顔面にへばりつく汗みどろの髪…大量の寝汗でうまく眠れません!

更年期の寝汗 アイキャッチ
体験談

特に熱帯夜でもないのに、夜中に目が覚めてしまうほどぐっしょりと寝汗をかいてしまう、手足は冷えるのに顔や胸が汗ばんで、毎晩寝苦しい夜が続いている…。
40〜50代の更年期世代の女性のなかには、このような「寝汗」の症状に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「更年期の寝汗」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。 

​​熱帯夜でもないのに大量の寝汗! 寝苦しい夜を何とかして…

カモミールティー

玲子さん(48歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。

ここ1年ほど、暑くもないのに頭がぼーっとするほどのほてりや大量の発汗に悩まされています。更年期だし仕方がないかとも思い、あまり気にしないようにはしていたのですが、最近は特に我慢ならないほどに夜間の寝汗がひどいんです。
夜中に目が覚めて汗みどろの髪の毛が顔にへばり付いていてギョッとしてしまうこともたびたび…。
せっかく寝る前にシャンプーしていても、出社前の慌ただしい時間にベチョベチョになった髪を洗い直さなければならないことにもストレスを感じてしまいます。
不思議なのは、熱帯夜でもなければ、たいして気温が高いわけでもないのに汗びっしょりになってしまうこと。それに就寝中だけでなく、寝るときも手足のほてりが気になってうまく眠れないのも悩みのタネです。私、どこかおかしいのでしょうか?
このままでは睡眠時間も削られて疲労は溜まる一方です。どうにかしてこの不快な寝汗を改善したいのですが、何か良い方法はないでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
更年期には、ホルモンの急激な変化から体内のバランスが乱れ、さまざまな不調が起こりがちです。
特にほてりやのぼせ、寝汗などの症状は不眠に繋がることも多く、つらいですよね。
今回は更年期の寝汗の原因や改善方法について詳しくお伝えしていきましょう。

更年期の寝汗は自律神経と汗腺の調節機能の乱れが原因

女性ホルモンのバランスイメージ

更年期には、加齢とともに卵巣機能が衰えることに加え、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌の減少からホルモンバランスが崩れることで自律神経が乱れやすくなります。
自律神経の働きのなかには血管の収縮や汗腺の調節をする機能もあるため、自律神経の乱れにより顔や胸から大量の発汗が起こることがあります。
特に更年期の発汗は気温や運動量に関係なく就寝時に大量の発汗が起こることで、寝汗に悩む方も少なくありません。

また東洋医学では、更年期には「気(生命エネルギー)」「血(血液)」「水(水分)」の乱れからさまざまな不調が生じるとされており、特に「気」の滞りや不足などの不調から寝汗が生じると考えられています。

次の章では、更年期の「寝汗」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきます。

更年期の寝汗を改善する3つの対処法

1.就寝前にはストレッチ&リラックスしましょう

リビングでストレッチをする女性

寝る前に軽めのストレッチなどで体を動かし、全身の血の巡りを良くすることも寝汗の改善に効果的です。
汗をかかない程度に軽く運動する習慣をつけることで睡眠の質も向上することが期待できるため、疲労を解消し、凝りを回復する効果も期待できます。
また、精神的なストレスから自律神経が大きく乱れることもあるため、睡眠前はあまり思い悩んだりしないことです。好きな香りや音楽を楽しんでリラックスするのも良いでしょう。

2.大豆イソフラボンの積極的な摂取を心がける

イソフラボンと豆乳と大豆

暑くもないのに寝汗をかきやすくなる原因として、更年期におけるエストロゲンの減少が挙げられます。
食生活でできる対策としては、特に納豆や豆腐、豆乳などに多く含まれる大豆イソフラボンを積極的に摂ると良いでしょう。
大豆イソフラボンは、腸内細菌の力によってエクオールというエストロゲンと似た働きをしてくれる成分に変換されますが、体質によってはエクオールを作ることが難しい場合や、食品で大量のイソフラボンを摂るのが難しい場合には、サプリメントで摂り入れることもできます。

3.吸水・吸湿性の良い寝具で快適な睡眠環境を

大量の寝汗が出て夜中に目が覚めてしまうほどの場合は、吸湿性のある素材のパジャマを着用し、吸湿性の良いベットパッドやタオルを敷くなどして、なるべく快適に眠れる睡眠環境を整えるようにしましょう。
就寝前の水分摂取を控えめにすることも有効ですが、夏場の暑い時期は水分を控えすぎることで熱中症の危険があります。気温や体調との兼ね合いをみて、適度な水分補給を心がけるようにしてください。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

更年期の寝汗を改善するためには、セルフケアや婦人科での治療に加えて、体質の改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、加味逍遙散(カミショウヨウサン)です。体内に溜まった過剰な熱を抑えることで、寝汗やホットフラッシュ、手足のほてりなどの症状を改善する効果があります。
また、寝汗に加えて口の渇きやストレスが強く、下半身は冷えるのに上半身に熱がこもりやすい方には、体を温めて血瘀(けつお)を改善する温経湯(ウンケイトウ)も良いでしょう。
一方、ほてりや寝汗などのほか、夜間にトイレに行く回数が増えたとか、むくみがある場合は、知柏地黄丸(チバクジオウガン)がオススメです。

気と血の巡りを改善して自律神経を整える習慣づけを!

ベッドに置かれたラベンダーの花束

今回は、更年期の息切れの改善方法や漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、就寝前のストレッチやリラクゼーションなどで気や血の巡りを良くすることや、大豆イソフラボンの摂取を心がけてホルモンバランスを整え、自律神経の乱れを整えることが大切です。
また、こうした更年期の症状にまつわる悩みには、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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