冷え性を漢方で改善するには? 部位別に効果的な対処法を解説

お悩み

季節を問わず身体が冷える「冷え性」。
改善方法が分からずに悩んでいる女性もいらっしゃることでしょう。

ここでは、多くの女性を悩ませる「冷え性」を取り上げ、基本的な対処法から末端冷え性対策、さらに冷えを感じる部位ごとに効果を期待できる漢方薬を紹介します。

冷え性を改善する基本的な対処法

体温が36℃以上になることがない、お風呂で温まってもすぐに冷えてしまう….。

これらの悩みは30代〜50代のミドルエイジの女性の多くが抱える「冷え性」からきているかもしれません。
ここでは冷え性の原因と対処法について解説していきます。

冷え性の原因

冷え性は、自律神経の乱れにより血流が悪化、血管が収縮することで身体が冷える状態のことです。

女性に冷え性が多いのは、男性に比べて筋肉量が少ないため運動によって熱をうまく作れない、月経や過度なダイエットで貧血傾向にある、などが原因といわれています。

東洋医学では、冷えは「血(血液)」の不足による「血虚」、血行不良による「血瘀(けつお)」、「気」の不足による「気虚」、温める力の不足による「陽虚」によって起こると考えられています。

冷え性に有効なケアと漢方

筋肉量が少ないと上手く熱を生み出すことができません。
良質なタンパク質を摂取して筋肉を動かし、熱を生み出せる体づくりをすることは冷え性改善に効果的です。

寒い冬には保湿性の高い下着や重ね着で身体を温め、暑い夏に冷房のきいた部屋で過ごす時にはストールや上着で身体を冷やしすぎない工夫をしましょう。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的です。

身体を温め、熱を生み出す効果のある当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)や血を補いながら巡りを良くして、水分バランスを整える作用のある当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)などが有効です。

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末端冷え性とは?

指先や足先の感覚がなくなるほど冷えて、痛みを感じる末端冷え性にお悩みの女性も多いのではないでしょうか?

ここでは30〜50代のミドルエイジの多くの女性が悩む末端冷え性の原因と対処法について解説していきます。

末端冷え性の原因

手や足などの末端の冷え性は、内臓が冷えないように熱を身体の中心に保とうとして、手足から熱を発散してしまうことで起こります。
また、過度なストレスから交感神経が優位となり、毛細血管が縮むことで身体の隅々まで血が巡らなくなることでも末端に冷えが生じます。

東洋医学では、末端冷え性は「血」の不足による「血虚」、血行不良による「血瘀」によって起こると考えられています。

末端冷え性に有効なケアと漢方

末端の冷えは食べ物による改善を期待できます。
血管の修復を促進するシナモンと血行を促進する効果のあるショウガなどがオススメです。
特にショウガは胃腸を刺激して活性化させる効果もあるため、身体を温めるのに有効です。

ストレスや疲労も末端の冷えを引き起こしやすいといわれています。
精神疲労が溜まっていると感じた場合は、ストレス解消と血流の改善をかねてスポーツやストレッチを取り入れると良いでしょう。

特にオススメのストレッチはスクワットです。
血流を改善すると同時に自律神経のバランスを整える効果もあるといわれています。

また、根本的な体質改善には漢方薬も良いでしょう。

身体を温め、熱を生み出す効果のある当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)や、血行や水分循環を良くして身体を温める五積散(ゴシャクサン)などが効果的です。

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【部位別に解説】冷え性を漢方で改善するには? 

ここからは部位別に冷え性対策を取り上げ、効果を期待できる漢方を紹介します。

足が冷たいときの対処法 

冬場はもちろんのこと、春先でも季節の変わり目の寒暖差や、暖かくなって薄手の服装に変わる時、暖房をつけなくなって部屋の温度が変わるなどの原因で冷えを感じやすくなります。
春先の足の冷えを和らげるためには、寒暖差が大きい気候を考慮して、衣替えを後ろ倒しにするなどで温かい服装を心がけましょう。

血流を良くするツボを刺激するのも効果的です。
特に足が冷える、という方は左右の足指の付け根にある「八風(ハップウ)」というツボを刺激してみましょう。足先の血流改善に効果的です。

また、根本的な体質改善には漢方薬もオススメです。

「水」の巡りを良くして「水毒」を改善、むくみや冷えを改善する効果のある苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)や、身体を温めて「血」の巡りを良くし、水分バランスを改善して足腰の冷えにも効果的な当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)も効果的です。

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お腹が冷たいときの対処法

お腹の冷えは体内の「水」のバランスが乱れて「水毒」の状態になることで起こるとされます。

お腹を温めるためには、東洋医学において身体を温める食べ物とされる「陽性食品」を積極的に摂取するように心がけましょう。
代表的な物として、ゴボウやショウガなどの根菜類、赤身肉などのタンパク質、玄米などの穀類が挙げられます。

