最近トイレが近いのは年のせい?更年期女性の頻尿は漢方で改善しよう

35-45才

「さっきトイレに行ったばかりなのに、すぐにまた行きたくなる・・・。」
「夜中に何回もトイレのため目が覚める。寝る前にちゃんとトイレに行っているのに・・・。朝までぐっすり眠りたい!」
「仕事中や外出中にトイレに行きたくなると焦ってしまう。他人に相談するのも恥ずかしい。」

そう感じたことはありますか?
日本排尿機能学会の調査によると、夜間頻尿がある人は4,500万人、昼間頻尿は3,300万人、おしっこに勢いがない人は1,700万人、おしっこがもれる人は1,000万人います。いずれの症状も年をとるにしたがって増え、60歳以上では78%が何らかの排尿の問題を抱えていることが報告されています。
ほとんどの方が悩んでいる「頻尿」。

決して恥ずかしい事ではありません。

その症状は加齢や更年期障害からくる頻尿かもしれません。

でも大丈夫!体質を改善することによって根本的に解決することができます。

この記事では、実は多くの更年期の女性が悩んでいる、頻尿の原因と予防法や根本的な治療法についてお話しします。
ぜひこの記事からヒントを見つけて、トイレの心配をせず毎日いきいきと過ごしてください!

1若い頃は大丈夫だったのに、どうして頻尿に?実はホルモンバランスの変化が原因だった!

1-1 更年期、更年期障害とは?

更年期障害は、閉経期(閉経の平均年齢50.5歳)の前後10年間に生じる自律神経失調症状と精神症状が相互に関係しあって起こると考えられます。女性ホルモンは、20~30代でピークを迎えますが、40代に入ったころから急激に低下し始めます。これにともなって、さまざまな身体的、精神的症状が現れるのが更年期障害です。
更年期障害の症状を感じないまま過ぎる場合もあれは、日常生活に支障をきたすほどひどくなる場合もあります。

1-2 更年期の頻尿の症状と原因

1-2-1 頻尿の症状とは

「尿が近い、尿の回数が多い」という症状を頻尿といいます。一般的には、朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合を頻尿といいます。しかし、1日の排尿回数は人によって様々ですので、一概に1日に何回以上の排尿回数が異常とはいえず、8回以下の排尿回数でも、自身で排尿回数が多いと感じる場合には頻尿とされます。

1-2-2 西洋医学的に考える更年期の頻尿の原因

更年期の頻尿は、女性ホルモン(エストロゲン)の減少が原因と考えられています。エストロゲンが減ると尿道の粘膜がうすくなり、尿道周囲の組織が萎縮して、知覚過敏となり頻尿を引き起こします。
更年期障害の症状には、のぼせ・発汗、頭痛、動悸、耳鳴り、気分の落ち込み、不安、不眠などの不定愁訴があります。更年期障害からくる頻尿の場合、これらの症状が一緒に現れることが多いです。

1-2-3 東洋医学的に考える更年期の頻尿の原因

更年期になると、腎で蓄えている生命エネルギーである精が不足し、「腎虚(じんきょ)」と呼ばれる状態になると考えられます。
腎のはたらきには、腎臓という臓器としてだけではなく、排尿・排泄、水分代謝、ホルモンバランス、記憶力などがあります。腎の機能が衰えた状態、腎虚になると、水分の代謝が順調に進まず水の巡りが悪くなり、頻尿を引き起こします。 また、寒くなるとトイレが近くなるように、根底には冷えがあると考えられています。冷えや血の滞りで生じるお血も頻尿の原因となる腎虚に関係しています。

