寝ると痛くなる腰痛の原因は? 検査方法や痛み止めについて解説

日本の診療所や病院を受診する理由は、風邪やさまざまな病気を差し置いて、腰痛が1番多いと言われています。
ここでは腰痛に悩む方の中でも、特に「寝ると痛くなる腰痛」を取り上げ、検査や治療などについて解説しましょう。
目次
寝ると痛くなる腰痛の原因は?

慢性腰痛の場合、立位のときや腰をかがめたときに痛みを訴える事が多くあります。
しかし時折、「寝ると痛くなる」腰痛を訴える人がいます。「寝ると痛くなる」と言っても、朝起きたときに腰が痛いという症状もあれば、横になっただけで痛みを感じる症状もあります。
症状の出方によって、ある程度の原因が推察される事もあります。考えられる原因をいくつか見ていきましょう。
布団や枕が体に合っていない
朝起きたときに腰が痛いという場合、布団や枕が体に合っていない可能性があります。
寝ている間は無意識に体勢を維持しようと筋肉が収縮しています。しかしその状態が長引くと筋肉がこわばり、朝起きたときに痛みを感じてしまいます。
しばらく動いていると筋肉もほぐれ、痛みがなくなることもありますが、また同じ布団で寝ると症状が再発します。マットレスや枕など、体を適切な体勢で支えてくれる寝具を見つけることが大切です。
腰椎椎間板ヘルニア
人の背骨(脊椎)は、骨と骨の間に椎間板というクッションがあります。このクッションが潰されて飛び出すことで周りの組織を圧迫し、腰に痛みが生じるのが腰椎椎間板ヘルニアです。
また、神経が圧迫されることで足のしびれや麻痺を発症する場合もあります。重いものを持つなど、腰をよく使う仕事の場合に発症することが多いです。重度の場合はしびれや麻痺が治らなくなってしまいますから、早めに治療を開始する必要があります。
腰椎すべり症
こちらは脊椎の骨と骨の位置がずれることで、椎間板ヘルニアと同様の症状が生じます。やはり、腰痛に加えて神経症状を呈することがあります。
内臓疾患
腰の痛みは脊椎や筋肉による痛みだけではありません。内臓の病気でも腰痛は発生します。
よくあるのは、お酒をよく飲む人に起こりやすい慢性膵炎です。常に腰痛を感じる場合もありますが、仰向けに寝たときに腰痛が強くなるという症状を訴える方がいます。
仰向けの場合に限らなければ尿管結石や腎盂腎炎、子宮内膜症などでも腰痛は起こります。突然おこる腰痛や、異常に痛みの強い腰痛が生じたらすぐに医療機関を受診しましょう。
腰痛の検査と診断

腰痛の診断は、まずは病歴の検討から始まります。
症状がどのようなときに起こるのか、あるいはずっと持続するのか。もっと悪くなるのか。しびれなどの他の症状がないか。こうしたことを聴取します。
慢性の腰痛の場合、内臓の病気が疑わしい場合は血液検査などをした上で、レントゲンやCTなどの画像検査を行っていきます。
椎間板ヘルニアを疑う場合は、レントゲンやCTでははっきり診断がつかないのでMRIも行います。しかし、実は腰痛の場合、診断がつくのは2割程度で、それ以外ははっきり診断がつかない腰痛と言われているのです。
筋肉のこわばりなどが原因の腰痛の場合は、種々の検査で見つけることができませんから、診断がつかない腰痛という事になります。
腰痛の痛みを改善する治療法
腰痛の治療は原因によって変わってきます。寝ると痛くなるタイプの腰痛で、寝具が原因と考えられるときは寝具の検討が必要でしょう。
椎間板ヘルニアと診断がつき重度な神経症状を伴う場合は、原因となる椎間板ヘルニアの摘出手術が検討されます。
内臓疾患であればそれぞれに対する治療が行われます。しかし、多くの場合は原因が分かりませんし、椎間板ヘルニアや腰椎すべり症と診断がついた場合でも軽症の場合は手術の適応とならず、鎮痛薬で経過を見ることが多くなるのです。
痛みを専門に診療するペインクリニックや、一部の整形外科では神経ブロックやトリガーポイント注射という方法で痛みを抑える治療も行います。ただし、専門にできる医師は少ないため、こうした治療を希望される場合は、対応できる医療機関を事前に調べておく必要があります。
腰痛で痛み止めを使用するときの注意点

筋肉や骨に由来する痛みは、抗炎症薬でよく抑えられます。市販の薬剤としてはロキソニンが代表となります。
いわゆる「痛み止め」として発売されている他の薬剤にも抗炎症薬が配合されていることが多いため、腰痛に対しては効果があります。
しかし抗炎症薬は胃の粘膜を傷害したり、腎機能を低下させたりするなどの副作用が多く、飲み続けることはあまりよくありません。
また、妊娠中の方も使用はできません。市販の鎮痛薬の中にはアセトアミノフェンという別の機序の痛み止めが入っている場合がありますが、こちらは筋肉や骨に由来する痛みには効きづらいという欠点があります。
腰痛改善に役立つ漢方薬

腰痛の原因がはっきりした場合は手術などの治療が行える場合もありますが、腰痛は原因が分からないものがかなりあります。
そのため多くの場合、鎮痛薬を適宜使用して経過を見るしかありませんが、副作用も気になるところです。
そのような場合には、自然由来の治療薬である漢方薬を使用して症状を根本から改善するという方法もあります。漢方薬は比較的副作用が少ないと言われています。
漢方医学で腰痛は、血液やストレスによる気の乱れによって、からだ全体に栄養が行き渡らなくなるために起こると考えられています。
腰の神経周辺の血液循環を改善させ、冷えを解消することで根本からの改善にアプローチします。
適切に使えば他の薬との併用も可能ですし、非常に有用な選択肢といえるでしょう。
腰痛に用いられる漢方薬をいくつか見ていきましょう。
芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)
芍薬甘草湯は急に起こった腰痛に使われます。足が吊った!というようなこむら返りの際にも使われ、非常に良く効く漢方薬として知られています。筋肉の収縮を和らげ、痛みを和らげます。症状が起こったらすぐ飲むのが効果的です。
五苓散(ゴレイサン)
五苓散は水のうっ滞を改善する漢方薬です。椎間板ヘルニアなどによる神経のしびれは神経の浮腫も原因である事があり、五苓散を内服することで浮腫が改善され、しびれの改善を期待することができます。神経痛に対しては桂枝加朮附湯(ケイシカジュツブトウ)なども使われます。
疎経活血湯(ソケイカッケツトウ)
疎経活血湯は慢性的な痛みに対して使用される漢方薬です。冷えにより痛みが増悪する腰痛や関節痛などにも使用されます。慢性痛の場合は血流が悪くなっていることが多いので、血流を改善する桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)を併用することも多いです。
血流を改善する漢方薬も有効

腰痛は血流が悪い事が原因となっていることが多い為、血流を改善する多くの漢方薬に効果が期待できます。補中益気湯(ホチュウエッキトウ)や、風邪のときなどに使用する葛根湯(カッコントウ)なども効果が認められることがあります。
腰痛は非常に良くある症状ですが、中には危険な腰痛もありますから、何かおかしいと思った場合は病院を受診しましょう。慢性的な腰痛の場合、痛み止めを長く飲み続けると副作用が出ることがあるので、医師に相談し、漢方薬を選択肢に入れるのもよいでしょう。
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