休憩もなくなってしまうし、体が温まるならいいか、と思って店内へ。そこで、寒さはもちろん記憶まで吹き飛びそうになる程の思いっきり辛いラーメンを汗を吹き出しながら食べているうちに、なんだか体調に異変が……。
会社に戻ってしばらくした頃には、胃どころか腸やお尻の方まで熱くなり、熱いのか痛いのかしびれているのかわからない状態になり、とんでもない腹痛まで襲ってきたんです。
慌ててトイレに駆け込みましたが、すっかりお腹を壊してしまって。その後1週間経ちますが、いまだに辛いものや激辛専門店の看板を見ただけでゾッとします。
しばらくは辛いものは食べないつもりですが、いつかまた辛いものであんな症状に襲われたら、一体どうしたら良いのでしょうか?
ご質問ありがとうございます。
辛味成分の過剰な摂取は、辛味に不慣れな人や体質に合わない人にとっては思わぬ腹痛や胃痛、下痢などの症状を起こすことがあるため注意が必要です。
今回は、辛いものを食べた後の腹痛の原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。
辛いものを食べると腹痛が起こるのは「胃熱」が原因
辛いものを食べると腹痛が起こるのは、香辛料に含まれるカプサイシンという成分や、スパイスやハーブに含まれる薬効成分の過剰摂取によって胃腸の粘膜が刺激され、胃酸が過剰に分泌されてしまうことにより起こると考えられています。
特にカプサイシンには、交感神経を刺激して腸のぜん動運動を促す効果もあるため、摂りすぎによって腸の動きが過剰になり下痢を引き起こすことがあります。
また東洋医学では、辛いものの摂り過ぎによって「熱」が胃にこもり「胃熱(いねつ)」が生じることで「気(生命エネルギー)」が滞り、胃炎症状などを起こすと考えられています。
次の章では、このような「辛いものを食べた後の腹痛」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。
辛いものを食べた後の腹痛を緩和する対処法3選
1.安静にして痛みが落ち着くのを待つ
辛いものを食べた後はどうしても水分を取りたくなるものですが、ここで冷たいものを一気飲みしたり大量に飲んだりしてしまうと、胃を余計に刺激して腹痛を悪化させる原因になってしまいます。
辛いものを食べた後は、温かい白湯をゆっくり飲んだり、整腸剤や胃薬を飲むのも効果的です。
腹痛や胃痛が起きてしまった場合は、むやみに動きまわらず、まずは安静にしてお腹の痛みが落ち着くのを待ちましょう。
2.消化吸収の良い食べ物で胃を休める
辛いものの摂取によって腹痛を起こしてしまったら、しばらくは香辛料や刺激物を多く使ったメニューは控え、胃腸をしっかり休めて、機能を回復させるようにしましょう。
胃腸への負担が少ないおかゆや煮込みうどん、味噌汁、野菜スープや白身魚、半熟卵などがオススメです。
また、辛くなくても、消化吸収の悪いもの、例えば脂身の多い肉類やラーメン、玄米、海藻、生野菜や、胃腸に刺激を与えるコーヒーや甘い炭酸飲料、お酒類も控えるようにしましょう。
3.冷えとストレスを予防して体質改善を
カプサイシンなどの辛味成分を摂った後は、腸の運動が過剰になり過ぎて下痢をともなう腹痛を起こすことがあります。
そんなときは、まずはお腹を温めて腸の過剰な働きを落ち着かせることが大切です。暑い時期でもお腹は絶対冷やさず、横になって症状が落ち着くのを待ちましょう。
また、ストレスによる胃酸過多の状態で辛いものを食べると、さらに胃酸が多く分泌されて、痛みを悪化させてしまいます。
日常的に行う適切なストレスケアによって、適度な胃液の分泌を保って、ダメージを受けにくい胃腸に整えていきましょう。
根本的な体質改善には漢方薬が効果的!
辛いものを食べた後の腹痛を改善するために、市販薬や処方薬の服用などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、六君子湯(リックンシトウ)です。
冷えが強く胃腸の弱い方の体を温め、余分な「水(水分)」を取り除いて胃や腹部の痛みを改善する効果があります。
また辛いものを食べると体が熱を持ち、ほてるような症状やイライラ感を感じる方には、体内で不足した「血(血液)」や「水(水分)」を補って「血熱(けつねつ)」を冷ます効果のある黄芩湯(オウゴントウ)も良いでしょう。
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胃の粘膜を守り、過剰な胃酸の分泌を避けましょう
今回は、辛いものを食べた後の腹痛に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、日頃からストレスを溜めないようにすることを心がけて胃酸の分泌が過剰にならないような体質に改善することが大切です。
そして、こうした気になる腹痛の症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。
セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。