疲れを取るためのケア方法と疲労回復に役立つ漢方薬
仕事や家事、育児、介護のなどさまざまなストレスの中に身を置かざるをえない女性も多いのではないでしょうか?
疲れにはさまざまな原因があり、その原因ごとにさまざまな症状を引き起こします。
ここでは「疲れ」の症状別に分けて原因とセルフケア方法、効果的な漢方薬について解説していきます。
目次
慢性疲労のケア方法と効果的な漢方
慢性疲労は、日々蓄積した疲れが解消できずに疲労感が蓄積することをいいます。
疲労が蓄積しているときは忙しくても睡眠時間を確保し、メリハリのある生活を送ることを意識しましょう。
睡眠の質を高めるためにも日頃から適度なウォーキングなどの有酸素運動を心がけるとよいでしょう。
適度な運動は筋肉を刺激し、リラックス効果のあるセロトニンを増やす働きがあります。
オフの日もダラダラ過ごさず、爽やかな汗を流して体内の疲労物質を取り除き、寝る前に湯船に浸かって身体を温めてから入眠するようにしましょう。
根本的な体質改善には漢方薬もオススメです。
身体の「熱」を冷まし、「肝」の働きを高めてストレス症状を改善する作用がある「柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)」や、「気」を巡らせて身体の抵抗力を高める「補中益気湯(ホチュウエッキトウ)」などが効果的です。
眼精疲労のケア方法と効果的な漢方
眼精疲労は、目を酷使することで目や全身に疲れを感じ、休息や睡眠をとっても疲れが十分に回復しない状態をいいます。
日頃から目を酷使することが多い方は、作業環境を整えることが大切です。
眩しすぎる照明や暗い場所での作業は避け、モニターやデスクの照明の明るさを調整したり、エアコンの風が直接目に当たらないようにして目の乾燥を防ぐなど、目が疲れにくい環境づくりを工夫しましょう。
疲れが進んで頭痛や肩こりが起きてしまったときのオススメの疲労回復法は、後頭部の髪の生え際にある「風池(フウチ)」のツボを刺激すること。
頭を支える僧帽筋の外側、左右のくぼみにあるこのツボをゆっくり刺激しましょう。
根本的な体質改善には漢方薬も効果的です。
「腎」の機能を回復させ、「肝」の血液不足を補うことで目の機能を回復させる「滋腎明目湯(ジジンメイモクトウ)」や、身体の余分な「熱」や「水分」を取り除き、「腎」や「肝」を補って疲れ目を改善する「杞菊地黄丸(コギクジオウガン)」などがオススメです。
筋肉疲労のケア方法と効果的な漢方
筋肉疲労は、運動した数時間後から数日後にかけて筋肉の痛みが発生して動かしづらくなったり、本来の力が発揮できなくなったりすることです。
不慣れな運動で傷ついた筋肉の炎症や、筋肉に貯蔵されたグリコーゲンというエネルギーの減少によるものと考えられています。
筋肉の疲労回復には、働いた筋肉の血液の巡りを良くすることが効果的です。
軽い筋肉痛であれば、軽めの有酸素運動やストレッチで血の巡りを促進しましょう。
良質な睡眠と栄養バランスの取れた食事も重要です。
食事は、エネルギー代謝と疲労回復に効果的といわれるビタミンB1を多く含む豚肉や鶏肉、大豆などを積極的に摂るよう心がけましょう。
漢方薬による根本的な体質改善もオススメです。
筋肉の痙攣や痛みを感じる方の「気」と「血」を補い、不足した動力と栄養分を補う「芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)」や、「気」を補い疲労感を回復する「補中益気湯(ホチュウエッキトウ)」などが効果的です。
ふくらはぎの疲れのケア方法と効果的な漢方
ふくらはぎの疲労感やだるさの原因の多くは、長時間同じ体勢を続けることなどから起こる、静脈のうっ滞によるものです。
長時間同じ体勢を続けなければいけない場合、つま先を上げ下げするなどの軽い運動でふくらはぎの筋肉を動かし、足首に溜まったうっ血を改善しましょう。
ふくらはぎを圧迫するグッズを使用することも効果的です。
程よい圧迫感のある「弾性ストッキング」は、ふくらはぎ全体を圧迫することで血液の逆流や滞留を防止する効果があります。
就寝時に履いて寝るタイプのものもあるので、生活スタイルに合わせてうまく活用してみてください。
根本的な体質改善には漢方薬も効果的です。
疲れやすい方の「気」や「血」を補って症状を改善する「十全大補湯(ジュウゼンダイホトウ)」や、「気」を巡らせて身体全体の疲労感を改善する「補中益気湯(ホチュウエッキトウ)」などがオススメです。
