高血圧の原因と改善方法…自分で血圧を下げるには?
日本では、約4300万人の高血圧症患者がいるといわれています。そのままにしていると心臓病や脳卒中などの重大な病気に結びつく可能性があるので、注意が必要です。
ここでは高血圧の種類やタイプについて確認し、改善方法について解説していきます。
目次
高血圧の種類
高血圧は、原因がはっきりしない本態性高血圧と、原因が特定できる二次性高血圧に分けられます。
本態性高血圧
日本の高血圧の85~90%は、原因のはっきりしない本態性高血圧といわれています。もともと高血圧になりやすい体質や、塩分の摂り過ぎ、肥満、過度の飲酒、運動不足、ストレス、喫煙などが原因で発症すると考えられます。
二次性高血圧
一方、高血圧の10~15%は、何らかの原因がある二次性高血圧といわれています。これは、ホルモン分泌異常、腎臓疾患、薬剤の副作用などが原因で起こると考えられます。
二次性高血圧は、通常の降圧治療では効果がないこともありますが、原因を取り除けば血圧は下がります。
高血圧症のタイプ
血圧は、測定場所によって診察室血圧と診察外血圧に分けられます。診察室血圧とは病院の診察室で測定した血圧のことです。一方、家庭用の血圧計などで測定した血圧を診察外血圧と呼びます。
血圧はストレスや身体活動などさまざまな要因で変動するため、診察室血圧と診察室外血圧は必ずしも一致するわけではありません。いずれもそのときの正しい測定値ですが、診察室では緊張して高くなる人が少なからずいます。そのため、診察室血圧と診察外血圧の測定結果に誤差が生じた場合、診察外血圧が優先されます。
検診や診察室における血圧値では140/90mmHg、家庭血圧では135/85mmHgを超えた場合に高血圧と判断されます。
診察室血圧と診察室外血圧、それぞれの診断結果によって、高血圧は「持続性高血圧」、「白衣高血圧」、「仮面高血圧」の3つに分類されます。
持続性高血圧
診察室でも家庭でも血圧値の基準を上回る場合、常に血圧が高い持続性高血圧に分類されます。一般的にいわれている高血圧とは、この持続性高血圧を指します。動脈に高い圧力がかかり続けるため、血管に負担がかかって、心筋梗塞や脳卒中を起こすリスクが高まります。
白衣高血圧
病院では緊張しやすいので、病院で血圧を測ったら家庭で測ったときよりも高いということがあります。医師や看護師などの白衣を着た医療関係者がいる病院やクリニックでのみ高血圧になることを、白衣高血圧といいます。
しかし、正常というわけでもなく、一部は持続性高血圧に移行することもあるので、家庭でもしっかり血圧を測定しておくことが重要です。
仮面高血圧
白衣高血圧とは逆に、診察室での血圧は正常なのに、診察室外血圧が基準値を超える状態を仮面高血圧といいます。医療機関では仮面をかぶり、本当の顔を見せない、という意味のネーミングです。
仮面高血圧には、起床時の血圧が高い「早朝高血圧」、夜間に寝ている間の血圧が高い「夜間高血圧」、昼間に高くなる「ストレス性高血圧(または職場高血圧)」があります。
いずれにしても脳・心血管疾患リスクは、正常血圧よりも2~3倍高く、持続性高血圧患者と同程度か、それ以上になることがあるので注意が必要です。
夜間高血圧
本来であれば、夜間の睡眠中は血圧が下がります。しかし、睡眠中の血圧が基準値を超える高い状態になることを夜間高血圧と言います。
日中の血圧は正常なので気付きにくいですが、寝ている間に動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞などを起こす危険性があります。
夜間高血圧を引き起こす原因としては、心不全や腎不全、自律神経の障害、睡眠時無呼吸症候群、不眠などが考えられます。
早朝高血圧
早朝高血圧では、他の時間帯は正常なのに起床前後に血圧が基準値よりも高くなります。心筋梗塞や脳梗塞などは、起床後1時間以内に最も起こしやすく、wake up strokeともいわれます。
