クサッ! 悪臭の原因はまさかの私…鼻から漂う不快な臭いの原因は?
なんだか臭いと思ったら自分の鼻の中から漂ってくる臭いだと気づきショックを受けた、鼻腔から嫌な臭いが漂ってきて一日中不快な気分になってしまう…。
30〜60代の幅広い世代の女性のなかには、こうした「鼻の臭さ」に悩んでいる方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。
今回は「鼻の臭さ」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。
目次
誰か助けて! 鼻風邪を放置したら鼻から口からとんでもない悪臭が!
綾子さん(43歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。
先日、珍しく鼻風邪をひいてしまったのですが、鼻づまりの症状がなかなか治らずに、呼吸をするたびに「スピー…スピー…」と音が鳴るぐらい鼻の通りが悪いのを放置していたんです。そうしたら、なんだか鼻の奥の方から悪臭がするようになってしまって…。
最初にこの悪臭を感じたのは、会社の会議室で何人かで作業をしていたときのこと。なんだか生ゴミか何かが腐ったような臭いがするので「誰か何か変なものでも持ち込んだ?」なんてキョロキョロしていたのですが、ふとした拍子にそれが自分の鼻から漂っている臭いだと気がつき唖然! 誰に指摘されたわけでもないけれど、自分の恥ずかしい勘違いに赤面してしまいました。
帰宅して鼻をかんだティッシの臭いをかいでみたら、やはりあの腐ったような臭いが…。鼻づまりのせいで常に口呼吸になってしまっていたので臭いに鈍感になっていたのもあるかもしれませんが、口からも鼻と同じようなあの臭いが漂っていると気がつき、大ショック!
今週末にでも耳鼻科に駆け込むつもりですが、この不快な鼻の臭いの原因や改善方法があればぜひ教えてください。
ご質問ありがとうございます。
鼻風邪による副鼻腔炎が悪化して鼻腔内で膿が発生してしまったのかもしれませんね。放置して炎症が慢性化することもあるため、なるべく早く対処することが大切です。
今回は鼻から悪臭がする原因や対処方法について詳しくお伝えしていきましょう。
炎症により副鼻腔に溜まった膿が鼻の悪臭の原因
鼻から嫌な匂いがする症状の原因の多くは、鼻の奥にある副鼻腔という空洞に溜まっている膿から放たれる悪臭であると考えられます。
こうした症状は、風邪や花粉、ストレスなどの影響やカビなどの真菌によって副鼻腔に起こった炎症部分に菌が繁殖し、膿が生じて起こるものです。
鼻腔内に膿が溜まった状態が慢性化し、炎症を繰り返す「慢性副鼻腔炎」を発症すると、頭痛や顔面痛、嗅覚障害等の症状だけでなく、放置すると髄膜炎などに進行して命にかかわることがあることもあります。
また口呼吸が増えて口が乾燥し、咽頭炎や口臭、虫歯や歯周病の原因になる場合もあるでしょう。そのため、早めに膿を除去することが必要になります。
鼻水や鼻づまりをともない、炎症が長引いている場合は耳鼻咽喉科で適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
また東洋医学では、五臓のうち呼吸や体液の代謝、体温調節をつかさどる「肺(はい)」が熱邪(ねつじゃ)や風寒(ふうかん)に侵されて鼻の炎症が生じると考えられています。
次の章ではこのような「鼻の臭さ」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきます。
慢性副鼻腔炎による鼻の臭いを改善するセルフケア3選
1.ストレスや疲労を溜め込まず、体調を整える
鼻に膿を発生させる慢性副鼻腔炎を予防するには、まずは風邪を引かないようにすることが大切です。
偏食や不摂生な生活によって栄養が不足したり、疲れやストレスの蓄積から体の免疫力や抵抗力が低下すると、風邪をひきやすくなるのはもちろん、雑菌などの異物が排出されずに、鼻の内部にとどまる原因になってしまいます。
鼻水や鼻づまり、体調の悪化を感じた場合は、体を冷やさないように温かくして、十分な休養と睡眠を取るようにしましょう。
2.花粉やウイルスの侵入防止と鼻洗浄をする
アレルギー性鼻炎が悪化した慢性副鼻腔炎の予防のためには、マスクで花粉や風邪のウイルスの侵入を防ぐことも有効です。
また、鼻の中に溜まった膿の匂いが気になる場合は、内部に侵入した雑菌や花粉を洗い流す「鼻うがい」で鼻の中を洗浄するのもオススメです。
ただし、鼻の粘膜を傷つけないためにも、鼻うがいは必ず水道水ではなく生理食塩水で行うことや、1日に2〜3回までに止めることが大切です。
最近では鼻うがい専用液も市販されているので、そうしたものを活用するのも良いでしょう。
3.悪臭の元である鼻腔内の膿を除去する治療を
ご紹介したセルフケアに加え、鼻の悪臭を断ち切るためには、炎症によって鼻に溜まった膿を除去することが一番の方法です。
臭いの症状を感じたら耳鼻科に相談し、膿の吸引や鼻の中に抗生物質や抗炎症薬を霧状にして吹きつける処置を行ったり、菌の繁殖を抑えるための抗生物質や炎症を抑えるための抗炎症薬の処方を受けると良いでしょう。
最近ではドラックストアなどで市販薬などもあるため、初期の症状の場合はこうしたものを利用するのもオススメです。
根本的な体質改善には漢方薬が効果的!
鼻の臭さを根本的な原因から改善するためには、セルフケアや耳鼻科での治療に加えて、体質の改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)です。熱感のある鼻づまりがあり、鼻炎症状が慢性化して、臭いが感じにくく、鼻から悪臭があるなどの場合に用いられます。副鼻腔に膿がたまり頭痛を伴う場合に有効です。
また、葛根湯加川芎辛夷(カッコントウカセンキュウシンイ)は冷えのある方の鼻づまりや頭痛を、からだを温めて水分代謝を改善することで症状を和らげる効果があります。
鼻腔内の炎症が慢性化し、熱感でかゆみを伴う方には、血流を良くし熱を発散させて症状を改善する荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)も良いでしょう。
気になる症状がある場合は早めに耳鼻科に相談を!
今回は、鼻が臭う症状があるときの対処方法や漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、日頃から栄養バランスのとれた食事を摂り、ストレスや疲労を溜め込まないようにして体の抵抗力や免疫力を高めておくことが大切です。
そして気になる症状がある場合は、悪化する前に耳鼻科に相談するなどして早めの対処をするようにしましょう。
このような鼻の炎症にまつわる悩みには、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。
セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。