脳疲労のケア方法と効果的な漢方
脳疲労は、脳を酷使することで疲労物質の活性酸素が溜まり、自律神経が正常に機能しなくなった状態をいいます。
一般的に疲労回復のために必要な睡眠時間は7時間程度といわれます。
しかし、疲労回復のための睡眠は、時間よりも質が重要とされています。
睡眠の質を上げるために湯船に浸かって芯から身体を温め、身体が冷え切らないうちに就寝しましょう。
就寝前はブルーライトを避け、目や脳に刺激を与えないことも大切です。
脳の緊張を解いてリラックスさせる方法に「瞑想」があります。
瞑想によって脳の認知機能に関わる「前頭前皮質」という部分が活性化され、脳疲労を改善するとともに、パフォーマンスを向上させることができるとされています。
根本的な体質改善には漢方薬がオススメです。
「気」を補う「補中益気湯(ホチュウエッキトウ)」や「気」と「血」を補って体内の巡りを良くする「十全大補湯(ジュウゼンダイホトウ)」などが効果的です。
精神疲労のケア方法と効果的な漢方
精神疲労は人間関係などのストレスを原因とする心の疲れですが、肉体的疲労や神経的疲労とも密接に関わり合っており、自律神経の乱れに連動して起こるといわれます。
一般的に、几帳面で完璧主義な方ほどストレスを感じやすく、精神疲労を溜め込みやすい傾向にあります。
自分の内面の声に意識的に耳を傾け、可能な限り仕事を制限したり、自分の時間や睡眠時間を確保する生活を心がけましょう。
仕事や育児などでさまざまなストレスを溜め込みがちなときは疲労回復に効果的なツボを刺激してみましょう。
手の甲の親指と人差し指の骨が交差する、やや人差し指寄りのくぼみにある「合谷(ごうこく)」は、不安や緊張を鎮める効果があるといわれます。
漢方薬による根本的な体質改善もオススメです。
「気」を巡らせて、身体全体の疲労感を改善する効果のある「補中益気湯(ホチュウエッキトウ)」や、「気」や「血」を補う「十全大補湯(ジュウゼンダイホトウ)」などが効果的です。
副腎疲労のケア方法と効果的な漢方
副腎はホルモン分泌によって血圧や血糖、水分や塩分量を一定に保つ働きを持った臓器です。副腎に疲労がたまるとホルモン分泌が不安定になり、さまざまな不調が引き起こされます。
副腎の疲労を改善は、まず食生活を見直すことが重要です。
血糖値の急上昇を抑えることが副腎疲労改善につながります。
血糖値の急上昇を抑える玄米や肉、魚、納豆などタンパク質を中心としたメニューを摂るのがオススメです。
そして、疲れたなと感じたときは無理せず休むこと。心と身体に無理を強いると、副腎にダメージを与え体調を崩すことにつながります。夜は睡眠をしっかりとりましょう。
日中疲れていると感じるときは、エネルギーチャージのための1〜2時間の短時間の昼寝を取り入れることもオススメです。
根本的な体質改善には漢方薬も効果的です。
「気」を補う「補中益気湯(ホチュウエッキトウ)」や「血」と「気」を補う「十全大補湯(ジュウゼンダイホトウ)」などがオススメです。
寒暖差による疲労のケア方法と効果的な漢方
季節の変わり目など、気温や天候の変わりやすい時期に疲労が蓄積されることを寒暖差疲労といいます。
自律神経の機能の一つに、体温調節機能があります。
自律神経が暑さ寒さに敏感に反応して環境に適応しようとした結果、疲労してさまざまな不調を引き起こすとされます。
寒暖差疲労改善のためには、冷えを感じるときには首元、手首、足首の「三首」を温め、温かいものを飲んだり食べたりすることで体内の深部温度を上げ、自律神経を整えましょう。
緊張しやすい首や肩のストレッチも疲労感の回復に効果的です。
首や肩甲骨をゆっくりとほぐすようにまわします。
風呂でゆったり湯船に浸かり、身体を温めた後に実践してみてください。
漢方薬による根本的な体質改善もオススメです。
「気」の巡りを良くし、「熱」を身体全体に行き渡らせる「加味逍遙散(カミショウヨウサン)」や「気」や「血」を補うことで疲労感を回復させる「十全大補湯(ジュウゼンダイホトウ)」などが効果的です。
まとめ
蓄積するとさまざまな不調を引き起こす「疲労」にお悩みの方は、ここで紹介したセルフケア方法を参考に症状の改善に努めてみてください。
疲労症状の回復に漢方薬が力を発揮した例もあります。セルフケアを試してもなかなか症状が改善しない場合は、お近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。