疲労が続くとすぐ現れる疫病神…繰り返す「ものもらい」が悩みのタネ

体験談

疲れが溜まっているときに目をこすったらものもらいができてしまった、粘膜にアイラインを入れたり指でアイシャドウをぼかしていたらものもらいを発症してしまった…。
30〜60代の多くの世代の女性のなかには、こうした「ものもらい」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

こんな自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「ものもらい」をテーマに、薬剤師の中田早苗先生にお話を伺ってみました。 

もう嫌! まぶたがプクッと腫れて「ものもらい」ができるたび憂うつに…

玲子さん(47歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。

ここ数年、体力が低下しているのか、ちょっと疲れていたり風邪をひきそうなに限って、すぐにものもらいができてしまうので困っています。
つい先週も忙しい毎日が続いて睡眠不足だったのに加え、急な気温の変化もあり、なんだか風邪を引きそうだな、なんて思っていた矢先にまぶたに腫れぼったいような違和感を感じたんです。「あ、これは例のアレが来たな」と思って鏡を見たら、案の定まぶたの上がプクッと赤く腫れていました。いつものことなので家にある抗菌剤の目薬を打っては腫れがひくのを待ち、数日間アイメイクを控えてやり過ごしていましたが、もううんざりです。
だいたい3日〜4日もすれば腫れも引いて治ってしまうことが多いものの、わりとしょっちゅう発症するので、そのたびにストレスを感じています。まぶたの腫れがある間はメイクも楽しめず、見た目にも自信が持てなくなってしまいますし、かゆみやチクチクするような痛みがあるため、不快で仕方がないんです。
いったいどうしたらこのものもらいができやすい状態を改善することができるのでしょうか。何か良い方法があれば教えてください。

ご質問ありがとうございます。
ものもらいは細菌感染により発症するものではありますが、疲労やストレスの蓄積から体力や免疫力が下がっているタイミングで、より発症しやすいと言われています。
今回は、ものもらいの原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

ものもらいの原因はまぶたの汗腺や脂腺への細菌感染

ものもらいとは、まぶたの縁にある脂腺「ツァイス腺」、汗線の「モル腺」や、まぶたの深い部分にあり、涙の蒸発を防ぐ脂腺の「マイボーム線」の細菌感染がもとで生じる病気です。
詳しくはまぶたの縁に発生したものを外麦粒腫、マイボーム腺に発生したものを内麦粒腫と呼びます。多くの場合はありふれた常在菌の一種である黄色ブドウ球菌などが付着した手で目をこすったり、細菌が付着したコンタクトレンズを装用することが原因となります。
また、ものもらいは疲労やストレスの蓄積、風邪を引いたときなど、免疫力が低下しているときに生じやすいという特徴があります。

東洋医学では、目は五臓のうちの「肝(かん)」と関係が深いとされ、ストレスや疲労から「肝」の「気(生命エネルギー)」の流れが滞って「肝気鬱血(かんきうっけつ)」の状態になると生じやすくなると考えられています。

次の章ではこのような「ものもらい」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

ものもらいを予防&改善する3つのセルフケア

1.食生活と生活習慣の改善で免疫力UPを

ものもらいは疲労やストレスが溜まっていたり、風邪気味で体調を崩していたりするときの、免疫力が低下している状態のときに発症しやすいと考えられています。
ものもらいを何度も繰り返してしまう方は、まずは夜更かしや睡眠不足による不摂生な生活を改め、三食きちんと栄養バランスのとれた食事をとるなどして生活スタイルを見直してみましょう。
特に、目の粘膜を正常に保ち、抵抗力を高めるビタミンAやカロテンなどのビタミン類を積極的に摂るようにすると良いでしょう。

2.目の周りを清潔に保ちましょう

ものもらいは、不衛生な手で目を触ったり、アイメイクでまぶたの粘膜を刺激すること、細菌の付着したコンタクトレンズの使用から発症することが多いと考えられています。
こうしたまぶたへの細菌感染を防ぐためには、日頃からこまめに手を洗い、過剰なアイメイクは避け、目に異物が入ったは丁寧に洗い流すこと、コンタクトレンズは正しく洗浄したものを使用することを心がけましょう。
また、洗顔後に顔を拭くタオルは毎日交換し、目の周りをゴシゴシこすらないことが大切です。

3.市販の抗菌剤入り目薬の点眼を行う

ものもらいには基本的には伝染性はなく、クラビット点眼液などの細菌を死滅させる効果のある抗菌薬入りの目薬や塗り薬による治療で改善します。
ごく初期の症状や軽度な場合は、市販の抗菌剤入り目薬の点眼やセルフケアでの治療が可能ですが、原因がわからない場合や、セルフケアでは十分な効果がなく、かえって悪化するような場合は早めに眼科で治療を受けるようにしましょう。
眼科での治療では、抗菌薬の内服治療を行うことが多く、症状によってはしこりの内部の膿の排出手術が必要になることがあります。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

ものもらいを改善するために、市販や処方された点眼薬の使用などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、葛根湯(カッコントウ)です。
季節の変わり目や風邪気味なときにものもらいができやすい方、体を温めて免疫力を高め、症状を改善する効果があります。
また、ものもらいの初期の腫れや発赤、痛みをともなう症状がある場合は、炎症を鎮めて症状を改善する効果のある排膿散及湯(ハイノウサンキュウトウ)も良いでしょう。

免疫力を高めて症状の起きにくい体質に改善しましょう

今回は、ものもらいに悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の予防や繰り返すものもらいの改善のためには、疲労やストレスを溜め込まないようにし、生活習慣と食生活を見直して免疫力を高めることや、目の周りを常に衛生的に保つことが大切です。
セルフケアではなかなか症状が改善しない場合や悪化するような場合は、すぐに眼科へ行き、適切な治療を受けるようにしましょう。

こうした気になる目の症状改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。
セルフケアに加えて根本的な体質改善を目指すためにも、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。


中田早苗

あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師 中田 早苗 薬剤師。認定運動支援薬剤師。就実大学薬学部卒業。病院薬剤師として約7年間勤務後、漢方薬局で2年間勤務。ファスティングマイスターとして100名以上のファスティングをサポート。TiktokやInstagramでファスティング・美腸を普及する活動も行っている。

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