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多忙な仕事で昼夜逆転!息抜きのお酒を飲んでもうまく眠れません…

体験談

残業続きで昼夜逆転してしまい、夜眠れなくなってしまった、お酒を飲んだ夜は目が冴えてしまって寝つきが悪くなる…。
30代〜40代の仕事や育児で多忙な女性のなかには、こうした「不眠」の症状に悩んでいる方も少なくありません。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「不眠」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

眠りが浅く、朝までぐっすり眠れない…熟睡するにはどうすれば?

奈津美さん(35歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。

数年前に転職し、新しい環境で認められようと頑張っていたせいか、数ヶ月前に新しいプロジェクトのリーダーに抜擢されたんです! そのこと自体はいいのですが、急激に忙しくなったことで残業時間は爆上がり、終電では帰れないことも増えてしまいました。
どうせ帰れないのなら、と残ってくれた同僚と「1杯飲んでから帰ろう」となることもよくあるのですが、当然1杯で済むはずもなく…。
眠気に耐えかねて深夜の2時過ぎにタクシーで帰宅し、入浴後に翌日の準備をすませてやっと眠れる状態に。ところが、ベッドに入って少しするとすぐに目が覚めてしまい、「急いでもう1回寝なくちゃ!」と気ばかり焦る始末。
タクシーの中ではあんなに眠くて仕方なかったのに、不思議で仕方ありません。その後は寝たり起きたり、うつらうつらとした状態で夜を明かして出社するはめになりました。
こんなことが今月だけでも数回あったんです。週末の休みはすっかり昼夜逆転生活になってしまったせいか、お酒を飲まない日でもあまり熟睡できなくなってしまいました。
いったいどうしたらこの状態から抜け出すことができるのでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
アルコールには眠気を起こす作用はあるものの、睡眠を浅くして睡眠の質を低下させてしまうこともあります。
また、責任のあるお仕事で神経が張り詰めていることや、昼夜逆転による生体リズムの乱れが不眠症状のきっかけになっているのではないでしょうか。
それでは今回は、不眠の原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

不眠はさまざまな要因による生体リズムの乱れが原因

不眠の症状は、精神的なストレスや不規則な生活習慣、過度なアルコール摂取など、さまざまな要因が複雑に絡んで起こることが多いといわれています。
快眠を得るためには、本来24時間のなかで、日中に光を浴びて活動し、夜は決まった時間に眠りについて生体リズムをリセットする必要があります。
残業や夜勤が常態化し、深夜営業している店がいくつもあるといった環境の現代社会は、生体リズムに狂いが起き、不眠が生じやすい社会状況になっているといえるでしょう。

また東洋医学では、不眠には五臓のうち「心(しん)」「肝(かん)」「脾(ひ)」が関連しており、「七情(人間の精神や心理活動)」の乱れや過労、病気、食生活の不摂生などによって起こるとされています。
次の章では、こうした不眠の改善に対する具体的な方法をお伝えしていきましょう。

不眠に効く!心地よく眠るためのセルフケア3選

1.休日に「寝だめ」するのはやめましょう

仕事が忙しいと、つい休日に体を休めようと長く眠ろうとしがちですが、これは体内時計のリズムが乱れるもとになるため、かえって夜の寝つきが悪くなってしまいます。
朝はいつもと同じ時間に起き、昼と夜のメリハリをきちんとつけるようにしましょう。
また、体内時計を整えるためには、カーテンを開けたり、外に出るなどして太陽の光を浴びることが大切です。
朝の太陽の光をしっかり浴びることで、24時間周期でリズムを刻む体内時計がリセットされ、夜の寝つきを安定させることができるようになります。

2.カフェインやアルコールの摂取は要注意!

夕食の後にリラックスするためにコーヒーを飲んだり、寝酒として晩酌を楽しまれる方も多いと思いますが、これらは「不眠」に悩む方にとっては逆効果になりかねないものですので注意が必要です。
コーヒーに含まれるカフェインには、交感神経を刺激して脳や体を覚醒させる効果があり、その効果は3〜4時間持続するといわれています。コーヒーを飲むなら就寝4時間前までと決めておくと良いでしょう。
また、お酒を飲むと一時的には眠くなる効果はありますが、その作用は2時間ほどしか持続せず、かえって眠りが浅くなって目が覚めやすくなってしまうことがあります。
適度な晩酌は寝つきを良くするに効果的なときもありますが、飲み過ぎにはくれぐれも気をつけましょう。

3.寝る前の過ごし方を見直そう

就寝前にはぬるめのお湯にゆったりと入浴し、リラックス効果のあるハーブティーや生姜湯、ホットミルクなどで体を温めるのがオススメです。
また、スマホやパソコン、テレビなどの液晶画面が発するブルーライトは、睡眠の質を低下させてしまうことがわかっています。
就寝前の時間にはブルーライトを発するものを遠ざけ、照明を落として過ごすことでより深い眠りにつく効果が期待できます。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

不眠を改善するために、睡眠導入の効果がある市販薬や処方薬の服用という選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、酸棗仁湯(サンソウニントウ)です。疲れているのにうまく眠れない、よく夢を見る、眠りが浅くて夜中に目覚めてしまう方の神経を穏やかに整え、深い眠りに導く効果があります。
また、心身ともに疲れ、食欲も低下して物忘れや不安、日中も寝足りないような不眠には、胃腸の働きを整え、血流を促し体を温め、精神を安定させる効果のある帰脾湯(キヒトウ)も良いでしょう。
一方、疲れでイライラして寝付けないという場合は、柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)がおすすめです。

質の高い睡眠を目指し、朝までぐっすり眠れる工夫を!

今回は、不眠に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
体内時計のリズムを整えるような生活を心がけることや、お酒やカフェインを控えたり、眠る前の環境を整えることで、質の高い睡眠を得られるように工夫してみましょう。
また、こうした不眠症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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