なぜか喉がやたらと乾く場合におすすめの11種の漢方薬

呼吸器症状

はげしい運動をしたあと、暑くて汗をかいたとき、塩からいものを食べたあと、酒を飲んだあとなどに、喉が渇き、水分を求めるのはだれしもが経験する生理現象です。この場合、水分を補給しないと脱水症状を起こし、ときには生命の危険もありますが、健康な人の日常生活では、水分を補給しないということは考えられないから、まず問題はありません。

なぜか喉がやたらと乾く場合に考えられる病気

問題になるのは、なんらかの病変があるために水分代謝のバランスがくずれ、からだの一部に水がたまり(むくみや腹水)、喉が渇くという場合です。血液中のナトリウム、カリウム、クロールなどの電解質のバランスがくずれるからです。

たとえば、糖尿病や尿崩症(にょうほうしょう)などがそうであり、胃炎や胃・十二指腸かいようなどの胃腸疾患の場合にも、喉が渇くことがあります。下痢のさいなどは、水分がどんどん失われていくので、喉が渇くことが多いです。正常な生理現象ではなくて、喉が渇くというときは、要注意です。

漢方は茵蔯蒿(いんちんこう)や石膏(せっこう)が効く

漢方では、喉が渇くのは病変のあらわれであると考え、重要な目標のひとつになっています。ただし、喉が渇くのと、口が乾くものとを区別しています。

喉が渇いて水を飲みたがるものを、口渇(こうかつ)といいます。これは急性症状にしても、水毒(前述参照)によるものが多いです。

口が乾くものが、口乾(こうかん)です。この場合は、口の中にツバが少なくなりますが、水は飲みたくなく、ただ口をすすぎたがります。口乾は、体力のない虚証の人に多く、ときには瘀血(前述参照)によるものと考えられます。

喉が乾く場合におすすめの漢方薬

白虎湯(びゃっことう)

総体に元気がよい人の口渇に用います。

五苓散

口渇があって、しきりに水を飲みたがりますが、水を飲むとすぐに吐いてしまう場合によいです。このようなときは、尿量が減少し、熱はあっても汗は出ません。乳幼児やふつか酔いに多い現象です。

茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)

口渇と尿量減少のある、黄疸に。

茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)

口渇と尿量減少があって、便秘し、上腹部が膨満しているものに用います。茵蔯蒿というのは、カワラヨモギの葉または果実のことで、肝臓の解毒機能を回復する作用をもっていますが、これが含まれた処方の第一目標は、口渇です。

猪苓湯(ちょれいとう)

口渇があって、尿が近く、そのくせ一回の量は少なく、排尿時に痛んだりするものに。

八味丸

口渇と多尿を目標にして、老人に。

竹葉石膏湯(ちくようせっこうとう)

体力が弱まり、高熱を発し、うわごとをいうような人の口渇に。肺炎やはしか、インフルエンザなどに用いますが、処方名中の石膏が止渴剤なのです。なお、石膏は別名、白虎ともいい、冒頭の白虎湯にも当然含まれています。

小柴胡湯

胸脇苦満(前述参照)とともに口乾が目標です。この場合は、口がねばるとか、苦いという訴えがあります。

大柴胡湯

上の症状で、ガンコな便秘のとき。

真武湯(しんぶとう)

口乾があり、体力が衰え、食欲不振に。

炙甘草湯(しゃかんぞうとう)

口乾があって、舌がかわいて赤く、皮膚や粘液にも乾燥の傾向があり、大便も硬いものに用います。老人や病後、産後によくみられます。

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