2頻尿は筋肉を鍛えると改善できる!ちょっとした意識で変わる毎日のセルフケア

頻尿の改善には、尿意を数分ずつ我慢する「膀胱訓練」や骨盤底の筋力低下を防ぐ「骨盤底訓練」などの行動療法があります。

2-1 骨盤底筋体操

骨盤底筋は内臓を下からしっかり支え、排泄をコントロールしています。
骨盤底筋群が弱くなって使えなくなると、頻尿が起きやすくなります。
骨盤底筋が弱る原因は、妊娠出産・肥満・加齢・運動不足・筋力不足などです。
では、弱ってしまった骨盤底筋はもとには戻らないのでしょうか?実は本当にちょっとしたことで、鍛えることができるんです。
トイレを我慢する意識をしてみてください。オシッコを我慢、オナラを我慢するイメージです。また、仰向け寝で呼吸を意識しながら、息を吸って、吐く息でお腹を凹ませると同時にトイレを我慢するイメージでキュッとお尻の穴をお腹の中に入れ込む感覚を得る方法もあります。ちょっと、イメージしにくいときは、そんな時は、手ナプキンも有効です。

手ナプキンで鍛える方法
骨盤底筋群の後ろ側が鍛えられます。
①座位(胡座座)で、手のひらを股下に入れます。
②オナラを我慢するような、ティッシュをお尻の穴で引き出すようなイメージで手のひらが吸い付く感覚を感じます。
③10秒キープ×3回からスタート。できるようになったら1分キープ。

タオルふんどしで鍛える方法
①体操座りで脚幅を肩幅ほどに開き膝内側を近づかせます。
②タオルを股に挟み、両手でタオルを上に引っ張ります。
③手ナプキン同様、ティッシュを引き出すようなイメージでタオルをキュッとします。
④その感覚をキープ
⑤可能であれば、タオルを離してもその感覚をキープで10〜60秒キープ。

骨盤底筋の使い方がわかってきたら、日常生活でトライしてみましょう。
・立っているにちょっと締めてみる
・椅子に座ったら、座面を吸い込むイメージをしてみる
・トイレで用を足した後、締めて緩めてを10回繰り返す
・電車に乗ったら、一駅分締めてみる

日常生活に少しずつ、使っている時間を増やすと使わず使えなくなってしまった骨盤底筋も必ず使えるようになっていきます。

2-2 膀胱訓練

尿意切迫感を気にするあまり、少ししか尿がたまっていないのにトイレに行くくせがついてしまうと、膀胱が小さくなったり、過敏になったりして、尿をたくさん蓄えることができなくなることがあります。このため、ますます頻尿が悪化してしまうのです。このような場合は、膀胱に尿をためる訓練をして、膀胱の能力をもとに戻すことで、症状を改善させることができます

■ 方法
尿意を我慢する練習を、短い時間から始めて、少しずつ時間を延ばしていきます。
トイレへ行くのを1回だけ我慢してみましょう。
最初は5分くらい我慢し、1週間ほど続けます。尿意を感じるたびにではなく、1日のうちの時間や回数を決めて、少しずつ始めてもいいのです。
10分、15分と、我慢する時間をだんだん延ばしていきます。
最終的に2~3時間我慢できるようになれば、目標達成です。

2-3 水分やカフェイン入り飲み物の取り過ぎに注意

成人の場合、激しい運動をした時の補給を除き、1日1~1.5リットル程度の水分摂取が適正とされています。ビールなどのアルコール類も含めて、飲む量が増えれば自然と排尿の量と回数も増えてしまいます。
水分摂取を気をつけるだけで簡単に頻尿が直るケースも多いです。日常の飲み物の種類も見直してみましょう。コーヒーや紅茶、緑茶などのカフェインを含んだものやアルコール類は膀胱を刺激しやすく利尿作用があります。麦茶などのノンカフェイン飲料に切り替えることも有効です。

3 気になる頻尿を薬で今すぐ改善したい

3-1 市販薬で解消

・レディガードコーワ
有効成分としてフラボキサート塩酸塩を配合した女性用の頻尿・残尿感改善薬です。
膀胱の筋肉をゆるめ、その容量を大きくすることで、尿意をおさえ尿の回数を少なくします。ストレスなどによる神経性頻尿のほか、慢性膀胱炎などによる頻尿や残尿感の治療に用います。1週間程度の服用で、しだいにトイレの回数が減っていきます。
昔からある頻尿治療薬です。副作用が少なく安全性は高いのですが、効果は医療用の薬と比べて劣ります。

