更年期障害に効果的な10種の漢方薬
いろいろな症状が重なりあうのが特徴です
女性が性の成熟期から、月経が閉止してしまう老年期に移行する過渡期のことを、更年期といいます。ふつう四十歳~五十五歳ぐらいの間に迎えますが、この時期には、性ホルモンの分泌や自律神経のバランスがくずれ、肉体的・精神的に不安定になって、いろいろな障害が重なって起きてきます。これが更年期障害です。症状は、一年から三年ほどつづきます。
なお、閉経することは、卵巣ホルモンの分泌がなくなるだけで、性刺激ホルモンなどの性に関する活動が衰えるわけではありません。したがって、生殖機能はなくなっても、性交能力は失われません。「女でなくなる」わけではないのです。
目次
更年期障害の症状
身体症状としては、肩こり・めまい・耳鳴り・頭痛・頭重・のぼせ・便秘・胃腸障害・月経痛・関節痛・発汗・手足のしびれ・動悸・息切れなどを訴えます。神経症状としては、ふさぎがちになる・興奮しやすい・イライラする・不安感がある・気分がかわりやすい・不眠などがあります。ほとんどの場合、いくつかの症状が重なりあって出てきます。
更年期障害そのものは、さほど心配するものではありません。複雑な症状のあらわれ方をするといっても、医師の治療を要するものは、全体の一割にも満たないといわれています。ただ、この年代はガン年齢と一致するので、その意味からの定期的な検診だけは受けておいたほうがよいです。
漢方では血の道症に効く処方
昔から俗に「血の道」とよんでいる症状ですが、ほぼ更年期障害に相当します。いわば半健康の状態であるから、漢方の適応症です。
この症状を漢方的に整理すると、下腹部におけるうっ血症状と、骨盤充血による神経症状ということになります。したがって、前者には瘀血(前述参照)の治療に用いる駆瘀血剤と、気(前述参照)のうっ滞をめぐらす薬方を用いるのがふつうで、次のような処方があります。
更年期障害に効く10種の漢方薬
当帰芍薬散
冷える傾向があって、顔色わるく、頭重・めまい・動悸がしやすく、のどが渇き、小便が出にくい、月経痛があるという人によいです。
桂枝茯苓丸
顔色が赤みをおび、月経の異常・のぼせ・肩こり・お腹の張りがある体力ある人に。
桃核承気湯
上よりも体力がありそうに見え、頭痛、のぼせ、下腹の横のほうにしこり・痛み・ひきつりがあり、便秘し、月経痛・腰痛のある人。
柴胡桂枝湯
体力が衰えたとき、寒け・熱感・ 頭痛・めまい・みぞおちのつかえ・からだのだるさ・しびれ感を訴えるものによい。
小柴胡湯
食欲不振・寒け・熱感・耳鳴りがあり、みぞおちのつかえがひどい人に用います。
柴胡加竜骨牡蛎湯
精神不安があり、不眠で、人に会うのをきらい、心悸亢進(しんきこうしん)があって、便秘、小便の出もわるく、全身がだるいという人に。
桂枝加竜骨牡蛎湯
上と似ているが、便秘はなく、のぼせやすく、体力もない人に。
加味逍遙散
気分がゆううつで、頭重・めまい・動悸・肩こり・足腰の冷えがある虚弱な人に。
甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)
上よりももっと気うつがはげしく、ヒステリー症状を起こしやすい人によいです。
女神散(にょしんさん)
虚実の中間で、のぼせ・めまいがあるものに一般的に用いられます。