神経痛はどんな痛み？坐骨神経痛・肋間神経痛・三叉神経痛の特徴

痛みには様々な原因がありますが、痛みの原因のひとつに神経痛があります。一般的にビリビリジンジンといった表現がされる痛みが特徴で、特に多く見られるのが坐骨神経痛、肋間神経痛、三叉神経痛です。それぞれどのような痛みの特徴があるのか詳しく解説します。

神経痛とは

末梢神経と中枢神経の違いを知っておくと、神経痛の特徴を理解しやすくなるでしょう。順を追って解説します。

末梢神経と中枢神経

神経は末梢神経と中枢神経に分かれます。中枢神経というのは、脳や脊髄などのことを指します。これらの神経は、神経が束になっているだけではなく、神経の細胞もそこにあるために特別に扱われています。

神経というのは、細胞があって、その細胞から細く長く伸びている細胞の一部分を神経の線維として見ています。中枢神経にその細胞の本体が集まっていて、末梢神経というのはそこから伸びている神経の線維が集まったものと言えます。

また中枢神経には骨によって守られているという特徴があります。脳は頭蓋骨によって守られていますし、脊髄は背骨によって作られる脊柱管に守られています。末梢神経はそこから出てきて、体の様々な場所に網の目のように張り巡らされていくのです。

末梢神経には、血圧や体温を調節したり、臓器の働きを調節するような自律神経に加えて、全身の筋肉を動かす運動神経、それから痛みや触れた感覚などを伝える感覚神経などがあります。末梢神経は中枢神経に情報を送ったり、反対に中枢神経系からの情報を体の各部分に伝える役割をしています。

末梢神経と神経痛

神経痛は、これらの神経系の中でも末梢神経の特に感覚神経が何らかの原因で刺激を受けて痛みを生じているものを言います。刺激を受けた感覚神経が痛みを感じ取って中枢神経に伝えることで、痛いという症状を感じているのです。

末梢神経の痛みということで、神経痛の痛みには共通するいくつもの特徴があります。

まず痛む部位が、1本の末梢神経の支配領域に一致します。傷んでいる部分より遠位側の神経支配領域に痛みが生じます。痛みの症状としては、ジンジンビリビリした痛みが特徴です。このような鋭く激しい痛みが突然起こり、持続時間は数分から数秒と短いのですが、一旦痛みが収まっても再発を繰り返します。

また痛みが治まっている時に、痛みが生じていたような場所を指で押すと痛みが誘発されます。他には神経によっては、姿勢やくしゃみなどの刺激によって痛みが誘発されます。正座をした後に足がビリビリするのも末梢神経の痛みです。

症候性神経痛と特発性神経痛

神経痛には大きく分けて2つの種類があります。

ひとつは症候性神経痛です。原因が分かっているものを症候性と言います。神経が圧迫されたり、炎症が起こったりなどの原因によって、神経が傷ついているのが明らかである場合を指します。

目に見えないような障害を受けている時にも症状が起こってきますが、それが画像診断などではっきりと確定できないような場合には、症候性神経痛とは言いません。画像診断などで、はっきりと原因が分かってくるものを症候性神経痛というのです。

一方で、特発性神経痛というのは、神経痛のような症状があるのははっきりしているのですが、その原因が分からない場合を指します。

神経痛は、場所によって様々なものがあります。特によく見られる、坐骨神経痛、肋間神経痛、三叉神経痛は、多くの場合は症候性の神経痛になります。ただし、三叉神経痛だけは、画像を取ってみてもはっきりと神経が圧迫されている所見がないこともあり、特発性の三叉神経痛と診断されることもよくあります。

ここからは坐骨神経痛、肋間神経痛、三叉神経痛の痛みの特徴について見ていきましょう。

坐骨神経痛はどんな痛み？

坐骨神経は足の感覚神経です。足先から下腿までと、太ももの後ろ側の感覚を伝える神経になります。この神経は脊髄の下の方から出た神経がまとまって、骨盤の中からお尻のあたりにある穴を通って足の方へと出てきます。そのため、この神経が通っている経路のどこかで圧迫があることによって、痛みが出てくるのです。

例えば、腰椎の脊柱管狭窄があります。脊柱管は脊髄が入っている管になりますが、その管が何らかの原因で圧迫されることによって、脊髄や、脊髄から出てくる神経が圧迫されてしまいます。

その中でも多くを占めているのが腰椎椎間板ヘルニアです。椎間板というのは、脊椎と脊椎の間にあるクッションのような役割をしている板です。板と言っても1枚板ではなく、中心に髄核という硬い塊があり、その周りを繊維輪と言って繊維製の成分からなるクッション材がグルグル巻きにしている構造をしています。

