花粉が飛ぶ日は目が真っ赤! もう目玉を取り出してかきむしりたい…

体験談

花粉が飛ぶ季節になると目が真っ赤に充血してしまう。少し外に出ただけで目がムズムズかゆくてたまらない…。
2月〜5月にかけての花粉シーズン、こうした「花粉症による目の症状」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「花粉症による目の症状」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

花粉症による目の症状がつらい…絶え間ないかゆみにイライラが募る一方!

優希さん(49歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

私にとって、花粉症との戦いが始まったのは昨日今日の話ではありません。もう何十年と付き合いの続いている症状ですから、年が明けて落ち着いた頃から早めの花粉対策をしたり、症状が起きても薬で騙し騙しやり過ごしたりしてやり過ごしてきたんです。
でももう、ここ数年、年々酷くなる目のかゆみにどうにも心が折れそうになっています。
風の強い日などは家の中にいてもなんだか目が熱く、熱をもったようになりますし、ひとたび外に出ようものなら大惨事です。あっという間に結膜炎のように目が真っ赤になり、あまりのかゆみで眼球が崩壊しそうなほど!
これに加えてくしゃみや鼻水も出るのですからひとたまりもありません。帰宅してもしばらくは“目がかゆい”ことで頭がいっぱいで、家事どころではなく、ひたすらティッシュを浪費して涙と鼻水を拭うばかりです。
「どうにかして、この目玉を取り外してきれいに洗ってかゆいところかきむしりたい…。」なんて気味の悪いことを考えながら日が暮れていくことに、もう疲れ果ててしまいました。
どうにかしてこの症状を和らげる方法はないものでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
かゆいからといって目の周りをかき始めてしまうと、敏感になっている皮膚まで炎症を起こしてしまうので気をつけなければなりません。
今回は、花粉症による目の症状の原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

花粉症による目の症状は角膜や結膜に花粉が付着することが原因

花粉症は、鼻腔内に入ってきたスギ等の花粉に対する免疫反応により、さまざまな症状が引き起こされるアレルギー症状です。
特に目は外界と直に接していることで花粉にさらされやすく、角膜や結膜に花粉が付着して充血やかゆみなどの症状が現れやすいのです。
また、結膜は血管が豊富でアレルギーに関わる免疫細胞が多いため、炎症細胞が花粉に反応しやすいとも考えられています。

東洋医学では、花粉症の目の症状は「気(生命エネルギー)」や「血(血液)」が滞る「肝気鬱結(かんきうっけつ)」により生じると考えられています。
次の章では、このような「花粉症による目の症状」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

花粉症による目の症状を緩和するセルフケア3選

1.帰宅時に家に花粉を持ち込まない

目のかゆみや充血など、花粉によって目の症状が強く出る方は、ゴーグルタイプのメガネやサングラスなどで目の粘膜への花粉の付着を避けることが大切です。
メディアで報道される花粉情報をチェックして、風が強く晴れた日の昼間など、花粉の飛散が激しい日の外出はでき来るだけ控えるようにましょう。
また、帰宅したら玄関に入る前に髪の毛や衣類についた花粉を落として、家の中に花粉を持ち込まないようにすることも心がけてくださいね。
できれば帰宅後すぐにシャワーで髪や体を洗い流してしまうのがベストですが、難しければ手洗いとうがい、着替えだけでも早めにするようにすると症状の悪化を防ぐことができます。

2.目を洗浄して冷やすことでかゆみの緩和を

風の強い日に外出し、目に花粉が入ったと思われるときには、なるべく早めに洗眼薬で目についた花粉を洗い流すことが大切です。
水道水には塩素が含まれており、かえって目を傷めてしまうことがありますので、市販の防腐剤フリーの洗眼薬を使うようにしましょう。長時間の外出の際には、人工涙液の点眼薬を持ち歩くのもオススメです。
また、目をかいてしまいそうなほどのかゆみがある場合は、保冷剤をハンカチで包んだものや、冷たいタオルをまぶたにのせて冷やすことでかゆみの緩和が期待できます。
かき壊して目の周りの皮膚を痛めたり角膜に傷をつけてしまう前に、ぜひ試してみてください。

3.しっかり睡眠をとって体を休める

疲労やストレスが蓄積して自律神経のバランスが崩れると、アレルギー症状が出やすくなることがあります。
目のかゆみや充血を悪化させないためには、充分な睡眠をとって疲労やストレスをためないようにすることも大切です。
また、タバコやアルコール、刺激物、加工食品やジャンクフードなどの摂取によって症状が悪化することもあるため、嗜好品の摂取は極力控え、日頃からバランスのとれた食生活を送るように心掛けましょう。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

花粉症による目の症状を改善するために、抗アレルギー薬の服用や点眼、注射などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、越婢加朮湯(エッピカジュツトウ)です。目のかゆみがひどく、皮膚が熱を持ったようになっている方の「熱」を生薬の石膏が冷まし、蒼朮が水分代謝を促して症状を和らげる効果があります。

また体が冷えて、くしゃみや水っぽい鼻水がある方の花粉症症状には、体内の余分な「水」を排泄して体を温めて症状を改善する小青竜湯(ショウセイリュウトウ)も良いでしょう。
一方、越婢加朮湯や小青竜湯は「麻黄」を含んでおり、麻黄を使用しにくい方は、苓甘姜味辛夏仁湯(リョウカンキョウミシンゲニントウ)が小青竜湯と同じような働きを示すのでおススメできます。

疲労やストレスを溜めずに、規則正しい毎日を送りましょう

今回は、花粉症による目の症状に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、目の粘膜への花粉の付着に注意し、帰宅後はできるだけ早く花粉を除去しましょう。
そして花粉症の時期に限らず、疲労やストレスを溜めず、食生活に気をつけて規則正しい生活を心がけることも大切です。

また、こうした気になる花粉症の症状改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

関連記事