歩くのもつらい…ギックリ腰のような生理前の激痛に脂汗!
なんだか腰や下腹部のあたりがズキズキすると思って耐えているうちに生理になった、生理前の時期になると立っていられないほどの腰の痛みがある……。
それは、もしかしたら月経前症候群(PMS)による腰の痛みかも!?
実は、多くの女性が月経前に起こるさまざまな症状に悩んでいます。
自分ではどうにもならない生理時の不調やつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師がお答えしていきます。
今回は「生理前の腰痛」をテーマに、神戸海星病院麻酔科の桐田泰江先生にお話を伺ってみました。
目次
生理中より生理前の方がつらい…この腰の激痛を消し去りたい!
亜由美さん(31歳女性)、接客業の方からご質問をいただきました。
1年ほど前から、生理の前になると起こるひどい腰痛に悩まされています。
もともと冷え性なせいか生理痛は重くて、下腹部や腰の痛みも強かったんですが、最近は、生理になる前の症状の方がつらいんです。
前回の生理の時は、あまりの腰の痛みで仕事中に動けなくなり、そのまま倒れこんでしまったのですが、もう顔中から脂汗が出るほど痛くて! なんとなく『もうすぐ生理なので腰が痛いだけです』とも言えなくて、私の症状を「ギックリ腰」だと勘違いした同僚に家までタクシーで送り届けてもらったほど……。
普段から高いヒールを履くことも多くて、歩くたびになんだか腰がズキズキするな、と思ってはいましたが、まさかこんな激痛に襲われるとは思ってもみませんでした。
どうしたらこの生理前の腰の痛みを改善することができるでしょうか?
ご質問ありがとうございます。
腰の痛みも生理前に起こるさまざまな症状のうちのひとつですが、ギックリ腰のような激しい痛みがあるのはかなりつらいですね。
では今回は、生理前に起こる腰の痛みの原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。
プロスタグランジンによる血管収縮が腰の痛みの原因!
月経の前になると、子宮収縮を促し経血をスムーズに排出させるためのプロスタグランジンという生理活性脂質が多く分泌されるようになります。
このプロスタグランジンには、血管や筋肉を収縮させる作用もあるため、これが腰の痛みやだるさの原因にもなるのです。
また、東洋医学では、「気・血・水(生命エネルギー・血液・水分)」の流れが滞ったり不足したりすることによって痛みが生じたりすると考えられています。
腰の痛みは、「血」が滞り、「血瘀(けつお)」の状態になると起きやすくなります。
次の章では、こうした月経前に起きやすい腰痛に対する具体的な解決方法をお伝えしていきましょう。
月経前の腰痛に効く!簡単セルフケア3選
1.冷えとりで血の巡りを改善しましょう
体が冷えることで血の巡りが滞り、腰の痛みが悪化してしまいます。
下腹部はもちろん、腰とおしりの間にある仙骨(せんこつ)のあたりを温めることで腰の痛みを和らげることができます。痛みの強い時には、カイロなどで重点的に温めるようにしてみてください。
また、痛みのある時だけでなく、普段から体を冷やさないように冷たい飲み物を避け、ぬるめのお湯にゆっくり浸かる入浴法を習慣づけることが大事です。
冷えない体づくりを心がけ、月経前に腰痛が起きる体質を改善していきましょう。
2.靴選びを見直しをしましょう
高すぎるヒールや足の形に合わない靴をはいていませんか?
痛みや違和感を我慢することで疲労が腰に溜まり、血流が滞ることで腰痛の原因になってしまいます。
月経前に腰の痛みのある場合は、ヒールの高い靴は避け、歩きやすくフィット感の高いクッション性のある靴を選ぶようにすることが大事です。
血流改善したい場合は、ヨガやストレッチをするのがオススメです。
3.腰痛をやわらげる「手もみ」をしよう
手には、月経前のつらい腰や下腹部の痛みに効果がある反射区やツボが、たくさんあります。
今回は、腰痛が起きるのを緩和するための「下腹部の血流改善」と「ストレスケア」に効果的な場所を紹介しますので、ぜひ試してみてください。
手根(しゅこん)の反射区
手首の付け根部分の内側、横じわの少し上あたりにあるのが手根の反射区です。
下腹部に反応する反射区で、ここをゆっくり揉みほぐすことで血流がアップし、痛みを緩和することができます。
労宮(ろうきゅう)
手の指を内側に軽く曲げた時、中指と薬指が触れる部分、手のひらのほぼ真ん中に位置するツボです。
ここを刺激することで、自律神経を整える効果があります。
なんだかイライラする、ストレスが強いと感じる時にゆっくりと押し揉んで刺激してみてください。
根本的な体質改善には漢方薬が効果的!
月経前の腰痛を改善するために、市販薬やピルなどの処方薬に頼るという選択肢に加えて、根本的な改善を目的とした漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、五積散(ゴシャクサン)です。
冷えが強く、胃腸の弱い方の体を温めて「血」や「水」の流れを改善し、冷えによる腰の痛みを和らげる効果があります。
また、腰痛以外に肩こりや便秘などがある方には、血液の流れを良くして「血瘀」を改善してくれる通導散(ツウドウサン)もオススメです。
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腰の痛みが起きる前の対策を心がけましょう
今回は、月経前の腰痛に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
腰の痛みが起きてからでは体を動かすのもつらいので、普段からの冷えとり対策や血流アップのための運動を心がけ、月経前の腰の痛みが起こりにくい体質への改善を目指しましょう。
セルフケアではなかなか症状が改善しない場合には、腰痛の症状によく効く漢方薬もあります。ぜひ、お近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。
それでも改善しない場合は、子宮筋腫や子宮内膜症などの他の可能性もありますので婦人科を受診することをお勧めします。