温かいドリンクを飲むように心がけるのも有効です。
ショウガ紅茶など身体を温める効果のある飲み物を取り入れてみましょう。

根本的な体質改善には漢方薬も効果があります。

腹部を温め、冷えを改善する大建中湯(ダイケンチュウトウ)や身体を温めると同時に胃腸機能を改善する効果もある人参湯(ニンジントウ)などもオススメです。

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内臓が冷えるときの対処法 

隠れ冷え性とも呼ばれる内臓の冷え。手足は冷えないのに内臓だけが冷え、倦怠感や風邪につながることもあります。
内臓の冷えは疲労やストレスで自律神経が乱れることで起こりやすいといわれています。

冷えの改善には疲れやストレスを溜めない工夫が大切。
忙しくてもゆっくり入浴したり、十分睡眠をとって副交感神経を優位にする時間を確保するよう工夫しましょう。

内臓の冷えを解消するために必要なのが筋肉。
筋肉を増やして代謝をあげると体内で熱を生み出すことができ、自力で体温調節ができるようになります。
移動の際は階段を使う、長時間作業する際はストレッチを挟むなど生活の中でのちょっとした運動を取り入れて、筋肉を刺激するようにしましょう。

根本的な体質改善には漢方薬もオススメ。

「血」の巡りを改善する当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)や、「気」を補い「水」を取り除く苓姜朮甘湯(リョウキョウジュツカントウ)などが効果的です。

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手足が冷えるときの対処法 

頭痛や肩こりなどを伴うこともある手足の冷え。
秋から冬にかけて気温が下がってくると、内臓を冷えから守るために身体の中心部に優先的に血液が集まることで末端の血管が収縮し、手足の冷えを起こします。

手足の冷えを改善するには、血液の流れをサポートをするビタミンEを積極的に摂取しましょう。
ビタミンEを多く含む食べ物として代表的なものは、ピーナッツ、オリーブ油、うなぎ、ほうれん草、アボカドなどです。

服装にも注意が必要です。身体を締め付ける服や靴は血流を悪化させます。
保温力があり、ゆったりとした服や靴を選びましょう。

根本的な体質改善には漢方薬もオススメです。

血流を改善、胃腸を温める効果もあり、冷えからくる頭痛にも効果的な呉茱萸湯(ゴシュユトウ)や、代謝をあげて血の巡りを良くして身体を温める附子人参湯(ブシニンジントウ)などが効果的です。

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足首が冷えるときの対処法 

足首は心臓から最も遠い場所にあり、血液が滞りやすい場所です。そのため心臓から送られてくる温かい血液が正常に循環しないため冷えが起こりやすいといわれます。

簡単にできるセルフケアとしてオススメなのが、3つの「首」を温めること。
足首に加えて首、手首は全身の血液の流れに大きな影響を与えるため、この3カ所を温めると全身に温かい血が通い、身体が温まります。

根本的な体質改善には漢方薬も効果的です。

「血」を補い「水」のバランスを整える当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)や、血行、水分循環の改善をして身体の冷えや痛みにも効果的な五積散(ゴシャクサン)もオススメです。

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下半身が冷えるときの対処法

下半身の冷えはお尻やふくらはぎなど筋肉のコリによる血行不良によるものが多く、「冷えのぼせ」の症状を伴う傾向があります。

骨盤の歪みで下半身の「血」の巡りが悪化し、代謝が悪くなることも原因の1つです。

脂肪の蓄積や加齢と共にお尻や太もも増えるセルライトも下半身の冷え悪化の原因になります。
下半身の脂肪がセルライトに変化すると、血流の妨げとなり全身の冷えに繋がります。
入浴時のマッサージでセルライトを予防しましょう。

お尻にある「臀中(でんちゅう)」というツボは、血の巡りを良くするツボです。
左右両方のお尻の中心部、えくぼのあるところに位置するツボです。30秒ほどを3回程度ゆっくり押しましょう。

根本的な体質改善には漢方薬がオススメです。

「水」の滞りを改善して「気」を補い、冷えやむくみを改善する苓桂朮甘湯(リョウキョウジュツカントウ)や「腎」を補い血の巡りを良くする八味地黄丸(ハチミジオウガン)などが良いでしょう。

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まとめ

「冷え性」の基本的な対処法と、部位別の効果的な対策を紹介してきました。
こちらで紹介したセルフケアを不快な症状の改善のために取り入れてみてはいかがでしょうか。

冷え性の改善は漢方薬が効果を発揮する例もたくさんあります。
セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

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