閃輝暗点は頭痛がなくても油断できない?症状の特徴と対処法
閃輝暗点(せんきあんてん)は脳血管の収縮、拡張によって生じます。視覚野と呼ばれる視覚を司る血管の血流が、一時的に悪化して解消した際に、視覚異常として症状が現れます。
ここでは閃輝暗点の特徴や対処法、注意が必要な病気について解説します。
目次
閃輝暗点の症状の特徴は?
閃輝暗点の症状は、突然視野の真ん中あたりにキラキラした点が現れ、ギザギザした光の波が広がっていくのが特徴です。10〜20分くらいでギザギザがなくなることが多いとされています。
この症状は目を閉じたら治るわけではなく、目を閉じても見えます。症状が治まると片頭痛が起こることが多く、頭が重い程度から嘔吐を起こすこともあります。
片頭痛の前兆としての閃輝暗点
閃輝暗点は片頭痛の前兆としてよく知られています。この場合の閃輝暗点は通常10〜20分くらいで回復します。その後片頭痛がみられるという形になります。なので、閃輝暗点がそれ以上持続する場合は、他の原因を疑います。
何科を受診すればいい?
閃輝暗点が起こったときに病院の何科を受診したらよいのかは、症状によって異なります。
頭痛がない場合
症状が短く一時的な場合は、特に治療の必要はありません。そのため、すぐに受診が必要になるということはありません。
しかし、何度も繰り返し起こる、なかなか治らないというときは眼科を受診しましょう。
頭痛を伴う場合
頭痛を伴う場合はもちろん、その他の症状(手足のしびれ等)が出た場合は脳神経内科・脳神経外科がある病院を受診しましょう。
閃輝暗点が何らかの前駆症状として発生している可能性があります。その原因を突き止め、治療しないことには閃輝暗点の症状の改善も期待できません。
重篤な病気の可能性も?
頭痛を伴わない閃輝暗点は、まれに脳梗塞、脳腫瘍、一過性脳虚血性発作などの重篤な疾患の場合があります。
症状の持続時間が長かったり、極端に短い場合や、暗点がはっきりとしている場合、発症の頻度が増える場合には注意が必要です。すぐに脳神経外科・脳神経内科での精査を行う必要があります。
閃輝暗点と関連のある病気には次のものがあります。
脳梗塞
閃輝暗点は後頭葉という視野を担当する脳の一部が障害されることで起こります。そのため後頭葉で脳梗塞が起きた場合は、同様に閃輝暗点がみられます。その際、通常の片頭痛の前兆と違い、症状の持続時間が長かったり、視野が欠ける・暗点がはっきりしているなどの症状が出ます。
脳腫瘍
後頭葉に腫瘍がある場合、閃輝暗点が生じることがあります。腫瘍はなくなることがないため、閃輝暗点が繰り返し起こる場合などは、すぐに病院で精密検査を受けましょう。
一過性脳虚血発作
脳梗塞の前兆として生じる一過性脳虚血発作でも同様のことがいえます。一時的に虚血になることで閃輝暗点が生じるため、一過性脳虚血発作でも閃輝暗点が生じます。
閃輝暗点以外にも運動麻痺や感覚障害が生じることがあるため、いつもと違いおかしいと思う際は、すぐに病院を受診しましょう。
閃輝暗点の対処法
閃輝暗点が起きたときの対処は、まずは安静にすることです。その後に頭痛や吐き気が起こると予想される場合は、鎮痛薬や制吐剤を服用するとよいでしょう。
片頭痛を和らげる方法
片頭痛の症状や前兆が起きている間は、入浴を控えて、部屋を暗くして光や音などを避けて安静にして過ごしましょう。
また、痛む部分を氷等で冷やすことで痛みが和らぎます。カフェインも効くので、飲みすぎない程度にコーヒーなども効果的です。
片頭痛を起こさないように心がけることも重要になってきます。規則正しい生活とバランスがとれた食生活に気をつけ、ストレスや疲労をなるべく避けるようにしましょう。
頭痛がしないときはどうすべき?
頭痛がない閃輝暗点は、一時的に治まるため、ついつい放置してしまいます。しかし、何らかの原因が潜んでいる可能性も考えられます。頭痛がない場合でも、まずは医師に相談し、治療を行いましょう。何科に相談しようか迷った際は、眼科もしくは脳神経外科・脳神経内科の受診がおすすめです。
いかがでしたでしょうか。閃輝暗点について見ていきました。閃輝暗点といえば片頭痛の前兆が有名であり、ついつい甘くみて様子を見る方も多いと思います。
しかし、稀ではありますが閃輝暗点は脳梗塞や脳虚血発作の前兆としても現れます。閃輝暗点のみでなく他の症状などがみられたり、いつもと違うなと感じたときは、様子を見るのではなく、一度病院を受診しましょう。
<執筆・監修>
九州大学病院
脳神経外科 白水寛理 医師
高血圧、頭痛、脳卒中などの治療に取り組む。日本脳神経外科学会専門医。