3-2 頻尿の解消に役立つ病院での治療を紹介

3-2-1 病院(泌尿器科、内科)に行く

日常生活に支障をきたすほど頻尿症状が強い場合は、何らかの病気が原因のこともあるので泌尿器科で検査することをおすすめします。
頻尿の治療には、原因となる病気があれば、まずその病気を治療すること大切です。

■頻尿の原因となる病気

・膀胱炎、尿道炎、膀胱腫瘍、膀胱結石などが原因の頻尿:膀胱への刺激が強くなり頻尿となる
・前立腺肥大症、前立腺腫瘍などが原因の頻尿:排尿がうまくいかなくなり、残尿が多くなる
・脳梗塞、脳出血、パーキンソン病、脊髄損傷などが原因の頻尿:膀胱の神経に障害がおきて頻尿となる
・糖尿病、腎機能障害、心不全などが原因の頻尿:尿量が増える

以上の原因が明らかになれば、病気を治療することで頻尿を改善することができます。

また、泌尿器科というと、特に女性の場合、受診しにくいといったイメージを持っている方も多いと思います。女性でも気軽に受診できる女性泌尿器科を設けている病院もあります。

3-2-2 更年期頻尿解消に役立つ薬を解説

頻尿を改善するための薬のなかで、効果や安全性が最も高いと言われているのは抗コリン薬と呼ばれる種類の薬です。

女性の頻尿に対しては抗コリン薬による薬物療法が一般的です。
体の中のアセチルコリンという物質を調節して、膀胱の異常な収縮が起きないように作用して頻尿を改善します。。しかし、膀胱以外の組織にも薬が作用するため、口の渇きや便秘、目の調節障害などの副作用が起きることもあります。

・女性の頻尿によく使われる抗コリン薬

薬剤名 用法 特徴
ウリトス、ステーブラ 1日2回 水なしで飲めるOD錠がある
ベシケア 1日1回 膀胱選択性が高いため、口の渇きなどの副作用が比較的少ない
デトルシトール 1日1回 海外での使用経験が豊富で安全性が高い
トビエース 1日1回 デトルシトールのプロドラッグ。少ない量で効果が高い
ネオキシテープ 1日1回貼付 貼り薬のため口の渇きなど副作用が軽減かぶれに注意

抗コリン薬の副作用をさけるために、新たに登場した薬がβ3アドレナリン受容体作動薬です。膀胱の平滑筋にあるβ3アドレナリン受容体を選択的に刺激し、膀胱を広げ尿道を縮めることで、尿を蓄えやすくして頻尿を改善します。口の渇きや便秘などの副作用は少なく、強い尿意や頻尿、尿もれの症状に対しては、抗コリン薬と同等の効果があります。

・女性の頻尿によく使われるβ3アドレナリン受容体作動薬

薬剤名 用法 特徴
ベタニス 1日1回 口の渇きや便秘の副作用が少ない不整脈、緑内障のリスク、生殖器に対する影響が指摘されている
ベオーバ 1日1回 口の渇きや便秘の副作用が少ないベタニスで心配される生殖器系への影響がない

4更年期の頻尿を根本的に解決しよう!代表的なのはホルモン補充療法と漢方薬!

頻尿に対するセルフケアや対処法、治療薬についてご紹介してきましたが、できることなら、頻尿自体が起こらないようにしたいですよね。そうするためには、根本的な治療が必要です。更年期の頻尿に効果的な治療法には、ホルモン補充療法(HRT)と、漢方薬を使った体質改善があります。

4-1 ホルモン補充療法

エストロゲンは、粘膜や皮膚の潤いを保つ働きがあるので、不足すると膀胱や尿路の粘膜が萎縮し、頻尿になる人がいます。
不足したエストロゲンを補うことにより、頻尿などの症状を改善することができます。

4-1-1 ホルモン補充療法(HRT)とは?

