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リモートワーク中の悲劇!急な背中の「つり」でカニ歩きする羽目に…

体験談

ぐーっと背伸びをした瞬間、背中がつってしまった、長時間のデスクワーク後にいきなり立ち上がったら、背中の筋肉がひきつったようになってしまった…。
30〜50代のミドルエイジ世代の女性のなかには、このような「背中がつる症状」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「背中がつる症状」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

ちょっと手を伸ばしただけなのに…突然襲った背中の「つり」に撃沈!

亜由美さん(42歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。

もともとインドア派な私。当然ながら日頃から運動不足気味ではあったのですが、このところリモートワークも続き、家の中から一歩も出ない日が続いたせいか、体がやけになまっているような気がしてなりません。というのも、つい先日、ちょっとしたショッキングな出来事があったんです。
その日はなんとなく疲れていたのもあり、寝起きのままモソ〜っとパソコンの前に座り、パジャマのまま2時間ほど作業を続けていました。ところが、集中して飲まず食わずで仕事に勤しんでいたそのとき、デスク脇の資料を取ろうと腕を伸ばした瞬間に、背中の筋肉がピキーン!と引きつったようになってしまったんです。
手を引っ込めようにも背中がピキーンと硬直しているため、体勢を整えるのも一苦労。カニ歩きの状態で寝室に逆戻りし、ベッドの上でゴロゴロしているうちにようやく背中もほぐれてきたのですが、まさかこんな白昼から背中がつるとは…。足の指やふくらはぎはつることがあるものの、こんなふうに背中がいきなりつるなんて初体験で、また一人のときに再発したらどうしよう、と恐怖に恐れおののいています。
なんとかこの嫌な症状を予防&改善する方法はないものでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
筋肉のひきつりや硬直、痛みをともなう「つる」症状は、足の筋肉と同様、背中の筋肉にも起こることがあります。背中は自分でマッサージするのも難しいですし、一人でいるときに突然身動きが取れなくなるのはつらいですよね。
今回は、背中がつる原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

背中がつるのは筋肉の疲労やこわばりが原因に

自分の意思と関係なく、筋肉が収縮してけいれんすることを「つる」と言い、急に筋肉がこわばり、痛みをともなって筋肉が動かしづらい状態になります。
原因としては、加齢による筋肉量の減少、冷えによる体温低下から筋肉がこわばってしまうことや、筋肉疲労や脱水、ナトリウム・カリウム・マグネシウムなどのミネラルの不足などさまざまな要因が挙げられます。
特に背中がつってしまう主な要因は、筋肉の疲労によるものが多いと考えられています。激しい運動だけではなく、同じ姿勢で長時間デスクワークをすることも背中の筋肉を硬くし、筋肉の疲労を加速させる一因となります。

東洋医学では、こうした症状は「気(生命エネルギー)」と「血(血液)」が一時的に不足した状況で生じるとされ、体に不足した栄養を補うことが大切だと考えられています。

次の章ではこのような「背中がつる」症状を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

背中がつる症状を予防&改善する3つの対処法

1.まずは安静にし、徐々にこわばりを解消する

背中がつるのは、背中の筋肉が異常に収縮してしまうことで生じます。
もし背中がつってしまった!と感じたら、まずは痛みを感じにくい姿勢を取り、しばらくはその状態を維持して安静にしましょう。
少し落ち着いたら筋肉が収縮している方向とは逆方向にゆっくりと筋肉を伸ばすような姿勢を取り、縮こまった筋肉を徐々に元に戻していきましょう。

2.栄養分や水分を補って筋肉の働きをサポート

背中に限らず、筋肉がつる症状を予防・改善するためには、脱水を避け、積極的に水分補給をすること、筋肉疲労の解消に役立つビタミンB1やタウリン、筋肉の収縮をサポートする働きのあるマグネシウムやカルシウム、ナトリウム、カリウムなどの電解質を補うことが大切です。
毎日の食卓に、海藻類や豆類、乳製品などを取り入れ、バランスの良い食生活を心がけるようにしましょう。

3.背中の血流を良くし、筋肉をしなやかに保つ

日常のちょっとした動きで急に背中がつってしまう方のなかには、長時間同じ体勢で作業を続けることで、背中の筋肉が縮こまってこわばっている方が少なくありません。
作業中はこまめに休憩すること、長時間にわたる同じ体勢での作業を避けることが大切です。
また、日頃から運動不足にならないように適度なエクササイズを取り入れるのも効果的です。
特に、手を後ろで組んで肩甲骨を寄せたり動かすストレッチは、背中の筋肉をほぐす働きがあり、血の巡りを良くするのでオススメです。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

背中がつる症状を改善するために、セルフケアに加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)です。効果の実感が早いのが特徴で、背中が硬くこわばったり、筋肉のひきつれやけいれんを起こしたりしやすい方の不足している「気」や「血」を補ってけいれんを鎮め、症状を緩和する効果があります。

積極的に背中を動かして柔軟な筋肉を保ちましょう

今回は、背中がつる症状に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状を予防・改善するためには、長時間同じ体勢で作業しないように気をつけ、水分不足による脱水や運動不足にならないようにすることが大切です。
筋肉の働きをサポートし、疲労を解消する食材を積極的に摂るのも良いでしょう。
もし呼吸のたびに激しい痛みがあり、時間が経っても痛みが引かない場合は、ギックリ腰ならぬギックリ背中の状態で筋繊維の断裂が起きている可能性もあるため、不安なときは病院を受診するのがオススメです。

こうした気になる症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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