孫のオムツが取れたら今度は私!?︎大人の「夜尿症」の改善方法は?

体験談

朝起きると下着と布団が尿もれで濡れていて安心して眠れない、寒い時期には就寝中にうっかり粗相してしまうことが増えた……。
50〜60代の閉経期世代の女性のなかには、このような「夜尿症」の症状に悩んでいる方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「夜尿症」をテーマに、薬剤師の清水みゆき先生にお話を伺ってみました。

​​朝起きるとお尻の辺りがしっとり……粗相続きの不安で眠れない!

芙美子さん(59歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

娘夫婦と同居しており、3歳になる孫のお世話を楽しんでいます。
実は、つい最近までおねしょを繰り返していた孫がやっと布団を汚さないようになったと安心したのもつかの間、今度は私がおねしょをする事態になってしまったんです。
もういい大人ですので、おねしょというよりは尿もれや夜尿症と言うべきなのでしょうが、ここ数週間でなんと3度も粗相をしてしまったんです。
朝、お尻あたりがひんやりとして目覚めるあの嫌な感じ、もう眠るのが怖いくらいです。最近では、不安のあまり夜中に何度も目が覚めてしまうことも度々で……。
還暦近いとはいえ、どこも具合が悪くないのに今からオムツ生活になるなど、まっぴらごめんです。それに、まだまだ気持ちは若いものですから、すっかり気落ちしてしまっています。
どうにかしてこの夜尿症を治して安眠したいのですが、何か良い方法はないでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
年齢を重ねるとともに、膀胱を支える筋肉に緩みが生じることは仕方がないのですが、実際に漏らしてしまうと、まさか自分が、という思いで不安になってしまいますよね。
今回は、夜尿症の原因や改善方法について詳しくお伝えしていきましょう。

骨盤底筋の緩みと自律神経の乱れが夜尿症の原因に

夜尿症とは、睡眠中に尿が漏れてしまう症状です。「おねしょ」といえば子ども特有のものと思われがちですが、夜尿症は加齢による骨盤底筋の緩みや自律神経の乱れ、冷えや睡眠習慣などが原因となって大人にも起こるものです。
骨盤底筋を鍛えることや生活習慣の改善で症状が良くなることもありますが、過活動膀胱や糖尿病などでも夜尿症になることもあります。症状が長引く場合や膀胱の違和感を感じる場合は、早めに泌尿器科を受診して医師の診断を受けましょう。

また東洋医学では膀胱の働きをする「腎」の衰えにより水(水分)の代謝が乱れ、夜尿症が起こると考えられています。

次の章では、「夜尿症」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきます。

夜尿症を予防・改善するセルフケア3選

1.寝る前に水分を摂りすぎないようにする

就寝時の尿もれを防ぐためには、寝る直前に水分を摂りすぎないことが大切です。
寝る前に多くの水分を摂取することで、寝ている間に作られた尿が膀胱に貯めきれなくなってしまいます。熱中症を避けるためにも、無理に水分摂取量を減らす必要はありません。寝る前の3時間は冷たい水分を控え、利尿作用のある緑茶やコーヒーを飲まないようにするだけでも改善が期待できます。
また、寝る前に必ず排尿して尿を出し切っておくことや寝冷えを防ぐことも大切です。

2.「腎気」を補う食材を積極的に摂りましょう

加齢や生活習慣で「腎」が衰えることで、夜尿症を含めた泌尿器系のトラブルが多くなります。
症状改善のためにも、毎日の食生活の中で、「腎」を補う食材を積極的に摂るように心がけてみましょう。

◎腎を補う食材
黒ゴマ、黒キクラゲ、昆布、黒米、ナッツ類、やまいもなど

3.骨盤底筋を鍛えるエクササイズをする

膀胱を支えている骨盤の底にある筋肉「骨盤底筋」が加齢とともに衰え、尿道が緩んでしまうことも夜尿症の原因になります。
骨盤底筋の緩みの進行を抑え、改善するにはエクササイズによって骨盤底筋を鍛えることが大切です。
簡単な方法をご紹介するので、ぜひ日常生活の中に取り入れてみてくださいね。

①肩幅くらいに足を開いて立ち、お腹とお尻に手を当てる
②肛門と尿道、膣のあたりを意識してキュッと引き締める
③そのまま引き上げる感じで5秒維持し、その後、緩める動作を繰り返す
※1日10回程度から始め、慣れてきたら30回ほど繰り返してみましょう。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

夜尿症を改善するためには、セルフケアや泌尿器科での治療に加えて、体質の改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、八味地黄丸(ハチミジオウガン)です。体を温め腎(泌尿器系の機能)を補うことで症状を改善する効果があります。
また、夜尿症に加えて、疲れやすさや食欲不振、寝汗などがある方には、弛んだ膀胱括約筋を引き締めて症状の改善が期待できる補中益気湯(ホチュウエッキトウ)も良いでしょう。

自分の症状や体質にぴったりマッチした漢方薬を選ぶのは難しいと感じがちですが、「あんしん漢方」では、お悩みの症状を元にAIがあなたにぴったりな漢方薬をご案内しています。
自宅にいながら気軽に始められますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

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エクササイズと生活習慣の改善で不安を払拭しましょう

今回は、夜尿症の改善方法や漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、就寝前の水分摂取を控え、尿もれへの不安やストレスを溜め込まないこと、体を冷やさないようにすることが大切です。
また、加齢とともに衰える骨盤底筋をエクササイズによって鍛えることもぜひ実践してみてください。

こうした夜尿症にまつわる悩みには、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。
セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。


清水みゆき

あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師 清水みゆき 漢方薬・生薬認定薬剤師  JAMHA認定ハーバルセラピスト 製薬企業の研究所勤務を経て、漢方調剤薬局に8年間勤務。漢方薬の服薬指導、食事や養生法での健康づくりのサポート、ハーブティーやアロマの相談販売に従事。 現在も漢方調剤薬局で薬剤師として働きながら、「ママのためのやさしい漢方」のサイト運営や漢方やハーブの通信講座やセミナー講師としても活動中です。

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