ホルモン補充療法 (Hormone Replacement Therapy:HRT)は、加齢による急激なエストロゲンの減少に対して、必要最小限のホルモンを補充することで、ホルモンバランスの乱れを和らげ、閉経した後のホルモン状態にスムーズに体をあわせていく治療方法です。

ホットフラッシュの原因はエストロゲンの減少です。
なので、エストロゲンを補充するホルモン補充療法は、ホットフラッシュには特に効果的です。使い始めて数日で効果を実感する人もいるほどの即効性も期待できます。

4-1-2 ホルモン補充療法のリスクと副作用

ホルモン補充療法の副作用として、不正出血、乳房がはる・痛む、下腹部のはり、吐き気、おりものなどがあります。使い始めに多く見られますが、これらのマイナートラブルは、薬の量や飲み方を調整することで改善することができます。
また、血栓症や乳がんのリスクが知られています。乳がん、子宮がん、血栓症などになったことがある方は、原則として、ホルモン補充療法を受けることができません。
なお、子宮筋腫、高血圧、肝機能障害がある場合には、投与量などを考慮して慎重に行われます。

4-2-3 ホットフラッシュのホルモン補充療法に使われるホルモン製剤の特徴

ホルモン補充療法では、飲み薬、貼り薬、塗り薬が保険診療にて処方されています。ホルモン製剤には以下の3種類があります。

①エストロゲン製剤
②エストロゲンと黄体ホルモン配合剤
③黄体ホルモン(プロゲステロン)製剤

エストロゲン製剤は減少したエストロゲンを補充するために使います。
エストロゲン製剤だけを使うと子宮体ガンのリスクが高まるため、子宮増殖抑制作用をもつ黄体ホルモン製剤を副作用を減らすために併用します。この2種類の女性ホルモン剤を使うのが基本的なホルモン補充療法です。
(黄体ホルモン剤はプロゲステロンを補充による無月経や月経周期を改善や不妊治療に使われていますが、ホットフラッシュなどの更年期障害のホルモン補充療法では黄体ホルモン製剤だけを使うことはありません。)

エストロゲンと黄体ホルモン配合剤はエストロゲンも黄体ホルモンも両方含む、ホルモン補充療法用として作られた配合剤です。これまでのように黄体ホルモン剤を追加で併用しなくてよいメリットがあります。

4-1-4ホルモン補充療法の投与方法で詳しく説明しますが、閉経前後か時間が経過しているか、子宮があるかないか、合併症があるかなど、その人の状態や症状にあわせて使い分けていきます。

それぞれのホルモン製剤について詳しく解説します。

1 エストロゲン製剤
エストロゲンだけで出来ている薬

■飲み薬
飲み薬は飲みやすく、保存や携帯に便利というメリットがありますが、成分が肝臓で代謝されるため、中性脂肪の増加や血栓症のリスクを高めるデメリットもあります。

薬の名前 1日量 特徴
プレマリン錠 1錠(通常量) 値段が安い使用経験が豊富で効果も副作用もよく知られているので使いやすい血栓症や脳梗塞リスクの報告もある
ジュリナ錠 1錠(低用量)
2錠(通常量)
中性脂肪を上げにくい
少量から服用開始できるため副作用を軽減できる
エストリール錠ホーリン錠 1~2錠(通常量) 作用がおだやか
子宮内膜への影響が少ないため副作用のリスクが少ない

貼り薬や塗り薬は、成分が皮膚から直接血液に吸収されます。そのため、胃腸や肝臓への負担が少ないというメリットがあります。特に、胃が弱い人、中性脂肪やコレステロール値が高い人、肝障害の人に適しています。
ただし、貼り薬や塗り薬は、肌がかぶれる、汗ではがれやすいというデメリットもあります。
ジュリナ錠とエストラーナテープ、ディビゲル、ル・エストロジェルは同じ成分です。

■貼り薬

薬の名前 使い方 特徴
エストラーナテープ 1枚/回を下腹部かおしりに貼る
2日ごとに場所を変えて貼りかえる
かぶれに注意

■塗り薬

薬の名前 使い方 特徴
ディビゲル 1包/日
左右いずれかの太もも・下腹部に塗る
使い切りタイプ
携帯に便利
かぶれにくい
ル・エストロジェル 1プッシュ/回(低用量)
2プッシュ/回(通常量)
1日1回両腕の手首から肩に塗る
皮膚刺激が少なく使用感がよいかぶれにくい
低用量と通常量があるので、症状にあわせて塗る量(投与量)を調節可能

