唾を飲むと喉が痛い!上気道炎やポリープなどの痛みの原因を解説
唾を飲むと喉が痛いとき、体にはどのような変化が起きているのでしょうか。喉が痛くなる理由としては、上気道炎をはじめとするさまざまな原因が考えられます。ここでは唾を飲むと喉が痛くなるときの原因について解説します。
唾を飲むと喉が痛くなる上気道炎
吸い込んだ外気に直接触れる喉という部位には、ハウスダストや煙、花粉、ウイルスや細菌などの外敵を体内に侵入させないようにするための防御システムが自然と備わっています。
ところが、空気が乾燥する冬場などに喉が乾燥する、あるいは過労などで免疫機能が低下すると、この防御機能が破綻して、ウイルスや細菌に感染しやすい状況に陥ってしまいます。
一般に、鼻から喉頭(のど)までの気道を上気道と呼んでおり、咽頭炎を含むかぜ症候群は、主にウイルスなどの感染により上気道炎を引き起こします。
かぜや上気道炎の原因微生物は、9割近くがウイルスによるものと言われていて、主な原因ウイルスは、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、コロナウイルスが多く、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルスなどが続きます。
特に、インフルエンザウイルス感染症では、インフルエンザウイルスに感染後、潜伏期間1~3日で発症に至ります。
一部ではウイルス感染に引き続き、二次性の細菌感染が起こる場合もあります。
代表的な自覚症状として鼻水、鼻づまり、のどの痛みなどから始まり、発熱、頭痛、全身倦怠感などが続きます。
インフルエンザウイルス感染症の場合は、突然の発熱(38℃以上)、のどの痛みに加えて、頭痛、全身倦怠感、関節痛、筋肉痛などが現れて、せきや鼻汁などの上気道症状も伴います。
唾を飲むと喉が痛いときの他の原因
上気道炎以外で喉が痛くなる原因としては、次のようなものが考えられます。
アレルギー性鼻炎
鼻という器官は、呼吸という生命維持に重要な機能を担っており、異物の侵入を防ぐ、体内に入る空気の温度や湿度の調整、においの感知といった様々な重要な役割を持っています。
鼻腔粘膜や咽頭粘膜は外部環境の影響を受けやすい部位であり、ちょっとしたことが契機となって鼻の中や咽頭部に炎症が起こって鼻腔内やのどが痛くなることがあります。
アレルギー性鼻炎になると、くしゃみ・鼻水・鼻づまりの3つの症状を認めることが多く見受けられます。
くしゃみは、鼻の中の異物を外へ出すための体の反応であり、たて続けに出るくしゃみに、鼻水や鼻づまりを伴い、発熱症状や倦怠感がなければ、アレルギー性鼻炎を疑います。
また、アレルギー性鼻炎が原因の鼻水は、水のようにさらさらした、水様性の鼻水がほとんどであると言われていますので、粘り気のある鼻水が出る場合は、アレルギー性鼻炎以外の原因疾患も考慮しましょう。
鼻づまりとは、鼻の粘膜が腫れて空気の通り道を狭めている状態であり、かぜ症候群や上気道炎でもないのに鼻がつまってのどが痛くなる場合は、アレルギー性鼻炎を疑いましょう。
それ以外にも、アレルギー性鼻炎になると、目、のど、皮膚などでも炎症の症状がみられることがありますし、特に目に症状が出た場合は、涙が出てきてかゆみを感じる、あるいは白目とまぶたが赤くなって腫れてくる症状が認められます。
副鼻腔炎
副鼻腔炎とは、鼻の奥にある空洞である副鼻腔(ふくびくう)が炎症を起こす病気であり、副鼻腔は、前頭洞、篩骨洞、上顎洞、蝶形骨洞など、複数の部位に存在し、それぞれの部位で炎症を起こすことがあります。
主な症状としては、鼻水、鼻づまり、いびきをかく、あるいは鼻汁がのどにまわって後鼻漏を引き起こして喉が痛む、嗅覚障害、頭痛や発熱などが挙げられます。
風邪などに引き続いて起こった状態を特に急性副鼻腔炎、炎症が2~3か月以上続いて慢性化したものを特に慢性副鼻腔炎と呼んでおり、一般的に蓄膿症と呼ばれる病気は通常は慢性副鼻腔炎を指しています。
