真っ赤に炎症を起こしてしまう首のかゆみ…汗をかく夏場は地獄です!

体験談

汗をかく季節は首の周りが赤くなり、かゆくなってしまう。肌のかゆみに耐えきれずかいてしまったら皮がむけて皮膚がボロボロになった…。
30〜60代の幅広い世代の女性のなかには、つらい「首のかゆみ」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「首のかゆみ」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

汗とアレルギーで首がかゆい!このかぶれやすい体質をなんとかして!

聖美さん(57歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。

若い頃はそんなことはなかったのですが、このところ、うっかり金属製のアクセサリーを身に付けようものなら、首が真っ赤になってプツプツと水ぶくれのようになってしまうようになったんです。もともとアトピー体質でもあり、純金やプラチナ以外のものはつけないように気をつけてはいたのですが、この頃はそれでもダメみたいで…。
一度症状が出てしまうと回復するのに時間もかかるため、首のかゆみに耐えきれない毎日です。特にひどいのは、汗をかく夏の季節。当然、アレルギーが起こるのが嫌でノーアクセサリーを貫くようにしていますが、汗でかぶれてしまうのか、首が熱を持ったように赤くなり、かきむしらずにはいられないほどのかゆみが襲ってくるんです。
こまめに汗を拭き、入浴後には敏感肌用の保湿ローションをつけてはいるのですが、日々汗をかくのは止められないもので、なかなか症状が改善しません。
どうしたらこのかぶれやすい体質を改善してスッキリと過ごせるようになるでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
汗をかく季節はどうしても汗の溜まる場所にかゆみの症状が起きやすいため、体質によりかぶれやすいとなると、ケアしても症状が出てしまうこともあり、つらいですよね。
今回は、首のかゆみの原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

首のかゆみは皮膚のバリア機能の低下と「血虚」が原因

首の皮膚はとても薄くデリケートであることに加え、汗や髪の毛、アクセサリー、化粧品などによる刺激を受けやすい部分でもあり、かゆみや湿疹などの肌トラブルが起きやすい場所です。
特に、アトピー性皮膚炎や金属アレルギーなどの素因を持つ方や、加齢により首の皮脂量の減少が見られる方は、皮膚のバリア機能が損なわれて肌が敏感になり、皮膚の赤みや湿疹などのかゆみをともなう首の炎症を起こしがちです。

東洋医学では、皮膚にかゆみが生じるのは、「血(血液)」の不足により「気(生命エネルギー)」「血」「水(水分)」のバランスが崩れ、体内に余分な「熱」や水分が溜まって起こると考えられています。

次の章ではこのような「首のかゆみ」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

首のかゆみを解消するセルフケア3選

1.肌の潤いを保つケアを心がけること

年齢を重ねることで、皮脂や角質層の細胞間物質などの分泌量が減ってきた方や、アトピー性皮膚炎の素因を持つ方などに起こりやすいのが、乾燥によって皮膚のかゆみが起こる「皮脂欠乏性湿疹」です。
肌がカサカサとしてかゆみがあり、赤くなってプツプツとした湿疹ができる、また色素沈着を起こすなどの症状がある場合は、できるだけこまめな保湿を心がけ、皮膚を乾燥から守ることが大切です。
入浴の際は、熱すぎるお湯や長時間の入浴を避け、皮脂の落とし過ぎを避けることが大切です。また、石けんやボディソープは低刺激のものを選び、肌をこすり過ぎないようにしましょう。

2.アレルギーの原因物質を特定して避ける

金属やゴム、香水など、特定の原因物質に直接首が触れることで免疫系が反応し、湿疹や水疱、熱感をもった腫れをともなうかゆみが生じることもあります。
まずは皮膚科でアレルギーの原因となっている物質を特定し、そのアレルゲンに直接触れないように気をつけることが大切です。もしアレルゲンとなる物質に触れてしまった場合は、すぐに水と石けんで優しく洗い流しましょう。
かゆみや炎症の強い場合は、冷やしたタオルや保冷剤をくるんだハンカチで患部を冷やすと症状が和らぎます。

3.汗を長くとどめず、肌を清潔に保つ

汗には脂質やタンパク質など、さまざまな成分が含まれているため、首に大量の汗をかいたまま放置すると、細菌が皮膚で繁殖してかぶれたり、あせもによる赤みやかゆみをともなう炎症を起こしたりすることがあります。
汗をかいたらこまめに汗拭きシートやタオルで拭き、シャワーを浴びて常に皮膚を清潔に保ち、汗を長く皮膚にとどめないように心がけましょう。
また、かゆみの症状のあるときには特に部屋や寝具の清潔を保つことが大切です。ダニを避けるためにも布団を天日干しにしたり、掃除機をかけたりして首の炎症を刺激しないようにしましょう。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

首のかゆみを改善するために、市販の外用薬や処方薬、注射などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)です。皮膚に赤みや熱感を伴うかゆみの症状のある方の、熱を冷まして体内にこもった余分な「熱」を冷まし、炎症を鎮めて症状を和らげる効果があります。
また、ジュクジュクとして炎症による強いかゆみがある方には、皮膚の膿や毒素を排出して「血」の巡りをよくすることでかゆみを緩和する効果のある消風散(ショウフウサン)も良いでしょう。
一方、赤みなどがなく乾燥してかゆみが強い場合には、当帰飲子(トウキインシ)がオススメです。

首回りを清潔にし、アレルゲンとの接触を避けましょう

今回は、首のかゆみに悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。症状の改善のためには、首の周りに汗を溜めないようにして清潔を保ち、乾燥を防ぐケアを心がけましょう。
また、アレルギーにより首のかゆみや炎症が起こる方は、皮膚科で原因物質を特定して避けるようにすることも大切です。
こうした気になるかゆみの症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

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