トイレに行くたび激痛が!繰り返す膀胱炎から卒業したい…

体験談

やたら何度もトイレに行きたくなる。尿が出ても残尿感や痛みがあってつらい…。
それは、もしかしたらプレ更年期(30〜40代)や更年期(40〜50代)に起こりがちな「膀胱炎」の症状かも!?

そんな、自分ではどうにもならない更年期の不調やつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「更年期の膀胱炎」をテーマに、薬剤師の中田早苗先生にお話を伺ってみました。

尿を絞り出すような痛み…つらい膀胱炎を解消するには?

洋子さん(51歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

私は昔からなんでも集中してやりすぎるクセがありまして、トイレに行くことすら忘れて没頭してしまうことも度々あるんです。そのせいか、膀胱炎には何度も悩まされてきました。
若いころは症状は軽いものでしたし、放っておいてもしばらくすると治ってしまうことが多くて、気にもとめていなかったんです。
ところが更年期に差し掛かってからというもの、尿を出すたびに絞り出すような痛みがあり、トイレに行くたびに激痛でうめいてしまうほど!
尿意を催して何度もトイレに行くのですが、行くたびに少量しか尿が出ないものですから落ち着かないことこの上ありません。
病院でもらった抗生物質を飲めばいったん症状は落ち着くものの、またしばらくすると膀胱に嫌な違和感を感じる、という繰り返しで、ほとほと疲れ果てています。
なんとかしてこの何度も繰り返す膀胱炎グセを解消してスッキリした暮らしをしたいのですが、何か根本的に解決するよい方法はないでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
一度快癒したように思っても何度も同じ症状を繰り返してしまうというのは、実は更年期の膀胱炎にはよくあることなんです。
今回は、更年期に起こる膀胱炎の原因や改善方法についてお伝えしていきましょう。

「ホルモンの変化」と「冷え」が更年期の膀胱炎の原因

膀胱炎とは、尿意の我慢や細菌感染により、尿をためる臓器である膀胱の粘膜に炎症が起こる病気です。
更年期の女性に膀胱炎の症状が多く見られるのは、急激なホルモンバランスの変化によって自律神経が乱れたり、疲労やストレスなどで免疫力が低下することで、細菌に感染しやすくなるためだと考えられています。
また、トイレでの拭き方や性行為、月経などで清潔な状態を保てないことでも感染することがあります。

また、東洋医学では、「腎」や膀胱が弱ると体力や免疫力が落ちやすくなり、膀胱炎や頻尿、風邪などの細菌感染によるさまざまな症状が起こりやすくなると考えられています。

次の章では、こうした更年期の膀胱炎に対する具体的な解決方法をお伝えしていきましょう。

更年期の膀胱炎に効く簡単セルフケア3選

1.こまめに給水し、トイレの回数を増やしましょう

膀胱炎になってしまったときには、普段以上に尿意を我慢しないように心がけましょう。
尿を排出することによって菌を洗い流すためには、水を多く摂り尿量を増やし、トイレに行く回数を増やすことが大切です。
バナナなど、カリウムの含まれた利尿作用のある食べ物を摂るのもよいでしょう。

また、体を冷やすことでも膀胱炎の症状が悪化してしまうため、水分を摂るときは常温か温めたものを飲むようにしてくださいね。

2.「腎」の働きをサポートする食材を摂りましょう

膀胱炎の症状を改善するには、東洋医学でいうところの「腎」の働きを補うことが大切です。
「腎」には、生命力や活力の源とされ、発育や成長、生殖機能やアンチエイジングのもととなる「精(せい)」が蓄えられおり、活力ある人生のためには、ここを弱らせないことが大事だと考えられています。
まずは、日常での食生活の中に「腎」の働きをサポートする食べ物を積極的に取り入れてみましょう。

◎「腎」の働きを補う食材
クルミ・黒ごま・プルーン・ブロッコリー・ぜんまい・ひじき・山芋・なまこ・黒豆・カシューナッツ・うなぎ・エビ・オクラ・ソラマメ・栗・黒キクラゲ・豚肉など

3.上手にストレス発散しましょう

ストレスや疲れを溜め込むのは、免疫力を低下させる大きな要因になります。
自律神経の乱れや免疫力の低下を避け、細菌感染を予防するためには、ストレスをうまく回避したり、解消したりすることが大事です。
自分なりのストレス発散法をみつけて実践したり、疲れを感じたらたっぷりと睡眠を取るなどしてストレスを溜め込まない工夫をしてみましょう。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

更年期の膀胱炎を改善するために、市販薬の使用やホルモン療法を受けるなどの選択肢に加えて、根本的な改善を目的とした漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方にオススメしたい漢方薬は、竜胆瀉肝湯(リュウウタンシャカントウ)です。
排尿時の痛みが強い方の炎症を鎮め、排尿を促して毒素の排泄をすることで膀胱炎の症状を改善する効果があります。
また、残尿感があり、頻尿の症状もある方には、膀胱の粘膜を保護しながら菌を排出してくれる効果のある猪苓湯(チョレイトウ)も良いでしょう。

日常生活の中でできることから始めましょう

今回は、更年期の膀胱炎に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
トイレを我慢したり、疲れやストレスを溜め込まないよう日常生活を送りながら、「腎」の働きを補う食生活を実践するように心がけてみてください。
また、膀胱炎などのさまざまな更年期症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。
セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。


中田早苗

あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師 中田 早苗 薬剤師。認定運動支援薬剤師。就実大学薬学部卒業。病院薬剤師として約7年間勤務後、漢方薬局で2年間勤務。ファスティングマイスターとして100名以上のファスティングをサポート。TiktokやInstagramでファスティング・美腸を普及する活動も行っている。

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