漢方で緩和できる? 生理痛の原因と和らげる方法

お悩み

女性にとって避けて通れない、毎月の生理。
生理痛は腹痛、頭痛、腰痛、吐き気など人によってさまざまです。
どうにかしたいけど、どうしようもない…。

今回はそんな生理時の不調や、つらい症状の原因や対処法について説明していきます。

生理中の腹痛を和らげる方法 

生理開始とともに、下腹部に鈍い痛みが走る。
腰回りからお腹全体にかけて圧迫されるような痛みがあって、じっとしていられない。

このような症状でお悩みの女性も多いのではないでしょうか?
月経時の不快な症状の中で、最も多くの女性が悩まされているのが腹痛です。

ここでは多くの女性を悩ませる、月経時の腹痛の原因と対処法を解説していきます。

生理中の腹痛の原因 

月経時の腹痛は、プロスタグランジンの影響が考えられます。

プロスタグランジンは、子宮を収縮させて、不要になった子宮内膜を血液と共に、体外に排出する働きがあります。この分泌量が多いと必要以上に子宮が収縮して、強い痛みの原因になるのです。

東洋医学では、身体の冷えにより「血(血液)」の巡りが悪くなることで「血瘀(けつお)」の状態になり、より強く痛みを感じると考えます。
さらに精神的なストレスが月経と重なると「気(生命エネルギー)」の流れも滞り、それが痛みの原因になることもあります。

腹痛を緩和するには?

月経中の腹痛は、「血」と「気」の流れが大きく関係します。

その「血」の流れに大きく関係するのが身体の冷え。冷えは血の巡りを悪くして、強い痛みの原因となります。
冬だけではなく、夏も冷房対策でお腹周りを温めたり、冷たい飲み物を飲みすぎないようにしましょう。

身体を温める「シナモン」や「しょうが」を積極的に摂取するのもオススメです。
これらは香りもよく、胃を温める効果もあります。食欲不振や胃の痛みにも効果的です。

「気」の巡りの改善にはツボ押しが手軽にできて良いでしょう。
足の内くるぶしから指4本分上にある「三陰交」は婦人科系のトラブル全般に。

また頭頂部のほぼ中央、両耳の上端を結ぶ線と、眉間の中央から伸ばした線が交差する場所にある「白合」は、自律神経の乱れを整えて気の巡りをよくします。
これらを1日1〜2回、指の腹でゆっくり押してみましょう。

根本的な体質改善には漢方薬もオススメ。
虚弱傾向で冷えやむくみのある方の身体を温め、血の滞りを改善する当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
体力があり、体格のしっかりした方で、のぼせやめまい、肩こりなど更年期症状を伴う方は「血瘀」を改善する桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)が効果的です。

https://www.kamposupport.com/kentame/archives/7023

生理中の頭痛を和らげる方法

なんだか頭痛がする?と思ったら生理がきた。
排卵前後は必ず頭痛がして、その痛みは吐き気を伴うほどひどい…。

このような症状でお悩みの女性も多いのではないでしょうか?
月経時の不快な症状や痛みというのは腹痛だけではありません。

ここでは月経時の頭痛をテーマに、原因と対策について解説していきます。

生理中の頭痛の原因

月経時の頭痛には、女性ホルモンのエストロゲンが関係していると言われています。

排卵時と月経時に起こる急激なエストロゲンの減少は、脳内の神経伝達物質のバランスを崩します。
それによって神経に炎症が生じたり、脳血管を拡張させることで頭痛が生じるのです。

東洋医学では、「気・血・水(生命エネルギー・血液・水分)」のバランスの乱れが、不調の主な原因と考えます。
頭痛は、この「気・血・水」の流れの滞りや「気・血」の不足により痛みが起きると考えられています。

頭痛を緩和するには?

月経時に起こる頭痛には、「緊張型頭痛」「偏頭痛」の2つのタイプがあります。

それぞれタイプ別に解説していきます。

・緊張型頭痛タイプ

首周りや、頭の筋肉の緊張から起こります。
肩や首周りの凝り固まった筋肉の緊張をほぐすために、肩や首周りのストレッチをおこなうと良いでしょう。

蒸しタオルで首筋を温めたり、低めの温度でゆっくり入浴するのもオススメです。
寝心地の良い寝具を使ったり、リラックス効果のある香りや入浴剤で毎日の疲れを解消し、ストレスを溜め込まないことも大切です。

・偏頭痛タイプ

エストロゲンの影響で、過度に血管が拡張して知覚神経に触れることで起こります。
痛む場所を指で押して血流を一時的に止めるのも効果的です。

また、コーヒーや紅茶などに含まれるカフェインの血管収縮作用で症状が軽減する場合もあります。ですが、過度に摂取すると逆に頭痛の原因になることもあるので注意が必要です。