通常であればこれらの構造がクッションとして働くことによって、脊椎は前後左右に自由に動くことができます。しかし繰り返し圧迫が加わったり、強い衝撃が加わったりすると、髄核が押しつぶされ、線維輪の外にはみ出してしまいます。このはみ出した方向に神経があると、神経の圧迫症状が出てくるのです。

その他には変形性腰椎症や、骨盤から外に出てくるところの筋肉が硬くなることによって圧迫されることなどによって、神経が圧迫されて痛みを生じます。

坐骨神経痛の痛みの特徴

坐骨神経の痛みは、お尻から太ももの後ろ側、ふくらはぎにかけての坐骨神経の通り道に、鋭く電気が走ったような痛みを感じます。特に体を動かした時に痛みが出るのが特徴です。

椎間板ヘルニアがまっすぐ脊髄を圧迫した時には両側に症状が出ることもないわけではないですが、ほとんどの場合は片側に痛みが出ます。

肋間神経痛はどんな痛み？

肋間神経は胸部の脊椎から出てくる末梢神経です。背中のあたりの脊髄から出て、上の方の7本は肋骨に沿って前方の胸の方に走行しています。下の方の5本は、脊椎から出た後、前下方に向かって伸び、お腹に分布します。

肋間神経が傷つけられるのは、圧迫などによることはあまりありません。最も多いのは帯状疱疹です。

帯状疱疹は水痘帯状疱疹ウイルスの感染による症状です。小児の頃に感染すると、水痘と言って水疱瘡を引き起こします。水疱瘡は数日経てば軽快しますが、ウイルス自体は体の中に残っています。残りやすいのが神経細胞です。特に残りやすいのが、脊髄神経と、三叉神経の神経細胞です。

細胞の中に残ったウイルスは、体の中の免疫によって抑えられているため、増殖することはありません。しかし、疲労や何らかの原因による免疫状態の悪化によって、抑えられていたウイルスが急に増殖を始めます。増殖したウイルスは、神経細胞の中から神経線維に沿って広がります。

ウイルスが広がった神経はウイルスによって傷つけられますから、痛みを生じます。また神経から体の表面にウイルスが出てくると、水ぶくれができます。痛みに沿って赤い発疹が帯状に出るのが帯状疱疹です。

他には、体の歪みや椎間板ヘルニア、事故による骨折などが原因によって起こってくることもまれながらあります。

肋間神経痛の痛みの特徴

肋間神経の痛みとしては、背中から胸にかけて、ほとんどの場合には左右どちらかに偏って症状が出ます。突然の鋭い痛みが走るのが特徴です。大声を出したり深呼吸をしたりなど、肋骨が動く時に痛みを感じるのです。

また、神経が体の表面近くに出てくる、背中あたりを圧迫すると痛みが出るという特徴もあります。

三叉神経痛はどんな痛み？

三叉神経は脳神経のうちの一種です。脳神経というのは、脳から直接出ている神経になります。

三叉神経という名前の由来は、脳から出てすぐに3つに分岐することにあります。頭蓋骨を特有の穴を通って顔面の方に出て、それぞれ第一枝、第二枝、第三枝と呼びます。第一枝は、目より上の皮膚の感覚を伝えます。第二枝は目より下、口より上の皮膚の感覚を伝えます。第三枝は口から下の感覚を伝えます。これらの神経領域に痛みが出るのが三叉神経痛です。

よく顔面神経痛とも言われます。顔面神経は顔面の運動を司る神経です。感覚を伝えるのは三叉神経ですから、三叉神経痛というのが正しい病名になるのです。

三叉神経痛がなぜ起こるかというと、多くの場合には、すぐ近くを走る血管が神経を圧迫するためです。他には肋間神経痛と同じように帯状疱疹で起こってくることもありますし、脳の中に動脈瘤ができることによって起こること、さらには脳腫瘍などによって圧迫されて起こることもあります。

三叉神経痛の痛みの特徴

三叉神経痛の特徴としては、顔面の片側に、電撃的なと表現されるような非常に強い痛みが突然数秒から1～2分の間生じます。一度は収まっても、再度起こってくることも多いです。血管の拍動に従って、拍動性に痛みが生じることもあります。

このような痛みが起きる時には特徴があり、歯磨きや食事、洗顔や、顔に冷たい風が当たるなど、三叉神経に刺激があることによって発作が起こることが多くあります。