背中の左側に違和感が…考えられる原因と内臓の病気
日常生活において背中の左側に痛みや違和感が生じる原因には、自律神経失調症や寝違え、あるいは急性膵炎、胃潰瘍、心筋梗塞や気胸などの病気が隠れている可能性があります。
ここでは背中の違和感の原因について詳しく見ていきましょう。
自律神経の乱れによる背中の違和感
背中の左側に違和感を覚えた際には、自律神経が乱れることに伴って発症する自律神経失調症が隠れている可能性があります。
自律神経失調症とは、交感神経と副交感神経からなる自律神経のバランスが崩れることでさまざまな症状を引き起こす病気の総称であり、ストレスや不安などからくる軽症のうつ病や、いわゆる不安神経症や気分障害などの症状が一部含まれると考えられています。
身体的な症状としては背中が痛む、背部に違和感を覚える、倦怠感がある、眠れないなどの全身症状、あるいは頭痛、動悸、息切れなどの部分的な症状があります。
また、精神的な症状としては情緒不安定、いらいら、不安感などがあります。
これらの多種多様な症状があるにもかかわらず、体に医学的な器質的異常所見がなく、明らかな精神疾患も認められない場合に、自律神経失調症と診断されることがあります。
自律神経失調症は誰にでも発症する可能性があり、不規則な生活やストレス、ホルモンの乱れなどが発症要因になることから、不規則な生活を送っている人やストレスを感じやすい人、更年期でホルモンバランスが乱れやすい人などに起こりやすいと考えられます。
骨や筋肉のトラブルによる背中の違和感
日々の生活の中で起床後などにこれまで感じていなかった背中の違和感や痛みを自覚した場合には、骨や筋肉のトラブルである寝違えかもしれません。
寝違えとは、睡眠中に首や肩に過度の負担がかかる体勢を取ってしまうことで、睡眠から醒めたときに、首から肩、背中などにかけて痛みを生じるものであり、日常的にありふれた症状です。
寝違えに伴う症状は数時間で改善する軽度の痛みだけが出現することもあれば、数日にわたって首が動かせなくなる、背中が痛むなどの症状を認めるケースもあります。
すぐに寝違えの症状を改善させることは難しいですが、応急処置としてまずは患部を冷却する、そして安静を保持して患部を無理に動作させないことが重要となります。
症状が継続または悪化するようなら整形外科など医療機関を受診するようにしましょう。
内臓の病気による背中の違和感
次に挙げるような内臓の病気が背中の違和感の原因になっていることがあります。
膵臓の病気
背中の違和感を出現させる膵臓の病気のひとつとして、急性膵炎が考えられます。
急性膵炎は、膵臓が分泌する膵液内に含まれている消化酵素によって膵臓そのものや周囲組織が消化されることで、関連器官に急激に大火事のような炎症が惹起される疾患です。
本疾患を発症する原因として最も多く認められるのは過度な飲酒に伴うアルコール性のものであり、その次には胆石が胆道を閉塞させることによって発症する胆石性などが挙げられます。
急性膵炎に罹患した際には、一般的に絶飲食を余儀なくされ、入院して点滴投与を継続しながら、消炎鎮痛剤や抗生物質などを利用する基本的治療を実践することになります。
急性膵炎を放置すれば炎症が腹腔内に波及して腹膜炎などを合併する危険性も考慮されますので、症状を自覚した際には最寄りの消化器内科、あるいは救急病院など医療機関を受診しましょう。
胃の病気
背中の違和感を出現させる胃の病気のひとつとして、胃潰瘍が考えられます。
胃潰瘍は、主にピロリ菌による感染、もしくは解熱鎮痛薬のひとつである非ステロイド系抗炎症薬の長期間の内服などによって胃の粘膜がただれる状態を意味します。
ピロリ菌感染や薬剤性以外にも、胃潰瘍では喫煙や飲酒、過剰なストレス、刺激物の摂取などによって引き起こされる胃壁の粘膜障害も認められます。
胃潰瘍は現代社会の代表的な病気のひとつであり、胃液中に含まれる胃酸成分やペプシンと呼ばれる物質が胃を保護している粘膜を消化してしまうことによって発症すると考えられています。
心臓の病気
背中の違和感を出現させる心臓の病気のひとつとして、急性心筋梗塞が考えられます。
心臓の筋肉を養う役割を持っている血管は、大動脈が心臓の左心室の部屋から出たところでちょうど枝分かれしている左右の冠動脈です。
心筋梗塞は脂質異常症のみならず、高血圧などが誘因となって形成される冠動脈の硬化性変化に伴って冠状動脈の血行障害をきたすことによっても発症します。
心筋梗塞は、急に胸に激痛が起こり、胸に締めつけられるような圧迫感を覚える危険な心臓の病気であり、発症した際には早急に治療を施さないと死を招きやすいことで知られています。
肺の病気
背中の違和感を出現させる肺の病気のひとつとして、気胸が考えられます。
気胸が発症する原因としては、ブラ(のう胞)の破裂や外傷など何らかの理由が契機となって臓側胸膜という身体の生体部位が損傷され、肺実質内部の空気成分が肺の外部の空間である胸腔内に漏出することと考えられています。
気胸に対する治療は、その重症度に基づいて判断されますが、もし軽症であれば特別な治療は必要とせずに安静を保持して経過観察することによって自然と状態が改善することが多いです。
重症度が高い場合には、胸腔ドレナージ処置を余儀なく施行されるケースが多く、腋窩ラインに沿って胸腔ドレーンという管を挿入して胸腔内に存在する余分な空気成分を体外排出する目的で実施されます。
特に、緊張性気胸という状態を認める場合には、一刻の猶予も許されず、緊急的に胸腔ドレナージ処置を実施する必要性が高いと考えられています。
気胸という病気は再発する危険性も指摘されているので、突然の胸部痛や背部痛に伴って呼吸苦を呈するといった症状の出現様式や発症時における迅速な対応方法などを知っておくことが望ましいです。
気胸は、タバコの喫煙習慣を背景として発症するリスクが上昇すると言われていますので、常日頃から禁煙を実践することが予防する上で重要となります。
本疾患は放置すれば命に係わる病気であり、比較的緊急性が高い疾患ですので、症状を自覚した際にはなるべく迅速に救急車を呼ぶなどして呼吸器センターを有する専門医療機関を受診するようにしましょう。
まとめ
これまで背中の左側に違和感が出現した場合に考えられる原因と内臓の病気などを中心に解説してきました。
背中の左側の違和感や痛みなどの症状が改善しない場合には、同時に意識消失する、あるいはショック状態に陥るなども懸念されます。
急性心筋梗塞など生命に直結する危険なキラーディジーズが潜在している可能性を除外することも重要な判断となります。まずは総合的見地から評価してもらえるように内科などを受診することをお勧めします。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。