緊張型頭痛と違って、リラックスしているときにも起こることが特徴です。
ひどくなる前に、静かな暗い空間でリラックスして横になりましょう。

根本的な体質改善には漢方薬も効果的です。
身体を温め、「気・血」の流れを乱す「冷え」を解消する呉茱萸湯(ゴシュユトウ)、また、慢性的な頭痛や頭重感のある女性には釣藤散(チョウトウサン)もオススメです。

https://www.kamposupport.com/kentame/archives/7033

生理中の腰痛を和らげる方法 

生理中、腰の鈍痛と怠さで動くのも辛い…。

生理の度にこんな腰痛に悩まされている女性も少なくありません。

ここでは生理中に起こる腰痛の原因と対策について解説していきます。

生理中の腰痛の原因 

月経中の腰痛には、プロスタグランジンが大きく関係しています。

プロスタグランジンには子宮の収縮を促し、経血の排出をスムーズにしてくれる働きがありますが、経血の排出時に血管を収縮させる作用もあります。その収縮によって腰に痛みが起こるのです。

東洋医学では、月経時の腰痛は特に「血」の滞りによる「血瘀」が原因と考えます。そして「血」の滞りは「気」の不足によっても起こることが知られています。これら「血」と「気」が腰痛に大きく関係するのです。

腰痛を改善するには?

月経時の冷えは「血」の巡りを滞らせ、痛みを悪化させる大きな原因になります。特に、お腹周りや足腰を冷やさないようにしましょう。

低めの温度でゆっくり入浴したり、生姜紅茶やココアなどのホットドリンクを飲んだりして、身体を芯から温めましょう。
生姜は身体を温め、ココアに多く含まれるマグネシウムは血行改善やイライラを抑える効果もあります。

痛みや怠さで1日中寝込みがちな月経期間ですが、身体を少し動かしてみると案外痛みが軽減されることもあります。
逆に座りっぱなしで骨盤内の血流が滞ると、かえって月経痛が悪化することもあるので要注意です。
無理のない範囲でのストレッチは、血行改善だけでなくストレス解消にも繋がります。

根本的な体質改善には漢方薬も効果が期待できます。
「気」、「血」の流れを良くして腰の痛みを緩和する作用のある桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)や、のぼせなどの症状を伴う方の腰痛には桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)も良いでしょう。

https://www.kamposupport.com/kentame/archives/7295

生理中の吐き気を和らげる方法 

生理中、胃がムカムカして吐き気がする。お腹の痛みに加えて吐き気があって起き上がれない…。
このような症状に悩まされる女性も多いのではないでしょうか?

ここでは生理のときの吐き気の原因や、その対処法について説明していきます。

生理中の吐き気の原因

生理中の吐き気にもプロスタグランジンが大きく関係します。

プロスタグランジンには、子宮収縮を促して経血をスムーズに排出する作用がありますが、分泌量が多すぎると子宮収縮作用が強くなり、月経痛を引き起こす原因となります。
しかも、このプロスタグランジンには胃を収縮させる作用もあり、過剰な分泌は吐き気を起こす原因になるのです。

東洋医学では、「気・血・水」の流れの滞りが、痛みを起こす原因になると考えます。
「不栄則痛」という言葉があり、これは栄養が不足すると痛みが起こる、という意味。
気血の不足は、栄養が十分に供給されず、痛みや吐き気を起こす原因になります。

吐き気を緩和するには?

辛いものなどの刺激物、揚げ物など胃がもたれる食べ物は控えて、胃に負担をかけない食事を意識しましょう。
生姜やナッツ類などの身体を温める効果がある食材を積極的に摂取するのも効果的です。

冷たい飲み物も胃に負担をかけます。
症状が辛い時には無理せず身体を横にして安静にしながら、常温の飲み物を少しずつ摂りましょう。

ストレスは自律神経を乱れさせ、胃腸のはたらきを悪くし、さらに消化器系が弱ることで、鉄分の吸収が悪くなります。
ただでさえ血を失う月経時は、吐き気を伴う貧血も起きやすくなり悪循環になってしまうのです。
できるだけリラックスし、穏やかに月経の期間を過ごしましょう。

根本的な体質改善には漢方薬もおすすめです。

冷え性で疲れやすい方の、めまいや頭重感(ずおもかん)を伴う吐き気には当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)、冷え性で、頭痛やみぞおちがつかえる症状を伴う方には、気と血の流れを改善する呉茱萸湯(ゴシュユトウ)がオススメです。

https://www.kamposupport.com/kentame/archives/7135

まとめ

生理痛の辛さや重さは人それぞれで、周りに理解されづらいことも多く、辛い思いをされている女性もたくさんいらっしゃるでしょう。

生理痛の種類によって、ケア方法も有効な漢方薬も異なります。
こちらの記事を参考に、セルフケアや体質改善の漢方を試してみてくださいね。

関連記事