汗と蒸れでマスクの中の肌がボロボロ…繰り返す肌荒れをどう改善する?
マスクの長時間の着用にともない、口の周りにカサつきやかゆみを感じることが増えた、仕事中、常にマスクをしていたら口の周りやあごにプツプツとした吹き出物ができてしまった……。
30〜60代の幅広い世代の女性のなかには、こうした「マスクによる肌荒れ」の症状に悩んでいる方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
こんな自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。
今回は「マスクによる肌荒れ」をテーマに、薬剤師の中田早苗先生にお話を伺ってみました。
目次
これじゃもうマスクを外せない!? 赤みとかゆみで口の周りが真っ赤に!
玲子さん(41歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。
マスク生活が長引くにつれ、メイクもスキンケアも怠りがちになっていたこともあるのかもしれませんが、このところ肌荒れがひどくて参っています。
冬の寒い時期のうちはカサカサと乾燥する程度の状態だったのですが、汗が噴出する夏場になってからは、赤みやかゆみ、プツプツとした湿疹のようなものが口の周りやあごに広がり、かゆくてかゆくて仕方がありません。我慢できずに、マスクの上からちょこちょこかいていたら、不織布と擦れたのか、あごが無残なほど真っ赤に……。
正直、マスクをしていればベースメイクもしなくていいしリップも塗らなくていいし、と美容をサボる気満々でオンライン会議ですらマスクをしっぱなしにしていた私。その代償は思ったより大きく、鏡を見るたびにショックを受けています。
まだしばらくはマスク生活が続きそうですし、このままではマスクのせいで顔がボロボロになってしまいそうです。
会社に勤務しているため外しっぱなしにするわけにはいきませんし、いったいどうしたらこの繰り返す肌荒れを改善できるでしょうか?
何か良い方法があればぜひ教えてください。
ご質問ありがとうございます。
昨今の肌悩みとして、マスク着用による乾燥や赤み、ニキビなどの肌トラブルが増加傾向にありますが、女性としては、マスクの内側も常に美しくありたいですよね。
今回はマスクによる肌荒れの原因や改善方法について詳しくお伝えしていきましょう。
マスク肌荒れはバリア機能の低下と雑菌の繁殖が原因
マスク着用時の肌は、呼気による蒸れや頻繁な着脱による温度差、布や繊維が肌と擦れ合うことにより刺激を受けやすい状態になっています。
こうした状態では、肌の潤いを保ち保護してくれる肌のバリア機能が低下し、赤みやかぶれ、ニキビなどの肌トラブルを起こしやすくなってしまうのです。
また、蒸れたマスク内部では湿度や温度の上昇から汗や皮脂も増え、雑菌やニキビの元となるアクネ菌の増殖を招きやすいこともニキビなどの肌トラブルの原因になるといえます。
肌荒れの多くはセルフケアや生活習慣の見直しなどで改善することも多いですが、症状がひどく長引く場合には皮膚科で治療を受けるようにしましょう。
東洋医学では、「気(生命エネルギー)」「血(血液)」「水(水分)」の乱れからさまざまな肌トラブルが生じるとされており、マスク着用のストレスによる「気」「血」の滞りや顔に余分な熱がこもることでも肌荒れや吹き出物などの症状が起こると考えられています。
次の章では、「マスクによる肌荒れ」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきます。
マスク肌荒れを改善するセルフケア3選
1.低刺激スキンケアで潤いを補給しましょう
長時間のマスク着用でデリケートな状態になっている肌には、普段以上に優しく丁寧にケアする必要があります。
帰宅後マスクを外したらすぐに皮脂の汚れやメイクを落とし、清潔な状態に保つようにしましょう。
洗顔後は乾燥を防ぐためにも、保湿力の高い低刺激性の化粧水や乳液で潤いを補給し、バリア機能を回復させることが大切です。
カサつきが気になる部分には、化粧水の後に美溶液を重ね付けしたり、クリームで潤いを逃さないようにするのも良いでしょう。
2.マスク内の汗はこまめに拭き取って保湿を
夏場は特にマスクの中は暑さと呼気で汗びっしょり、なんていうことも多いのではないでしょうか。
蒸れによるかぶれや雑菌の繁殖を防ぐためにも、マスク内で溜まった汗はこまめに拭き取るようにしましょう。
また発汗に加えて、頻繁な着脱による外気温との温度差から、肌の乾燥が悪化してしまうのを避けるため、汗を拭き取った後にスプレータイプの携帯用の保湿化粧水などで保湿ケアをするのもオススメです。
3.適切なマスク選びと擦れ対策を心がける
擦れがちな素材やズレやすいサイズのマスクを変えることで、肌への刺激が軽減されることがあります。
できるだけ肌に優しいシルクやコットンなど天然素材のものを選ぶことや、ズレにくい適切なサイズのものを選ぶと良いでしょう。
布製のマスクでは感染防止力が心配ということであれば、その上から不織布マスクをするのもオススメです。
また、どうしても布が当たる部分の肌の擦れが気になる場合や、耳の裏がゴムで擦れる場合は、皮膚に保護膜を作るワセリンを擦れる部分に少量塗っておくと刺激を軽減できます。
根本的な体質改善には漢方薬が効果的!
マスクによる肌荒れを改善するためには、セルフケアや皮膚科での治療に加えて、体質の改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、消風散(ショウフウサン)です。
かゆみをともなう湿疹や炎症が慢性化してしまった方の皮膚の熱感やかゆみを解消して症状を抑える効果があります。
また、化膿をともなう吹き出物ができやすい方には、血の巡りを良くして炎症を鎮める効果のある十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)も良いでしょう。
自分の症状や体質にぴったりマッチした漢方薬を選ぶのは難しいと感じがちですが、「あんしん漢方」では、お悩みの症状を元にAIがあなたにぴったりな漢方薬をご案内しています。
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マスク内の環境改善と保湿ケアでバリア機能を高めましょう
今回は、マスクによる肌荒れの改善方法や漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、毎日の正しいスキンケアで失われがちなバリア機能の回復をはかることが大切です。
さらに、適切なサイズのマスクを着用することや、こまめな汗の拭き取りと保湿でマスク内の環境を改善することを心がけるようにしましょう。
こうした肌荒れの症状にまつわる悩みには、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。
セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。