鼻がつまる(アレルギー鼻炎)時におすすめの漢方薬5選

呼吸器症状

アレルギー性鼻炎は一種の文明病です

だれもがよく経験するのが、かぜの場合の急性鼻炎です。鼻カタルともいいます。クシャミが出て、鼻がつまり、鼻みずも多く出ます。かぜによる細菌、ウイルス感染がいちばん多いですが、この場合は、発熱・倦怠感・食欲不振も起こります。鼻みずははじめ水っぽく量も多いですが、次第に濃くなり、量も減ると、むしろ鼻づまりはとれます。

慢性症状の場合

ふだんなんともないようでいて、発作的に多量の水っぽい鼻みずが出て、鼻がつまり、セキとクシャミを連発するのが、アレルギー性鼻炎です。血管神経性鼻炎ともいいますが、最近たいへん発病する人が多くなっています。一種の文明病ともいえましょうか。

アレルギー性の場合は、このほかに、ときによってまぶしく感じられたり、涙が出たり、軽い頭痛がすることもあります。これらの状態が一、二週間もつづきますが、そのあとは元どおりになるのがふつうです。年齢に関係なく発症しますが、温度に過敏な人や、抵抗力の弱い老人、子どもがかかりやすい一種の体質病です。

その原因はズバリ、アレルギーです。ほこり・ある種の花粉・気温や気圧の変化・精神的ストレス・大気汚染・ある種の薬物・特定の食品など、原因となるものをアレルゲンといいますが、体質的にこれらのものに反応を起こしてしまう過敏症なのです。

現代医学では、アレルギーに対しては、減感作療法(げんかんさりょうほう)、あるいは脱感作療法(だっかんさりょうほう)とよばれる原因療法を行います。これはアレルゲンに対して免疫をつくろうというもので、原因となる可能性のあるアレルゲンをひとつずつ接種していきます。けれども、アレルゲンの数は無数にあり、個体差も多く、しかも心因性が強いのがアレルギーの特徴であるから、現代医学でもなかなか治療がむずかしいです。

さて次に、鼻の左右が交互につまり、粘液性の鼻みずが出ることが多いのが、慢性鼻炎です。これは急性症状をしばしばくりかえしたり、ちくのう症があるために起きるもので、これまたアレルギー体質の人に多いです。鼻がつまるから、呼吸もしにくく、口をあけていることが多いので、咽頭炎なども起きやすいです。

こうした慢性のものに点鼻薬を使用していると、鼻炎の中では最も多い肥厚性鼻炎(ひこうせいびえん)に移行することがあります。炎症がつづいて鼻の粘膜が厚くはれ、鼻腔(びこう)がせまくなってしまうので、鼻づまりがひどく、口で呼吸しなければならなくなってきます。

慢性鼻炎にはほかに、思春期の女性に多い、鼻粘膜がかわいて鼻が臭くなる萎縮性鼻炎(いしゅくせいびえん)があります。

鼻汁がひじょうに多く、膿性のものの場合は、「ちくのう症」を疑います。別項参照。

子どもに多い鼻づまりは、へんとう肥大(アデノイド)であります。へんとうが肥大し、鼻をうしろのほうから圧迫するので、鼻づまりが起こり、そのために口で息をするようになります。ただし、子どもは動きがはげしいため、鼻からの呼吸だけでは足りず、口で呼吸することが多いです。したがって、観察は夜寝静まったあとの安静状態で行います。別項「へんとう肥大」参照。

このほかに、鼻たけでも鼻はつまります。この場合はガンコで、両側にくることもありますが、簡単な手術で除去できるので、専門医に相談します。

漢方は「かいびとう」との併用で

鼻炎に対しては、急性・アレルギー性・慢性を問わず、漢方がよく効きます。慢性化したものでも、体質改善をはかりながら、鼻症状をとるので、典型的な漢方の適応症です。

鼻がつまる(アレルギー鼻炎)時におすすめの漢方薬

葛根湯

鼻がつまり、あるいはうすい鼻みずが出る初期に用います。慢性のものにも効きます。

小青竜湯

急性期のうすい鼻みずによいです。

十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)

濃くなった鼻汁に一般的に用います。

小柴胡湯

やや慢性化したものの体質改善に。

苓桂朮甘湯

慢性のもので、胃アトニーなどがある人、めまいしやすい人に用います。

ところで、これらの漢方薬を服用するときに、「かいびとう」という漢方茶料と併用するとさらに効果が増します。これは、中華民国鐘耳鼻咽喉研究所の鐘江松先生の秘伝で、大葉野百合(マメ科植物で、消炎効果が強い。台湾の南部に自生する)を主成分とした、一種の健康茶です。

「かいびとう」の抽出エキス (一回分一袋二グラム)をきゅうすに入れ、熱湯を注いでお茶がわりに飲みます。服用は一日三回、毎食前三〇分~一時間、つまり漢方薬を服む時間に、熱いのをフーフーさましながら飲みます。冷たくして飲んでは効果が少ないです。「かいびとう」単味の飲用でも、長期連用することで、鼻炎を治すことが証明されています。

日常生活の中の減感作療法

アレルギー性鼻炎の人は、日常生活でもできるだけアレルゲンを遠ざけるのが望ましいです。たとえば、最も多いアレルゲンは家ぼこり(ハウスダスト)なのですが、掃除は電気掃除機で行い、ベッドで寝るようにする。寝具は真綿や羽毛を避け、綿や化学繊維にします。ペットや、剝製(はくせい)も避けます。

また、 一日一~二回、入浴時にタワシを用いて全身をマッサージするのも効果的です。皮膚面の血行をよくすることにより、体質が改善されます。

食事療法

アレルゲンとなりやすいサバや卵、牛乳・肉類・くだもの・ゴボウ・レンコン・サトイモなどを避けるのはいうまでもないです。重要なのは、水分のとりすぎ(生水・生の食物・清涼飲料水)もよくないことです。「かいびとう」の水分を含めて一日量一リットルぐらいが限度です。

民間療法

ドクダミが、鼻炎・ちくのう症に効くことはよく知られています。乾燥した葉をお茶がわりに飲むとともに、生の葉を塩もみして、鼻腔にさしこむと、鼻づまりが治りやすいです。

コブシのつぼみも、鼻の疾患によく使われます。これは、漢方生薬として使われる辛荑(しんい)であり、漢薬店で売っています。乾燥したものを一日二~五グラムを煎じて服むとよいです。なお、前述の「かいぴとう」の中にも、辛荑は配合されています。

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