肩こり・痛む場合におすすめの漢方薬13種

症状別の漢方

肩こりは半健康の状態の場合が多いです

肩こりは、肩の筋肉に新陳代謝の結果できた老廃物がたまって起こるものです。慣れない仕事や過激な労働、不自然な姿勢をとったために起こったものならば一時的なもので、さほど心配するにはおよびません。けれども、肩こりがこわいのは、内臓の疾患の一症状としてあらわれることが多いからです。

肩こりのときに考えられる病気

これがじつに多いです。ざっとあげてみても、次のようなものがあります。高血圧症・低血圧症・心臓病・貧血・神経症・胃炎・胃下垂・胃酸過多症・胃かいよう・肝炎・胆石症(たんせきしょう)・かぜ・肋膜炎(ろくまくえん)・肺結核・常習性便秘・更年期障害・生理異常・歯や耳やのどの疾患・・・、あるいは、むち打ち症・寝ちがえ・変形性頸椎症(へんけいせいけいついしょう)・五十肩・頸肩腕症候群(けいけんわんしょうこうぐん)、さらに首のねんざ・けが・おできなども、主訴は肩こりです。

内臓など、からだのどこかに病変がある場合はこれを治すのが先決です。

ところが、このうちの心因性のものや、自律神経の不安定なものは、精密検査をしても、どこにも異常がみあたらないということがよくあります。そして、主訴としての肩こりだけが慢性に残ることも少なくないです。つまり、半健康の状態です。肩こりは、いわば健康のバロメーターなのです。

五十肩の症状

肩が痛む場合は、多くが肩関節周囲炎(けんかんせつしゅういえん)、いわゆる五十肩です。五十歳前後によく起こるので、この俗称があるが、肩の関節のまわりの筋や膜などが老化現象を起こして、肩の痛みと肩の運動障害が起こる病気です。

肩関節の運動障害は、とくに後頭部に手をやるときにいちじるしく、髪に櫛(くし)を入れたり、帯を結んだり、セーターを着たりぬいだり、頭を洗うことがむずかしいです。また、腕を伸ばしたとき、たとえば引き戸や障子をあけるとき、紙くずを投げたりするときにも、激痛が走ります。

また、痛みのために、夜間しばしば目をさまし手のおきどころに困るといったこともよく起こります。起床時も肩の動きはわるいが、活動をはじめると次第に動きはかるくなり、夕方になって疲れが出てくると再び痛みだすのも特徴です。

これらの痛みは、ふつう片側だけに起こり、両方の肩が同時におかされることはないです。また、発病しても永遠につづくわけでなく、半年から一年くらいで治まるのがふつうです。

漢方はまさに適応症

まず、原病を治療するのが先決ですが、半健康状態の肩こり、老化現像としての五十肩には、漢方はまさに適応症です。

肩こりにおすすめの漢方薬

葛根湯

体力が中程度以上の人の、首から上の炎症性疾患、かぜなどに一般に用います。肩もこるが、後頭部から首すじにかけてもこるときによいです。五十肩なら比較的初期で、うなじから肩にかけて強く痛む、体力のある人によく用いられます。

桂枝加葛根湯

体力がない人の、上の症状に。

葛根加朮附湯(かっこんかじゅつぶとう)

比較的体力がなく、冷えもある上の症状に。五十肩にとくによいです。

桂枝加朮附湯

体力がなく、手足が冷え、貧血の人の五十肩に効きます。

大柴胡湯

肥満して、胸脇苦満(前述参照)があり、便秘がちな人で、首の横側から両肩にかけてこるものに処方します。柴胡加竜骨牡蛎湯右の症状のほか、不眠・イライラなどの神経症状をともなうものに。五十肩可。

小柴胡湯

胸脇苦満があり、便秘しない人の首の横側から両肩にかけてこるものに。

柴胡桂枝湯

上の症状で、体力のない人に。

加味逍遙散

更年期女性で、頭が重く、のぼせ・めまいなどのある人の肩こりに。五十肩なら、夜間手がだるく痛み、手のおきどころがなくて安眠できない女性に用います。

当帰芍薬散

更年期女性で、頭になにかかぶさったように不快で、手足が冷える人に。顔色わるく、めまい・頭痛も目標。五十肩にもよいです。

当帰芍薬加附子湯

上の症状が強いものに。

桃核承気湯

のぼせ症で元気があり、体格よく便秘がち、左下腹部にひきつりのある肩こりに。

桂枝茯苓丸

上の症状で、便秘のない人に。五十肩にも用います。

ハ味丸

下腹部軟弱・夜間排尿があり、手足に熱感があって、腰が冷える人の肩こり・五十肩に。

物理療法もあわせて行う

肩こりや五十肩には、入浴・マッサージ・体操、あるいはハリ・灸などの物理療法が有効です。

マッサージは、筋肉にしこりのある部分や、圧痛のある場所を重点的に行うとよいです。入浴したあとなら、さらに効果があります。ただし、五十肩の急性期にあまりはげしくもんだり、たたいたりすると、かえって痛みがひどくなることがあります。

五十肩の場合は、入浴で患部をあたためるのが効果的です。入浴中にできるだけ肩の運動をするのもよいです。また、夜寝るとき、わきの下に枕をはさんでおくと、起床時が比較的楽になります。

肩こり一般には、次ページに掲げた、肩こり体操を最低一日三回行うとよい。予防にも有効です。

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