つわりを思い出すほどの吐き気と頭痛で仕事がままならない…プレ更年期の症状かも!?

プレ更年期の吐き気 アイキャッチ
体験談

風邪でもないのに、つわりのような胃のムカムカや不快感、頭痛やめまいをともなう気分の悪さを感じる、といったことはありませんか?
それは、もしかしたらプレ更年期(30〜40代)や更年期(40〜50代)に起こりがちな「更年期の吐き気」の症状かも!?

そんな自分ではどうにもならない更年期症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「更年期の吐き気」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

仕事にならないほどの吐き気と頭痛、数々の体調不良は更年期のせい?

パソコンの前に座る体調不良の女性

綾子さん(40歳女性)、デザイン会社経営の方からご質問をいただきました。

数年前に立ち上げた会社の経営がやっと軌道に乗り始めたところではあるのですが、仕事と育児によるダブルの疲れが出たのか、このところとっても体調が悪くて…。
特に、睡眠不足が続いたときなどは、肩こりや頭痛に加えて猛烈な吐き気に襲われてしまって、一日中仕事にならないほどなんです。3人の子どもがいるので、それなりにつわりの経験もありますが、妊娠中よりもつらい吐き気と体調不良で、精神的にも参ってしまっています。
更年期にはまだ早いような気もするのですが、イライラや疲労感、冷えやほてりもあるので、やはり年齢には勝てない、と気弱になってしまうときもあります。
この症状を改善する良い方法はないでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
吐き気は、めまいや頭痛といった症状と連動して起こることも多いため、日常生活にも支障をきたしがちです。働く女性にとっては、症状の強いときに休めなかったりすると本当につらいですよね。
今回は、そんな更年期の吐き気の原因や改善方法についてお伝えしていきましょう。

ホルモン減少とストレス、「水」の巡りの悪さが吐き気の原因!

更年期の吐き気は、女性ホルモン(エストロゲン)の減少が主な原因です。
ホルモンバランスの乱れにより自律神経が不安定になると、消化機能が低下して胃腸の不調や吐き気を引き起こします。
さらに、日々のストレスなど精神的な要因や生活習慣の乱れが加わることで血圧が変動し、吐き気に頭痛やめまいを伴ってしまうのです。

東洋医学では、更年期の吐き気は、「気・血・水(生命エネルギー・血液・水分)」のうち、特に「気」と「水」の異常が原因と考えられています。
「気」の巡りが悪くなったり、高ぶって逆上したりストレスを感じたりすると、胸のつかえやゲップなどに加えて吐き気を催します。
また、「水」の巡りが悪くなっても、体内の水分代謝がうまくいかず、胃に余計な水分が溜まるため、胃もたれや吐き気が引き起こされます。

つらい吐き気を改善する4つのセルフケア

1.食で「気」の巡りを良くしよう

グリーンスムージー

日頃ストレスを感じやすく溜め込みやすい、という人には特に「気」の巡りを良くする香りの良い食材がオススメ! 少量ずつ、種類を多く摂るようにしましょう。

「気」の巡りをよくする食材
セロリ・ニラ(香味野菜)、キウイ、ミカン、生姜、シソ、ハーブ類

2.適度な運動を取り入れて代謝UP!

体を動かさないと代謝が悪くなり悪循環を招きます。まずは、朝の散歩やストレッチなど簡単にできることから始めるといいですね。
運動に抵抗がない人には、ウォーキングやジョギング、気功などじわじわ汗をかく運動がオススメです。

3.質の良い睡眠で心身ともにリラックス!

眠る女性

質の良い睡眠をとり、自律神経を安定させて吐き気を予防しましょう。
心身共にリラックスしてから寝ることで、良質な睡眠をとることができます。

以下のポイントを意識しましょう。

・就寝の3時間前には食事を済ませる。
・寝る直前ではなく、寝る2時間前までに40℃くらいのぬるめのお湯に入浴する。
・寝る前は携帯やパソコンを触らない。

4.日常にアロマを取り入れる

アロマセラピーで使われる精油の香りは、脳の視床下部に働いてホルモンバランスや自律神経系の乱れを整えます。
リラックス効果のあるラベンダーやクラリセージ、エストロゲンに似た作用をもつゼラニウムなどが特にオススメです。

漢方薬で心と体の症状を両面からサポート!

漢方薬

つらい吐き気の症状を改善するために、抗うつ薬や抗不安薬の服用や、ホルモン補充療法を受けるという選択肢に加えて、根本的な改善を目的とした漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方にオススメしたい漢方薬は、呉茱萸湯(ゴシュユトウ)。胃から冷えているような方の胃や体を温めて、吐き気を伴う頭痛を改善する効果があります。
また、吐き気に加え、喉のつかえやイライラなどの精神症状をともなう場合は、半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)の服用で症状が改善した方もいます。
一方、更年期に伴うイライラ、頭痛に胃がチャポチャポするような感じがある場合は、水分代謝を整え、頭痛などの痛みを発散させやわらげる働きのある苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)もオススメです。

自分の体質に合う治療法を見つけることが大切

窓際に立って日光を浴びる女性

今回は、更年期の吐き気に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
食べ物の工夫や睡眠の質改善、適度な運動などに取り組み、安定した気持ちを保つように心がけましょう。
更年期の吐き気の治療はいくつも選択肢があり、ご自分に合った方法を選ぶことができます。漢方薬も有効ですので、お気軽に漢方薬局や漢方医に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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