太ももがつった私に救世主…早朝ランでの悲劇を繰り返さないためには?
急に立ち上がった瞬間に、太ももの裏側に引きつるような痛みが走って硬直してしまった、ストレッチで少し無理をしたら太ももの裏側をつってしまった……。
30〜50代のミドルエイジ世代の女性のなかには、このような「太ももがつる症状」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。
こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。
今回は「太ももがつる症状」をテーマに、薬剤師の中田早苗先生にお話を伺ってみました。
目次
マラソン中のハプニング!いきなり太ももがつったらどうすればいい?
玲子さん(36歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。
このところ運動不足が続いていたせいか、体がなんとなくだるい気がしていたこともあり、一念発起して出勤前にランニングをすることにしたんです。ランニングといっても近所の公園を1〜2周回って帰宅するだけのことなのですが、先日、とんでもないハプニングが……。その日はお天気も良く、汗ばむ陽気で、気分も乗っていたので、「この調子なら、いつもより1周多く回れるかも」なんて呑気に思っていたんです。ところが、2周目が終わる頃に突然太ももの前側にビーンと痺れるような痛みを感じ、まったく足が前に進まない状態に。硬直した太ももが痛すぎて、足を引きずりながら道の端に移動するので精一杯の私に、見かねたお散歩中のおばあちゃんから「大丈夫?足つっちゃったの?」と声をかけられる始末。幸い、元看護師さんだというそのおばあちゃんが、つっている筋肉を伸ばす方法を教えてくれたので事なきを得ましたが、もし一人だったら、あのままどうなっていたかわかりません。ランニングはこれからも継続したいのですが、また太ももがつってしまったらと思うと不安で……。何か予防や改善する方法があれば教えてください」
ご質問ありがとうございます。
ふくらはぎや足の指に比べ、太ももがつってしまうとかなりの痛みをともなうことも多いため、ランニング中にいきなりつってしまうとつらいですよね。
今回は、太ももがつる原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。
太ももがつるのは、筋肉の緊張と血流の悪さなどが原因
自分の意思と関係なく筋肉が収縮してけいれんし、硬直することを「つる」と言います。
特に太ももは運動中や日常の立つ、座るなどの急な動作をしたときに生じることも多く、急に太ももの前側や裏側の筋肉がこわばり、痛みをともなって筋肉を動かしづらい状態になります。
原因としては、冷えや運動不足による血流の悪化、筋肉が硬直して硬くなっていること、加齢による筋肉量の減少、筋肉疲労や脱水、ナトリウム・カリウム・マグネシウムなどのミネラルの不足などさまざまな要因が挙げられます。
また東洋医学では、こうした症状は「気(生命エネルギー)」と「血(血液)」が一時的に不足した状況で生じるとされ、体に不足した栄養を補うことが大切だと考えられています。
次の章ではこのような「太ももがつる症状」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。
太ももがつる症状の3つの予防&対処法
1.ゆっくり時間をかけて筋肉を伸ばしましょう
太ももの前側がつってしまった場合は、つった方の足の甲を手で持ち、かかとを太ももの裏につけるようにしてグッと太ももの前側の筋肉をゆっくりと伸ばすようにします。
太ももの裏側がつってしまった場合はつった足を伸ばして座り、膝を曲げないようにしながらつま先を手前に曲げます。太もも裏の筋肉をしっかりと伸ばすように意識してください。すぐに痛みや引きつりが治まらなくても、少しずつゆっくり、辛抱強く伸ばしましょう。
2.体に不足した栄養素を補い体質改善を
たびたび同じ部分がつるという方は、日常の食生活で不足した栄養素を補うことを意識してみましょう。
筋肉の収縮をつかさどるセンサーの働きを向上させるには、マグネシウムやカリウム、カルシウム、ナトリウムなどの電解質の不足を避けることが大切です。
運動中に筋肉疲労から太ももをつりやすい方は、筋肉疲労を解消するタウリンやビタミンBの摂取がオススメです。食生活を見直し、これらの栄養素が多く含まれる豆腐や海藻、豆類、赤身肉などを積極的に摂ることで、つりにくい身体へと変えていきましょう。
3.冷え防止と水分補給を心がけましょう
体が冷え、全身の血行が悪くなることも、太ももがつりやすくなる要因になります。できれば夏場でもシャワーですませず、湯船に浸かって体を芯まで温めるようにしましょう。寝ているときに太ももやふくらはぎをつりやすい方は、締め付けのないレッグウォーマーで足を温めるのもオススメです。
また、入浴や睡眠時の発汗により脱水状態になると、筋肉の拡張や収縮を調節する機能が低下し、足がつりやすくなるといわれています。
入浴前や就寝前、スポーツで汗をかく前にはしっかり水分補給をして脱水を防ぐようにしましょう。
根本的な体質改善には漢方薬が効果的!
太ももがつる症状を改善するために、セルフケアに加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)です。スポーツや日常の動作で太ももがつりやすい方、筋肉のけいれんを起こしやすい方の不足している「気」や「血」を補ってけいれんを鎮め、症状を緩和する効果があります。
自分の症状や体質にぴったりマッチした漢方薬を選ぶのは難しいと思われがちですが、「オンラインAI漢方」では、お悩みの症状を元にAIがあなたにぴったりな漢方薬をご案内しています。自宅にいながら気軽に始められますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
あんしん漢方のサービス紹介は下記リンクをご確認ください。
体内に不足した水分や電解質を補いましょう
今回は、太ももがつる症状に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状を改善するためには、体内に不足した電解質や水分を補い、体を温めて血液や水分の巡りを良くすること、筋肉の疲労を溜め込まないことが大切です。
また、寝ているときに頻繁に太ももがつる方や、思い当たる要因がないのに頻繁に症状が起こる場合は、大きな病気の可能性もあるため、一度病院を受診してみましょう。
こうした気になる症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。