副鼻腔炎の原因は、細菌感染が関連していて、主に黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌、肺炎球菌などの細菌や細菌の作る毒素が病態形成に大きく影響します。
副鼻腔炎は、鼻のなかにある副鼻腔の換気と排泄の通路が粘膜腫大することによって閉じられてしまうことが主因と考えられています。
また、アレルギー性鼻炎に慢性の副鼻腔炎を伴う場合があり、このようなケースをアレルギー性副鼻腔炎と呼んでいます。
血液中の白血球の一種である好酸球による異常な炎症が原因となる副鼻腔炎を特に好酸球性副鼻腔炎といいます。
好酸球性副鼻腔炎は、両側の鼻の中に多発性の鼻茸ができて、手術治療を実施しても再発しやすい難治性の慢性副鼻腔炎として認識されています。
一般的な慢性副鼻腔炎は、抗菌薬と内視鏡手術によって治ることがありますが、このタイプの副鼻腔炎の場合は、手術をしても再発しやすく、ステロイドを内服すると軽快する特徴があります。
このタイプの副鼻腔炎の主な症状としては、鼻づまり、鼻汁、顔の痛み、のどの痛み、頭痛、嗅覚障害などが挙げられます。
ポリープ・腫瘍
鼻茸(鼻ポリープ)は、主に鼻の奥の、空気の通り道にできて、仮に中鼻道にできると鼻づまりの原因となります。
また、ポリープ状のできものである鼻茸(鼻ポリープ)は、主に中鼻道や嗅裂という部位にできることがありますし、特に嗅裂に鼻茸が形成されると匂いが感じづらい症状が出現します。
一般的に、慢性副鼻腔炎の患者例の10~20%程度(約20万人)に鼻茸(鼻ポリープ)が存在すると言われています。
鼻茸(鼻ポリープ)は、放置しておくと病変が大きくなり、鼻やのどに関連する症状が悪化する可能性がありますので、早めに耳鼻咽喉科など専門医療機関を受診して、検査と治療を受けることが大切です。
また声帯の上方にできる声門上がんの場合には、のどの違和感や異物感などの症状が表れて、風邪の症状とも似ているためにどうしても病変部の発見が遅くなる傾向がありますので、心配であれば迅速に専門医に相談しましょう。
喉の痛みをラクにする方法はある?
鼻やのどの症状を改善させる市販薬の一例として、アセトアミノフェン錠があります。特にアレルギー性鼻炎の場合には、ステロイドの抗炎症作用と抗アレルギー作用のある市販薬でつらい症状を改善できる可能性があります。
万が一、市販薬を数日使っても症状が改善しない場合には、詳細な検査をしないと病状が詳しく判明しないことも想定されますので、市販薬の使用を中止して専門医に相談してください。
早く治したい時や応急処置をしても症状が収まらない場合でも、速やかに最寄りの耳鼻咽喉科や総合内科などに受診しましょう。
まとめ
これまで、唾を飲むと喉が痛くなる原因などを中心に解説してきました。
のどが痛いと、唾を飲み込むのもやっとだったり、いつものように声が出せなかったりして、本当につらいですので、「喉が痛いな」と思ったらそのまま症状を放置せずに、症状に応じた適切な対処策を講じることが重要です。
のどの痛みが長引く場合、あるいはのどの痛み以外にも鼻汁や鼻閉感など気になる症状がある際には、上気道炎や鼻炎、副鼻腔炎、ポリープなど何か病気が潜んでいる可能性があります。
のどが腫れている部分に膿の成分が認められるとき、声がかれたまま改善しないとき、飲み込むときにガマンできないほどの強い痛みがあるとき、のどに違和感や異物感があるとき、呼吸が苦しくて高熱があるときには様々な疾患が隠れているかも知れません。
食べ物や飲み物を飲み込めないとき、セルフケアをしても一向に症状がよくならないときは総合内科や耳鼻咽喉科などを受診しましょう。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。