2 エストロゲン・黄体ホルモン配合剤
エストロゲンと黄体ホルモンの両方が含まれている薬

■貼り薬

薬の名前 使い方 特徴
メノエイドコンビパッチ 1枚/回を週2回、下腹部に貼る(通常量) 1剤のみで済み、黄体ホルモン剤と併用しなくてよいかぶれに注意

3 黄体ホルモン製剤
黄体ホルモンだけの薬

■飲み薬

薬の名前

1日量

特徴

デュファストン錠

1錠ー2錠

天然の黄体ホルモンに最も近いので副作用リスクが少ない
乳がん発生リスクが低い

プロベラ錠

1錠ー4錠

中性脂肪を上げにくい

ヒスロン錠

1錠ー2錠

4-1-4 ホルモン補充療法の投与方法

ホルモン補充療法は、子宮があるかないか、閉経前後か時間が経過しているか、合併症があるかなど、その人の状態によってホルモン剤の使い方が違います。
リスクベネフィットを評価して、ひとりひとりに合わせたホルモン補充療法を最小有効量で安全に行うことが大切です。

1 子宮がある人が対象(エストロゲン製剤・黄体ホルモン製剤の併用療法)

エストロゲンだけの補充では子宮体ガンのリスクが高まるため、子宮がある人が対象の場合は、子宮内膜増殖抑制作用をもつ黄体ホルモンを併用します。

■閉経前後(閉経前もしくは閉経して約5年以内)の女性
月経周期と同じ状態をつくり出すために、エストロゲン製剤に一定の期間だけ黄体ホルモン製剤を併用します。そのため、黄体ホルモン製剤を飲み終わるころに月経のような出血がみられます。

・飲み薬(プレマリン錠、ジュリナ錠など:エストロゲン製剤)
毎日飲み続け、1か月のうち10日間ほど黄体ホルモン製剤を併用します。
(その後、医師の判断により休薬期間があることもあります。)

・貼り薬(エストラーナテープ:エストロゲン製剤)
1か月のうち16ー18日間エストラーナテープを1回1枚、週2回貼ります。その後10-12日間メノエイドコンビパッチ(エストロゲン・黄体ホルモン合剤)を1回1枚、週2回貼ります。

・塗り薬(ディビゲル、ル・エストロジェル:エストロゲン製剤)
ディビゲルかル・エストロジェルを毎日塗り、1か月のうち10日間ほど黄体ホルモン製剤の飲み薬を併用します。

■閉経後、数年(約5年以上)たった女性
飲みはじめの半年ほどは、不定期に出血することもありますが、飲み続けているとなくなります。

・飲み薬(プレマリン錠、ジュリナ錠など:エストロゲン製剤)
黄体ホルモン製剤と併用して連続して飲みます。

・貼り薬(メノエイドコンビパッチ:エストロゲン製剤・黄体ホルモン製剤)
メノエイドコンビパッチを1回1枚、週2回貼ります。

・塗り薬(ディビゲル、ル・エストロジェル:エストロゲン製剤)
ディビゲルかル・エストロジェルを毎日塗り、黄体ホルモン製剤の飲み薬も併用します。

2 手術で子宮を摘出した人や2ー3ヶ月の短期間のHRT(エストロゲン製剤 単独療法)

飲み薬(プレマリン錠、ジュリナ錠、エストリール錠など)、貼り薬(エストラーナテープ)、塗り薬(ディビゲル、ル・エストロジェル)のいずれかのエストロゲン製剤を毎日続けます。
医師の判断により休薬期間があることもあります。

*ホルモン補充療法のはじめの3ヶ月間は黄体ホルモンの併用をしなくても子宮内膜に影響しないことがわかっています。

4-1-5 ホルモン補充療法の処方までの流れと終了時期

診療の流れとしては、問診、血液検査(貧血や肝機能、ホルモンやコレステロール値)、必要な場合は甲状腺や子宮がん検査、内診、マンモグラフイーなどを行って診断を決定し、ホルモン補充療法が可能(適応)かを確認したうえで治療開始となります。

