目の上の骨を押すと痛いときの原因と治療法
目の上を押すと痛いことありませんか?休息して治まるのであればいいのですが、思わぬ病気が影響している場合もあります。ここでは目の上を押すと痛くなる原因と治療法について詳しくみていきましょう。
目の上の骨を押すと痛いときの原因
目の上を押すと痛くなる主な原因には副鼻腔炎、群発頭痛、眼精疲労が挙げられます。
副鼻腔炎
風邪を引いた後に起きるケースが多く、風邪は当初ウイルス感染が主ですが、その後細菌の感染が鼻の粘膜や副鼻腔に加わることで生じます。以前副鼻腔炎になったことがある方は、新たな細菌の感染が加わって副鼻腔炎が再度炎症を引き起こすケースがあります。
目の上の痛み以外にも黄色や緑色の鼻汁、鼻詰まり、頬の奥が痛い、目の奥の痛み、目の周りや頬が腫れる、匂いがわからないなどの症状がみられます。
群発頭痛
慢性頭痛は主に片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛に分かれます。群発頭痛はこの3つのなかでも発症率が特に低い頭痛となっており、有病率は0.056%から0.4%程度(1000人に1人程度)と報告されています。特に20~40代の男性で多く見られます。
どちらか片方の眼の奥がえぐられるような激痛が起こります。眼の充血、涙や鼻水が止まらないほどの症状を伴うこともあります。自殺頭痛という別名もあるほどの頭痛で激痛です。
症状は1~2か月間ほど毎日のように起こり、この期間を群発期と呼びます。群発期が終わると数か月から数年にわたって痛みがない時期が続きます。
群発頭痛の診断基準項目は5つあり、その内容は以下の通りです。
① ②③④に合う発作が5回以上ある
② 左右どちらかの眼の周囲や側頭部に15分から180分続く激痛が生じる
③ 次のいずれかあるいは両方を頭痛のときに認める
・頭痛が起こる同じ順に、目の充血、流淚、鼻づまり、鼻水、眼瞼のむくみ、額と顔の発汗、額と顔の紅潮、耳閉感、瞳孔の縮小、眼瞼の下垂の1つ以上を認める
・じっとしていられない、もしくは激しく動きたくなる感じ
④ 群発期(発作が起こる期間)の半分以上で発作が1日あたり0.5~8回起こる
⑤ 他のどの診断基準より合致する
この診断基準に合致する場合に群発頭痛と診断します。①から④のうち1項目だけ合致しないが他の頭痛には合致しない場合に、群発頭痛の疑いと診断します。
眼精疲労
屈折異常、老視、眼位・眼筋異常、ドライアイなどが原因となって眼精疲労が起こります。また、パソコンなどのディスプレイを使った長時間の作業によるVDT症候群でも眼精疲労が起こります。
ピント調節の役割を持つ毛様体筋という筋肉に負担がかかることで次第に近くにピントが合わなくなり、その結果、目が疲れる、目の奥が痛い、見えにくいといった症状が出てきます。
副鼻腔炎と群発頭痛の治療
副鼻腔炎と群発頭痛が原因で目の上に痛みが生じている場合は適切な治療を行う必要があります。
副鼻腔炎の治療
まずは抗生剤の内服で細菌の感染を抑えます。痛みについては痛み止めの内服で症状を抑えます。目の周りや頬が腫れて痛い方は抗生剤の点滴を行う必要がある場合があります。
慢性的になるとマクロライド療法を行います。マクロライドの抗生剤には慢性の炎症をとる効果が期待でき、たまった膿を外に出す効果もあります。さらにネブライザー治療を行っていきます。
群発頭痛の治療
治療は主に2種類あります。ひとつは痛みが出てから症状を抑えるもの、もう一つは痛みが強くなるのを予防する方法です。
群発期
高濃度の酸素吸入が昔から有効とされています。酸素を吸入することで80%の方で改善が見られたという報告があります。
一番手軽な治療法としてはリドカインという表面麻酔薬をスプレーで鼻粘膜に散布する方法です。これは30%くらいの方で改善がみられます。
同様の方法として片頭痛で保険適応になっているスマトリプタンの点鼻を発作時に痛い方と反対側の鼻孔にスプレーする方法があります。
同様のスマトリプタンの自己注射があります。有効率は高く、注射後5分くらいから効果がでますので群発頭痛の激痛から逃れる最も有効な方法となります。
また、頭痛発作が激烈な初期の2週間くらいに限り、神経や脳血管の腫れをとる作用を持つ副腎皮質ホルモンを併用することもあります。
群発頭痛の予防
神経細胞膜の安定化作用のあるベラパミル塩酸塩(ワソラン錠)や、大脳皮質の過敏性を抑える効果のあるバルプロ酸ナトリウム(デパケン錠、セレニカ錠)などを患者さんの症状に合わせて適宜処方します。
群発頭痛のリスクを下げるためには、アルコールの摂取を控えることが有効です。熱いお風呂やサウナ、辛い食事、激しい運動なども控えましょう。また、自律神経のバランスを崩さないように毎日できるだけ決まった時間に起床、就寝するなど、規則正しい生活を心がけることが基本となります。
発作が起こりそうになったら、窓を開けて深呼吸を繰り返しましょう。痛むところを冷やすことで多少痛みが和らぎます。
目の上の痛みが生じたときには、まずは安静にして休息しましょう。それでも改善しない場合は医療機関を受診してみましょう。