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飲酒のたびにしゃっくり連発! アラフォーOLのオッサン化が止まらない

体験談

お酒の席では必ずと言っていいほどしゃっくりが出てしまう、飲酒した後に限ってしゃっくりが止まらなくなり、余計に酔いが回ってしまう気がする…。
30〜60代の幅広い世代の女性のなかには、こんな「飲酒時のしゃっくり」に悩んでいる方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「飲酒時のしゃっくり」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。 

お酒を飲むと「ヒック、ヒック」としゃっくりが出るのは一体どうして?

綾子さん(39歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。

どういうわけだか、お酒の席で盛り上がったときに限ってしゃっくりが出てしまう私。だいぶお酒が進み、おしゃべりも佳境に差し掛かったところでしゃっくりの発作に見舞われることが多いのですが、早いときには乾杯のビール大ジョッキを飲み干したあたりから「ヒック、ヒック!」と始まってしまうこともあるほどです。
飲んでしゃっくりを連発するなんてまるで昔ながらの“おっさん”みたい、なんて思っていたのですが、こうも毎回お酒を飲むたびにしゃっくりが出る私は、どこかおかしいのでしょうか? 
先日も、仲の良い妹と自宅で“家飲み”しながら仕事の愚痴を吐いているうちに感情が高まってしまい、嫌なことを思い出して泣き出してしまったことがあったんです。そのうち例のごとくしゃっくりも止まらなくなり、嗚咽だかしゃっくりだかわからない状態になったうえ、最初は真剣に聴いてくれていた妹からも「お姉ちゃん! 泣くのかしゃっくりするのかどっちかにしてよ!」と大笑いされてしまいました。
放っておけばいつの間にか治るものの、なぜ飲んでいるときに限ってしゃっくり発作に見舞われるのでしょうか。何か良い予防法や解消法があれば知っておきたいです。

ご質問ありがとうございます。
飲酒時にしゃっくりが出ることは珍しいことではなく、それほど心配する必要はありませんが、飲酒のたびにしゃっくりが出るのは、お酒を飲み過ぎていることも考えられるため、お酒の量はほどほどにすることも大切です。
今回は飲酒時のしゃっくりの原因や改善方法について詳しくお伝えしていきましょう。

飲酒による中枢神経への作用と横隔膜のけいれんが原因に

しゃっくりは、医学的には「吃逆(きつぎゃく)」と呼ばれ、正確なメカニズムは解明されていないものの、肺の下にある膜状の筋肉、横隔膜(おうかくまく)のけいれんにともなって気管内の急激に空気が吸い込まれ、声帯の筋肉が収縮して起こると考えられています。
飲酒時にしゃっくりが出る原因としては、体温と温度差のあるものを飲むことや飲食による胃の拡張、大声で話すことによる舌咽神経への刺激が考えられます。
また、アルコールは中枢神経に作用するため、横隔膜と関係する中枢神経の影響から、飲酒によって「中枢性しゃっくり」と呼ばれるしゃっくりが出ることもあります。
飲酒時のしゃっくりは、ほとんどは数時間以内に自然に止まるものですが、48時間以上止まらない場合は何らかの病気による症状が原因である可能性もあるため、医療機関で検査を受けるようにしましょう。

東洋医学では、六腑のうちの消化物を下降させる働きのある「胃(い)」の「気(生命エネルギー)」が、消化吸収をつかさどる五臓の「脾(ひ)」の衰えにより上逆してしまうことでしゃっくりが生じると考えられています。

次の章ではこのような「飲酒時のしゃっくり」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

飲酒時のしゃっくりに対処する3つの方法

1.飲酒による気の緩みで暴飲暴食をしない

夏の暑い時期には、冷たいビールをジョッキで飲み干したくなる方も多いと思いますが、冷たいものや熱いものを急激に飲むことは、喉を刺激してしゃっくりを誘発してしまう可能性があります。
そしてアルコールの摂取ととともに酔いが進んで暴飲暴食が加速し、胃が急激に拡張することも横隔膜の刺激につながります。
お酒の席ではつい気が緩んで食べ過ぎたり飲み過ぎたりしがちですが、できるだけ胃に優しく消化の良いおつまみを選ぶようにすることが大切です。冷たいものや熱いものを一気に飲むことを避け、節制しながら楽しむようにしましょう。

2.ストレスを溜め込まず、過度な飲酒は控える

お酒を飲んでいると、つい食べ過ぎてしまうのはもちろん、大声で笑ったり、泣いたりなどの喜怒哀楽に関する強い感情もあふれてしまいがちです。
こうした刺激も喉と鼻の間にある舌咽神経に影響を与え、横隔膜をけいれんさせる要因になります。
飲酒時に感情を爆発させないためにも、お酒の量は適度にして過度な飲酒を控えるようにしましょう。また、日頃からストレスを溜め込まず、趣味を楽しんだり適度な運動で発散したりすることも大切です。

3.酸味のあるものを摂取して意識をそらせる

飲酒後になかなかしゃっくりが止まらなくなった、というときは、レモンやお酢などの酸っぱいものを口にするのもオススメです。酸味が咽頭から食道を通ることで迷走神経が刺激されると、しゃっくりから意識をそらして酸味を感じることに切り替える指令が脳へ送られるようになり、しゃっくりを止められるといわれています。
また、レモンやお酢にはクエン酸が含まれているため、酔い覚ましにも有効です。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

飲酒時のしゃっくりを止めるためには、セルフケアに加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、柿蒂湯(シテイトウ)です。古来よりしゃっくりに用いられている漢方薬で胃腸の働きを高めて症状を改善する効果があります。また、筋肉のけいれんや痛みに用いられる芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)もしゃっくりに用いられます。
一方、呉茱萸湯(ゴシュユトウ)は頭痛や頭痛に伴う吐き気、しゃっくりに用いられるので頭痛や吐き気などの症状もある場合にオススメです。

過度な飲酒を控え、節制しながら楽しみましょう

今回は、飲酒時のしゃっくりを解消するためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
お酒の席は楽しいものですが、酔って暴飲暴食したり、喜怒哀楽の表現が激しくなることでしゃっくりが誘発されてしまうことがあります。
しゃっくりの発作を防ぐためにも、日頃からストレスを溜め込まないように心がけ、お酒の席でも過度な飲酒を控えて節制することを心がけましょう。
また、こうしたしゃっくりの悩みには、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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