ホルモン補充療法には、健康保険が適応されます。
診療費や薬代こみで2000円から5000円程度が目安です(ホルモン補充療法に使うホルモン剤の薬代は1000円から2000円前後/28日分)。
ただし、病院によっては、診断時に相談料やカウンセリング料などを別に設けていたり、自由診療(保険適応でない自費)の場合もあるので事前に確認しておくと安心です。

また、ホルモン補充療法を行っている間も、症状の変化やマイナートラブルの有無などの確認および定期的な検査を行います。
子宮がん検診や乳がん検診は年に1回、血圧や血液検査は半年に1回おこない、ホルモン補充療法の継続を検討します。

ホットフラッシュの改善が目的の場合は、症状がよくなればいつでもやめることができます。乳がんリスクを減らすために5年以内にすることが多いですが、ひとりひとりの症状や生活環境、健康状態にあわせて判断します。
急に中止すると症状がぶり返すことがあるので、ホルモン補充療法を終了する場合は、少しずつホルモン製剤の量を減らしていく方法が一般的です。自己判断で中止せずに必ず医師に相談するようにしましょう。

4-2 漢方薬

「西洋薬は副作用が心配」「一度飲み始めたらやめられないのではないかと不安」
そんな方には漢方薬がおすすめです。
一般的に西洋薬よりも副作用が少ないとされておりますし、対症療法ではなく、体質の改善に働きかけることで根本的な解決を目指すものですので、同じ症状を繰り返したくない方に最適です。
また、健康的な食事やセルフケアを毎日続けるのは苦手という方も、医薬品として効果が認められた漢方薬なら、症状や体質に合ったものを毎日飲むだけなので、手間なく気軽に継続できます。
漢方では、腎虚、水や血の滞りなど頻尿の背景にある原因を探り、正常にして頻尿を改善していきます。ひとりひとりの体質や体力、症状にあわせて、1~6などの漢方薬から選びます。

1.胃腸が弱く、疲れやすい方:清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
気と水のバランスを整えて水分代謝を改善し、体内の水分不足を潤し、頻尿を軽減します。

2.冷えや腰痛、疲れやすい方:八味地黄丸(はちみじおうがん)
体をあたためて腎を補うことで、腎の衰えや冷えを改善します。

3.冷えやしびれ、むくみがある、尿量が少ない方:牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
八味地黄丸に牛膝と車前子を加えたもの。体をあたためて腎を補い、腎の衰えや冷え、下半身のしびれやむくみを改善します。

4.口の渇きや排尿痛がある方:猪苓湯(ちょれいとう)
水分が代謝をよくうして尿量を増やし尿を薄くすることで浸透圧を下げて、粘膜への刺激を和らげて頻尿を改善します。

5.頭痛や生理痛、肩こりもある方:桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
血の滞りを解消して腎の血行をよくし、頻尿を改善します。

6.冷え、むくみやめまい、貧血気味の方:当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
血を補い、血と液や水の巡りをよくして体を温め、腎の血行を良くして頻尿を改善します。

5 漢方薬が著しく有効であった症例を2つ紹介!

著効例1:夜中のトイレの悩みも冷えも腰痛も八味地黄丸で同時に解決!

「特に夜中のトイレの回数が多いのが悩みです。。年のせいか、なかなか眠れない日が多く、やっと寝つけたのに、1時間ほどでトイレに行きたくなってのため目が覚めてしまうんです。それも、ひどい日には1晩に3回くらいあるんですよ。トイレに行ったあとにはなかなか寝つけないし、毎日睡眠不足で困っています。。」

52歳女性。冷え症、疲れやすい体質。腰痛あり。

腎虚の改善を目的に漢方の八味地黄丸を服用開始しました。1日3回、夜中にトイレに起きていたのが、服薬を始めて1週間後には1回になりました。そのまま飲み続けて、夜中にトイレに起きることはなくなり、朝までぐっすり眠れるようになって、とてもうれしいです。しかも、いつの間にか、気になっていた冷えや腰痛も改善しました。漢方って、ひとつの不調だけでなくいろいろな悩みを解決してくれる魔法の薬のように感じました。

著効例2:外出時のトイレの不安も清心蓮子飲でスッキリ解決!

