尿のキレが悪いせいであらぬ疑いが! 職場で膀胱炎を告白する事態に…

体験談

尿を出し切ったはずなのになんだかまだ膀胱に尿が残っている気がする。尿の切れが悪く、頻繁に尿意を催してしまう……。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「膀胱炎による残尿感」をテーマに、薬剤師の手塚智子先生にお話を伺ってみました。

やたらトイレを長引かせる残尿感…つらい膀胱炎症状はどう治す?

菜津美さん(31歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。

昔から冷え性がひどく、寒い日や冷えを感じる日はお手洗いが近くなるタイプなのですが、このところ仕事の忙しさや職場でのストレスもあり、膀胱炎で頻尿気味に。
頻尿だけならまだしも、尿を出し切ったのかまだ残っているのかよくわからないような変な感覚があるため、しばらくトイレに滞在することになってしまうんです。切れが悪く、時間をおいてはチョロチョロと出る尿を眺めているうちに、たかがオシッコに5分ほどトイレに滞在してしまうこともあるほど。
先日も、就業時間中に例のごとく何度もトイレに行っていたところ、隣の席のお局様的な先輩に「あなたそんなにサボってどこで何してるの? 彼氏に電話でもしに行っているの?」などと見当はずれなお叱りを受けてしまいました。適当にごまかしたのがいけなかったのか、男性上司に告げ口され、みんなの前で注意されるハメに。
あらぬ疑いで注意されたのもシャクだったので「膀胱炎でトイレが近いし時間もかかるんです」と真実を告げたのですが、男性が多いせいか、どう返していいかわからなかったようで……。シーンとした微妙な空気の中、とっても恥ずかしい思いをしました。
その日以来、トイレに向かうたびに「膀胱炎なんだよね…」という目で見られているようで、気まずさは募るばかりです。
1日も早く、やたらトイレに時間がかかるこの症状を改善したいのですが、何か良い方法はないでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
残尿感や頻尿などの膀胱炎の症状は、冷えやストレスによって悪化することもあるため、できるだけ体を温め、冷え性を改善することも大切です。
今回は、膀胱炎による残尿感の原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

残尿感は膀胱や尿道の「知覚過敏」が原因

残尿感とは、排尿後も尿が出し切れていない感じがあり、尿が膀胱に残っていると感じてしまう症状です。
特に、大腸菌などの細菌が膀胱に侵入して起こる「細菌性膀胱炎」では、実際には尿が残っていなくても、膀胱や尿道が知覚過敏の状態になって残尿感を感じることがあります。
またはっきりとした原因が解明されていないものの、精神症状が関わっていると考えられている「間質性膀胱炎」では、膀胱に炎症が起きていないにも関わらず残尿感の症状が生じることもあります。

東洋医学では、疲労やストレス、冷えなどによる免疫力が低下すると、免疫力と関係の深い「腎(じん)」や「膀胱」の機能が衰え、残尿感などの症状が起こると考えられています。

次の章では、このような「膀胱炎による残尿感」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

膀胱炎の残尿感を解消する3つのセルフケア

1.お腹や足腰を温めて冷えを改善する

残尿感をともなう膀胱炎症状の進行や悪化を防ぐためには、免疫力を高めることが必要不可欠です。
特に、免疫力と深い関係にある「腎」と「膀胱」は冷えに弱く、体が冷えることで膀胱炎の症状が悪化すると考えられています。
残尿感や頻尿、排尿痛があるときには、体を冷やさないように気をつけましょう。
「腎」と「膀胱」を温めるには、お腹や足腰など、下半身を中心に温めることが大切です。
お風呂にゆっくり浸かるのはもちろん、足湯や半身浴も下半身を温めるのに効果的です。
また、頻繁に残尿感を感じるときには、温かい靴下を履いたり、腰にカイロを貼るのもオススメです。

2.細菌を尿と一緒に排出しましょう

頻繁に尿意を催したり、残尿感があってつらいときには、普段以上に水分をたくさん摂るように心がけましょう。
水分の摂取量を増やして尿量が増えれば、膀胱の中の細菌を尿とともに洗い流し、細菌が増えるのを抑えることできます。
膀胱炎の症状が残尿感のみの初期段階であれば、これにより細菌を排出して症状が軽快することもあります。
細菌が増殖する前に膀胱から追い出すためにも、尿意を催したら我慢せず、すぐに排出するようにしましょう。

3.免疫力を高める食生活を心がける

膀胱炎の症状のあるときには、膀胱の粘膜を強化し抵抗力を高めるビタミンA、免疫力を高めるビタミンC、尿のスムーズな排出を助ける利尿作用のある食材を積極的に摂ることが大切です。
美味しく食事を楽しみながら、気になる症状をしっかり改善していきましょう。

◎ビタミンAの多く含まれる食材
小松菜・春菊・大葉・ニンジン・鳥レバー・豚レバー・ウナギ・卵・きのこ類

◎ビタミンCの多く含まれる食材
ブロッコリー・カリフラワー・ピーマン・ジャガイモ・キュウリ・イチゴ・海苔

◎利尿作用のある食材
小豆・緑豆・大豆・豆腐・豆乳・レタス・スイカ・柿・梨

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

膀胱炎による残尿感を改善するために、市販薬や処方薬の服用などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、八味地黄丸(ハチミジオウガン)です。
冷えが強く、残尿感による頻尿症状のある方の体を温めて「腎」の機能を高め、膀胱や尿に関するトラブルを改善する効果があります。
また残尿感に加えて、尿の出始めに時間がかかったり血尿をともなう場合には、排尿をスムーズにして細菌を排出し、膀胱粘膜を保護する効果のある猪苓湯(チョレイトウ)も良いでしょう。

自分の症状や体質にぴったりマッチした漢方薬を選ぶのは難しいと感じがちですが、「オンラインAI漢方」では、お悩みの症状を元にAIがあなたにぴったりな漢方薬をご案内しています。
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症状が悪化する前の対処を心がけて膀胱炎の改善を!

今回は、膀胱炎による残尿感に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、冷えを予防して免疫力を高める食事をすること、水分を多めに摂取して尿量を増やし、細菌を尿とともに排泄することなどが大切です。
また、こうした気になる膀胱炎の症状改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

手塚智子

大学院修了後、研究職に従事し漢方を学ぶ。その後、薬剤師として臨床で働く傍ら様々な接客業を兼業し、渡米。帰国後、体の内外にアプローチ出来ることを目指して薬剤師兼ビューティーディレクターとして就業中。

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