舌に付着した白い「舌苔」が臭すぎて…寝起きの娘から衝撃の一言が!
舌の上にびっしりと溜まった白っぽい舌苔の正体が気になる、舌苔が溜まっている時に限って口臭が気になって人と近くで会話するのが怖い…。
30代〜60代の幅広い世代の女性のなかには、このような「舌苔」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。
こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。
今回は「舌苔」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。
目次
舌磨きでごっそりお掃除! 舌に溜まった「舌苔」の正しいケアとは?
佳菜さん(36歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。
このところ、寝起きの口臭がひどくて落ち込んでいます。先日も、休日の朝に同じ部屋で寝ている夫と5歳の娘に「おはよう、朝だよ〜」と声をかけたら、ふたりしてすごいしかめっ面をするんです。
何かと思ったら、娘から「ママ、お口くさ〜い!」と衝撃の一言が! おはようという挨拶よりも先に口臭の指摘をされるとは思ってもみなかったので、その日から気になって気になって……。夫は特に何も口にはしませんでしたが、あのしかめっ面からして臭いと思っていたに違いありません。慌てて歯磨きをし、口をすすぎましたが、どうもまだ臭いような気がします。
鏡で口の中をよく観察し、舌をよく見てみたら、なにやらべっとりと白いものが付着しているではありませんか。
たまに舌が白くなっていることはありましたが、こんなに塊のように付着しているのを見つけたのは初めてです。臭いをかいでみると、悪臭の根源はまさにこの舌についた白いもので間違いありません。
早速薬局で舌を磨く専用のブラシを買ってきて試して見たところ、ごっそりと白い悪臭の塊が取れて、ちょっとした爽快感を味わってしまったほど。その日はそれ以降口臭も気になりませんでしたが、どうしてあんな舌の状態になったのか謎で…。
数日前から食べ過ぎで胃の具合が良くなかったのも関係しているのかもしれませんが、どうにかして舌の状態と寝起きの口臭を改善したいと思っています。何か良い方法はないでしょうか?
ご質問ありがとうございます。
舌に付着したその白いものは「舌苔(ぜったい)」といい、舌苔そのものは病気ではないものの、間違った口腔ケアに加え、胃腸トラブルや抵抗力の低下など、なんらかの体調不良にともなって起こることが多いようです。
今回は舌苔が溜まる原因や改善方法について詳しくお伝えしていきますね。
舌苔の増加は舌表面の角質化や細菌繁殖などが原因
舌苔とは、舌の表面に付着した白っぽい苔状のもので、食べカスや細菌、剥がれた舌の上皮が舌表面の細かい突起に溜まってできるものです。
舌苔は誰にもできるもので、通常は唾液による自浄作用で匂いや量も気にならないことが多いものの、さまざまな理由から舌苔が付着しやすくなったり、悪臭を放つようになったりします。
舌苔が増える原因としては、舌表面の角質化から凹凸が深くなり、舌苔が溜まりやすくなることや、加齢による舌の運動機能の低下、ストレスや口呼吸などによる口腔内の乾燥から唾液が減り、細菌が増えやすくなることが挙げられます。また、抗生物質やステロイドなどの影響により黒っぽい舌苔が付着するようになることもあります。
東洋医学では、舌、食道、胃腸、肛門までをひとつづきの内臓ととらえ、舌の状態から健康状態がわかるとされ、白く厚い舌苔は胃腸の衰えや抵抗力が低下しているときに生じると考えられています。
次の章ではこのような「舌苔」を改善するための具体的な方法を解説していきましょう。
舌苔を予防・改善する3つのセルフケア
1.起床後すぐに1日1回の舌磨きをする
舌苔が溜まっていると口臭や味覚を感じにくくなるなどのデメリットもあるため、専用の舌ブラシを使い、適度に舌苔を落とすことが大切です。
あまり頻繁に舌磨きをすると舌の粘膜が刺激され角質が厚くなり、かえって舌苔の溜まりやすい状態になってしまうため、起床後すぐ、朝の歯磨きの際に1度行う程度にしましょう。
ポイントは、鏡を見ながら水に浸した舌ブラシで舌の奥から手前に向かって優しく丁寧に行うこと。舌の粘膜や味を感じる味蕾(みらい)を傷つけないように優しく引くようにし、引くたびにブラシを洗浄して何度か同じ動作を繰り返します。
2.薬用マウスウォッシュで細菌繁殖を抑える
舌磨きで舌の奥の方にブラシを入れるのが苦手だったり、舌磨きをしてもまだ口臭が気になる、といった場合には、薬用のマウスウォッシュを活用するのも良いでしょう。殺菌作用から口腔内で繁殖する細菌を抑え、口臭を軽減することができます。マウスウォッシュを活用することで頻繁な舌磨きによる舌への刺激を避けることもできますし、舌磨きをした後の仕上げのケアとしても有効です。
3.体を温めて暴飲暴食を避ける
東洋医学では、舌の状態を見れば内臓の衰えや健康状態がわかるとされ、特に白く分厚い舌苔は、体内の「気(生命エネルギー)」「血(血液)」「水(水分」」のバランスの崩れから、冷えや胃腸の衰えが生じて抵抗力が弱まっていると考えられています。
起床後の舌磨きで口腔内のデトックスをした後は、白湯をゆっくりと飲み、体を温めて暴飲暴食を避けるようにしましょう。冷えた内臓を活性化させ、血の巡りを良くすることでさまざまな体の不調を改善し、舌苔の溜まりにくい体質に改善するように心がけてみてください。
根本的な体質改善には漢方薬が効果的!
舌苔を改善するためには、セルフケアに加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、小柴胡湯(ショウサイコトウ)です。白く分厚い舌苔をストレスや内蔵の炎症によるものと考え、柴胡という生薬を中心とした漢方薬が応用されます。基本は小柴胡湯で胃腸の働きを整えます。
同じように胃腸機能を改善する六君子湯(リックンシトウ)も胃痛や胃もたれを改善し、舌苔の原因改善によいでしょう。
一方、舌苔が黄色くネバネバしてる場合は、湿熱によると考えられ、熱を取り除き胃腸の働きを整え去湿する温胆湯(ウンタントウ)がオススメです。
1日1回の適度な舌磨きで口臭を防ぎましょう
今回は、舌苔に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善には適切な舌磨きで舌苔を除去し、口内の細菌の繁殖を抑えるとともに、体を温めて内臓の冷えや暴飲暴食を避け、舌苔の溜まりにくい体質に整えて行くことが大切です。
また、こうした症状改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。