身近な漢方の名医を探す方法

漢方基礎知識

ひとくちに「名医」といっても、その定義はさまざまです。広辞苑によると「名医」とは「名高い医師・すぐれた医師」と定義されています。当サイトでは、漢方専門医の定義を参考に、身近な漢方の名医を探し、見分けるポイントをご紹介します。

漢方の名医ってどんな先生?

ひとくちに名医といっても、さまざまな定義があります。そこで、今回は「漢方専門医」の認定を行っている「日本東洋医学会」の専門医の定義から、漢方の名医について考えてみます。専門医像は、下記のようにまとめられています。

西洋医学的な専門医資格を取得した上で、さらに漢方医学を充分に修得し、漢方を用いる際の独特の診察を行って、患者様一人一人の症状や体質に適した漢方医療を提供できる医師

引用元:「一般社団法人 日本東洋医学会  www.jsom.or.jp/universally/doctor/index.html

この記事では「西洋医学の専門性」「漢方医学の専門性」「個々の患者に適した漢方医療」の3つの観点から、漢方の名医を見つける方法をご紹介します。

西洋医学の専門性

漢方薬は、西洋薬が使用される以前は薬物療法の柱でしたが、現代においては西洋薬と併せて用いられます。そのため、漢方の名医には、漢方医学に関する経験・知識だけではなく、西洋医学を充分修得していることが求められます。ではどのように見分ければ良いのでしょうか。

西洋医学に精通しているかどうかは、病院・クリニックのウェブサイトから確認できます。

まず、医師紹介のページにアクセスします。

次に、西洋医学の専門医資格を確認します。例えば、「日本内科学会認定総合内科専門医」「日本皮膚科学会認定皮膚科専門医」などと記載されています。

一般に、専門医資格を取ることはとてもハードルが高く、高度な専門性を持った医師でも、学会認定の専門医資格を持っていない医師もいます。また、西洋医学の専門医資格がなくても、漢方医としては経験が長く著明な先生もいます。そのため、今回ご紹介した方法では、そのような医師は除外されてしまうので、このれはあくまでもひとつの方法として参考にしてみてください。

漢方医学の専門性

2つ目のポイントは「漢方医学を充分に修得し、漢方を用いる際の独特の診察を行う医師」であることです。これは西洋医学と同じく、専門医資格で見極めます。西洋医学の専門医資格と同様に、資格取得の条件は厳しいですが、日本東洋医学会が認定する「日本東洋医学会認定 漢方専門医」の資格を保有していれば間違いありません。

以下のリンク先から専門医を検索できます。しかし、検索してもヒットしない場合もあります。それは「医師がデータベースに登録されていない場合」、「医師が複数の施設に勤務している場合」などです。

リンク:日本東洋医学会>専門医検索

専門医制度があるのは日本東洋医学会ですが、漢方医学の向上に貢献している学会は他にもあります。日本東洋医学会を含めて、その他の学会について簡単にご紹介します。

東亜医学協会

1938年に設立された日本で最も歴史のある漢方医学に関する学会です。設立者は矢数道明先生、大塚敬節先生です。日本最初の漢方専門医療施設として有名な金匱会診療所を開設されたのが、大塚先生です。東亜医学協会は、学術誌として「漢方の臨床」を発行しています。

一般社団法人日本東洋医学会

1950年に設立された日本で最大の漢方医学に関する学会です。専門医制度では、条件として西洋医学の専門医であることが求められています。そのため、日本東洋医学会が認定した漢方専門医であれば、西洋医学の専門医でもあるということです。学術誌として「日本東洋医学雑誌」「Traditional & Kampo Medicine」を発行しています。

一般財団法人日本東方医学会

1983年に設立された学会です。特徴は、日本の漢方医学だけではなく、中国医学、韓国医学、アーユルヴェーダ医学、ユナニ医学などの東方医学(Eastern Medicine)と西洋医学との交流を図ることを目的としていることです。「東方医学」という学会誌を発行しています。

一般社団法人和漢医薬学会

1967年「和漢薬シンポジウム」を皮切りとして、1984年に発足した学会です。学会の目的は、和漢薬の資源・品質管理・作用機序・臨床研究に関する最新の知見を検討し、基礎と臨床を繋ぐ架け橋の役目をすることです。事務局の所在地は富山県富山市です。学術誌として、日本東洋医学会と合同で「Traditional & Kampo Medicine」を発行しています。

日本臨床漢方医会

日本固有の伝統文化である漢方医学の発展を目的に、1997年に設立された学会です。機関紙「日本臨床漢方医会会報」を発行しています。

以上の学会に所属している医師の中からも、漢方の名医を探すことができます。

個々の患者に適した漢方医療

最後のポイントは「一人一人の症状や体質に適した漢方医療を提供できる」ことです。見分ける方法は2つあります。「医師の口コミを探す」ことと「受診してみる」ことです。

口コミサイトで調べる

近年、口コミサイトに集まっている口コミの量も質も向上しています。口コミサイトには「MEDIRE」「クリンタル」などがあります。注意点としては、評価の良し悪しよりも口コミの内容を確認することです。

受診してみる

ここまで名医を見分ける方法をご紹介しました。しかし、多くの人にとっての名医が、あなたにとっての名医かどうかはわかりません。なぜなら、人によって困りごとは異なり、あなたの困りごとは、あなただけの困りごとだからです。つまり、ある程度調べて、当たりをつけたら、まずは受診してみて、そこで見極めてみましょう。

漢方の診療では、視覚を用いた診察(望診・ぼうしん)、聴覚と嗅覚を用いた診察(聞診・ぶんしん)、現病歴・既往歴と体質を聞き出す診察(問診・もんしん)、脈やおなかに触れる診察(切診・せっしん)が用いられます。その上で、医師から漢方薬が処方されます。その漢方薬を、数週間服用し、困りごとが改善、あるいは解消するかどうかを振り返ります。

セカンドオピニオンを遠慮しない

改善のきざしがない場合には、迷わずに他の医師にセカンドオピニオンを求めましょう。この際のポイントは、もし血液検査やレントゲンなどの検査をしている場合には「紹介状」を書いてもらうことです。なぜかというと、セカンドオピニオンの先生を受診する際に、再度検査をする手間と出費を避けるためです。その際に、転院をする理由は「体調が良くならないから」と率直に伝えても良いですし、「自宅から通いやすいから」など、適当な理由を伝えても良いと思います。

不快な症状は、身体の不調のサインです。その症状を放置すると、将来の病気の原因になるかもしれません。そのため、健康的な状態を維持することは重要です。その際に、自分と相性の良い漢方の名医を見つけられていれば、困りごとがある度に相談でき、健康的な状態を維持できます。だからこそ、妥協をせずに、漢方の名医を探すことをおすすめします。

漢方の名医を見つけて困りごとを相談してみましょう

漢方の名医の条件は、西洋医学と漢方医学に精通し、一人一人にあった漢方薬を処方できる医師を指します。漢方に関する学会はいくつか乱立していますが、その中でも日本東洋医学会には専門医制度があります。

最近では、口コミサイトも充実しているため、受診した人たちの評価を受診前に確認できます。そして、受診した上で、数週間たっても症状が改善しない場合には、迷わず他の医師を受診しましょう。気になる症状がある場合には、上記の方法を参考に、漢方の名医を探してみてください。

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