起床時に血圧が上昇すること自体は、日中活動するための準備なので自然ですが、基準値を超えて急上昇するときは病院を受診しましょう。
原因としては、動脈硬化、大量の飲酒、睡眠時無呼吸症候群、不眠などが考えられます。
ストレス性高血圧
ストレス性高血圧は仕事や介護・育児などでストレスを受け、高い血圧が続く状態です。この状態が続くと、持続性高血圧に移行する危険性があります。
ストレスには精神的なものだけでなく、肉体的なものもあります。肉体労働をすると交感神経の働きが活発になり、血圧が上昇します。
高血圧の原因
高血圧症の原因には、遺伝的なものと、生活習慣などの環境的なものがあります。
遺伝的要因
高血圧症には遺伝的な側面があります。両親ともに高血圧症の場合にその子どもは約50%が高血圧症に、両親のどちらかが高血圧症の場合にその子どもは約30%が高血圧症になるといわれています。食習慣などの生活習慣が似てくるのが一因となっている可能性も考えられます。
過剰な塩分摂取
ここからは環境的要因について見ていきます。過剰な塩分摂取は高血圧の原因になります。体は体内の塩分濃度を一定に保とうとします。そのため、塩分を取り過ぎると、濃度を薄めようと体内に水分が増え、血液量が増加します。その結果、血圧が上昇します。
カリウムを多く含む野菜や果物の摂取不足
体内の余分なナトリウムは腎臓から排出されますが、その際、カリウムが不足していると、ナトリウムは充分に排出されません。その結果、血液中の塩分濃度が増し、それにつれて血液量が増えて、血圧が上昇します。
肥満
脂肪細胞から、血圧を上げたり動脈硬化を促進させたりする物質が分泌されます。また、インスリンの働きが悪くなってそうした物質の血中濃度が上がり、交感神経を刺激して血管を収縮させます。
特に内臓脂肪型肥満(メタボリックシンドローム)は要注意です。血液の量は体重に比例するので、肥満は血液量を増やし、心臓にも負担をかけます。
過剰飲酒
習慣的な大量飲酒は、血圧を上昇させます。中性脂肪を増やし、動脈硬化も促進させます。飲酒はほどほどにしておきましょう。
精神的ストレス
精神的なストレスがかかると、交感神経の働きが活発になり、心臓の収縮を強め、心拍数も増えて、血液量が増えます。また、血管も収縮させます。
運動不足
運動不足は血行を悪くし、血圧を上げます。日常的に座ったまま過ごす時間が長い人は、高血圧症になる危険性を抱えているといえます。
喫煙
タバコの成分のニコチンが交感神経を刺激し、血圧を上げるホルモンを分泌させて、血管を収縮させます。血液中の活性酸素(働きを特に強めた酸素)が増え、動脈硬化を促進します。
自分で血圧を下げるには?
ここからは血圧を下げるためにできることを紹介します。
食事
塩分は1日6グラム未満を目標にしましょう。ちなみにカップラーメンには5~6グラムの塩分が含まれており、1杯食べるだけで1日の塩分量を摂取してしまいます。
また、野菜や果物は積極的にとりましょう。ただし、糖尿病や肥満の人は糖分の多い果物はかえって害となるのでほどほどにしましょう。
運動
軽い運動は血行をよくし、肥満防止にもつながります。無酸素運動(息を止めて行う運動)ではなく、散歩やジョギングなどの軽い有酸素運動(十分に酸素を取り込みながら行う運動)をしましょう。目安は1日30分程度です。
飲酒・喫煙
飲酒は、男性では1日に日本酒なら1合、ビール中瓶なら1本、ウイスキーの水割りならシングル2杯、女性ではその半分程度が適量となります。喫煙は百害あって一利なしですので禁煙に努めましょう。
ストレス対策
几帳面な人ほどストレスを受けやすく、高血圧傾向です。うまく発散できる方法を見つけていきましょう。規則正しい生活は過労やストレスを防ぐのに役立ちます。十分な睡眠をとって心にゆとりを持ちましょう。
いかがでしたでしょうか。高血圧について詳しく述べてきました。自身もしくは家族の生活を見直してみて改善できるところがあれば、取り組んでいきましょう。