「私は1日に何回も何回もトイレに行きたくなるあるのが悩みです。膀胱炎にもなりやすく、予防のためにトイレを我慢しないようにしようと思うせいでしょうか。
頻尿の改善のためにバップフォー(抗コリン薬)を病院で処方されたこともありますが、口の渇きがひどくかえって水をたくさん飲んでしまい、尿の回数が増えてしまいました。
特に、外出する日はトイレのことばかり気になって、楽しめません。「トイレに行っておかないと電車に乗れない」、「食事中にトイレばかり行ったらどうしよう」。トイレのことばかり考えてしまい、前日の夜から眠れなくなってしまうこともあるくらいです。」

53歳女性。胃が弱い体質。抗コリン薬で口渇の副作用歴あり。

体の水分バランスを整えるために、漢方の清心蓮子飲を飲み始めました。。飲み始めて2週間後、「トイレに行かなきゃ」と焦ることが減り、実際にトイレの回数が減ってきました。そのまま継続したところ、1ヵ月後には普段の生活では頻尿が気になることがほとんどなくなりました。まさか、漢方で頻尿が改善すると思わなかったのでびっくりです。まだ、外出前などは気になるせいかトイレの回数が増えてしまうので、漢方の服用は続けています。疲れると膀胱炎になりやすかったのですが、漢方を飲み始めてから膀胱炎にもならずに調子がよいです。

漢方薬を選ぶ際には自分の体質に合ったものを選ぶことが大切です。体質に合っていない場合は、効果が出ないことや、副作用が出ることもあります。購入時にはできる限り漢方に精通した医師、薬剤師等にご相談ください。

自分に合った漢方薬が知りたい。コスパ良く漢方を飲んでみたい。という方にぴったりの、スマホから専門家に相談すると、症状や体質に合った漢方を自宅に届けてもらえるサービスです。AI(人工知能)と漢方のプロフェッショナルが、効く漢方を効率よく見つけ出してくれるから高コスパ。効く!お手軽!うれしい価格!と三拍子揃っています。

●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/

頻尿を改善して毎日を快適に過ごそう!

ここまで、更年期の頻尿の原因や治療法についてお話ししてきました。
トイレが近くて困っている方のお役に立てばうれしいです。

頻尿を和らげるためには、毎日の生活の中で効果骨盤底筋体操や膀胱訓練を行い筋肉を鍛えることが大切です。
膀胱を刺激しやすく利尿作用のあるコーヒーや紅茶、緑茶などの代わりに、麦茶などのノンカフェイン飲料に切り替えることも有効です。
寝る前には水分を控えるなど、水分をとる時間にも気をつけましょう。

頻尿解消のためには、長い目で見た時に根本から体質を改善することが重要になります。
この機会に漢方薬を生活の中に取り入れてみてはいかがでしょうか。乱れてしまった体のバランスを効率的に整えることができます。

●胃腸が弱く体力が低下した人に・・・清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
●体力があまりなく、疲れやすくて、四肢が冷えやすい人に・・・八味地黄丸(はちみじおうがん)
●排尿異常があり、ときに口が渇く人に・・・猪苓湯(ちょれいとう)
●体力があまりなく、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量が減少し、むくみが強い人に・・・牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
●下半身は冷えるが顔やほてる方、高血圧傾向の人に・・・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
●足腰が冷える方、貧血・低血圧の方・・・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

最後に、排尿回数が多すぎる、尿がほとんど出ないなど、強い排尿異常ががある方は、泌尿器科を受診して病気の可能性がないかどうか確かめることが大切です。。
自分自身ではもう対処できないと思った時は、我慢せずに早めに医療機関に相談してみましょう。

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