やけど(火傷)したときの対応と適した漢方薬5種

症状別の漢方

水ぶくれができるのは第二度です

やけどは、そのひどさに応じて、第一度から第四度に分類されます。第一度は、皮膚が赤くなって、ヒリヒリする程度のもの(紅斑(こうはん))、第二度は、水ぶくれができるもの(水疱)、第三度は、いわゆる焼けただれた状態(壊死(えし))、第四度は、黒こげの状態(炭化)である。素人が治療できるのは、第二度までです。

ただし、やけどの場合はひどさ以上に、被害を受けた範囲によっても影響されます。

とくに幼児では、全身の皮膚面積の十分の一以上ほどの広さでも、死亡することがあります。範囲が広いときは、第二度であっても、医師(外科)の診察を受けます。

やけどの応急手当

第一度の場合は、水道の水をかけて冷やし、軟膏をぬります。軟膏がなければ、ありあわせの食用油でもよいです。痛みが強いときは、水(できれば硼酸を少量とかす)に浸したガーゼを火傷面にあてるか、軟膏をつけたガーゼをあてて、包帯をし、その上から氷のうで冷やすとやわらぎます。

第二度の水疱は、化膿すると治りにくいので、膿ませないように注意する硼酸水かマーキュロで消毒し、清潔な包帯をします。水ぶくれの中の液を出そうとして、針でつついたりすると、かえって化膿の原因になるため、自然に破れるまで待ちます。いつまでも破れない場合は、医師の診察を受けます。

第三度以上になったら、軟膏や食用油をぬってはいけません。油類が付着していると、医師の治療(消毒)の妨げになるからです。清潔なガーゼを、しわがよらないように注意し、患部にただあてておくだけでよいです。なお、指を何本かいっしょにやけどしたときは、第二度以上のものは必ず一本ずつ、別にガーゼをあてるようにします。

薬品によるやけどの場合

硫酸・硝酸・塩酸などの強い酸や、強いアルカリが皮膚についた場合、局所のただれを防ぐため、ただちに水でじゅうぶんに洗い流します。強酸なら水と重曹(じゅうそう)で、強アルカリなら酢(す)やレモンで中和しながら、洗い流せればなおよいです。目の場合は、酸は一パーセント重曹水で、アルカリは二パーセント硼酸水で洗います。

漢方は紫雲膏ならあとも残らない

第二度くらいまでなら、漢方を使用すると、早く治るので、おぼえておいて損はないです。

やけどに適した漢方薬5種

紫雲膏

局部にぬる漢方の軟膏。第二度までなら、すぐ使えばあとも残らないです。この処方は、有吉佐和子さんの小説で有名になった、江戸時代の名外科医・華岡青洲の創方したものです。

伯州散(はくしゅうさん)

水ぶくれが破れて、化膿のおそれがある場合、紫雲膏にまぜて用います。

三黄瀉心湯

軽度のやけどで、のぼせがあり、気分がイライラして、軽い発熱があるときに。

黄連解毒湯

上の症状がやや長びくときに。

柴胡加竜骨牡蛎湯

動悸・不眠・興奮があって胸苦しく、けいれん・発熱のあるものに用います。

民間療法

キュウリのしぼり汁を患部にぬると効果があるといわれています。有持桂里によれば、生のキュウリを壺に入れておくと、水が出てくるので、それを使用してもよいです。

あるいは、アロエの葉のヌルヌルした粘液、ナンテンやスギなどの葉、カキの渋をぬるのも有効です。

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