左目が痙攣するのはなぜ?目がピクピクする原因を解説

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まぶたがピクピク勝手に動くという経験はありませんか?ピクピクと勝手に動くのはなぜでしょうか?何かの病気なのでしょうか?ここでは目がピクピクする原因について詳しく見ていきましょう。

目の周りが痙攣(けいれん)するのはなぜ?

目の周りが痙攣するのは、眼輪筋という筋肉が攣縮することによって起こるとされています。まぶたの痙攣には3つのタイプがあります。

1つ目は、突然まぶたの一部がぴくぴくと痙攣しますが、目は普通に開けることができ、数分間で治まるのを何度か繰り返し、数週間以内に改善するタイプです。

テレビ・インターネット・ゲーム・読書など目を長時間酷使することやドライアイ・睡眠不足などが原因と考えられています。また、コーヒーやアルコール摂取が誘因となる場合もあります。

特に疲労時によく起こりますが、たいていは1〜2週間ほどで治りますので十分な睡眠・休養をとり、心と体をリラックスするように心がけましょう。もし、まぶたの痙攣がずっと持続する場合は、他の病気の可能性がありますので医療機関を受診しましょう。

2つ目は、両方のまぶたが痙攣するタイプで眼瞼痙攣(がんけんけいれん)といいます。常に目がショボショボし、瞬きが多く、室内でもまぶしくサングラスを使用しないと生活できない場合もあります。徐々に症状が進行し、自分で目を開けようと思っても開けにくく、時には指でまぶたをもちあげるようになります。

また、視界がせまくなるだけではなく、他人と関わることがストレスになることもあります。異常なシワが出て美容上も気になります。軽い瞬きをしようとしても強い瞬きしかできない、早い瞬きができない、強い瞬きをすると目を開けるときに痙攣するといった場合は眼瞼痙攣の可能性があります。

三つ目は、片方の口や頬の周りも痙攣するタイプです。このタイプは片側顔面痙攣といい、顔面神経の走行経路の途中で血管や腫瘍などに圧迫されて発症します。

目がピクピクする原因

目がピクピクする原因としては次のものが考えられます。

眼精疲労

眼精疲労というのは、一般にいう疲れ目が病的な状態になったものです。長時間の仕事や勉強で目を酷使すると、気づかぬうちに目に大きな負担がかかっています。目が痒かったり充血したり、視界がぼやけたり二重に見えたりするのは、目が疲れている証拠です。十分に休んでも目の違和感がとれない場合、眼精疲労の可能性があります。

眼精疲労は疲れ目と異なり、悪化すると首・肩の凝りや頭痛・吐き気・倦怠感など全身に症状が現れます。原因は目の酷使だけでなく、ドライアイや白内障などの病気、ストレス・生活環境、近視・乱視・老眼に伴う眼鏡やコンタクトレンズの不適合などさまざまです。

眼精疲労が疑われる場合は、眼輪筋をリラックスさせ、目の疲労を軽減するための点眼薬や内服薬を用いて治療する必要があります。

眼瞼ミオキミア

眼瞼ミオキミアは、眼輪筋という筋肉の攣縮が不随意に起こる状態で、通常片眼性であり、肉体的精神的ストレスが原因となります。

疲労の他、目の表面を刺激するような状態(結膜炎、ドライアイ、逆さまつげなど)があっても起こりやすくなります。有効な治療法はなく、ストレスを緩和するために、適度に目を休める、十分な睡眠時間を確保する、カフェインを控えるといった対策をとりましょう。

眼瞼痙攣

目のまわりの筋肉が過剰に動き、まばたきがうまくできなくなる病気です。症状は通常、両目に起こることが多いと言われています。初めは目に違和感を覚え、その後まばたきの増加やまぶたの痙攣などの症状がみられるようになります。

放置すると次第に進行し、最終的には自分の意志で目を開けていられなくなります。症状の進行は早くありませんが、放っておいても治りません。眼瞼痙攣は40代以降の女性に多いため、更年期に見られる症状のひとつであると思い込み、放置してしまう人もいるようです。

しかし、更年期と眼瞼痙攣は基本的に関係がありませんので、気にある症状がみられたら眼科を受診しましょう。重症の場合はボツリヌス注射で治療することもあります。

片側顔面痙攣

片側顔面痙攣は、自分の意志と関係なく顔面の筋肉が痙攣する病気です。多くの場合、顔の片側だけに痙攣が起こります。顔面にある筋肉の運動を司る顔面神経の付け根が、血管や腫瘍などで圧迫されることで起こると考えられています。

中年の女性に多くみられ、通常片方の目の周囲から痙攣が始まり、その範囲が次第に頬や口元へと広がっていきます。症状が軽い場合は、基本的に治療を行わず経過観察となりますが、気になる方は病院で相談してみるとよいでしょう。

頭部MRIで精査を行い、血管や腫瘍が顔面神経を圧迫していないかを確認します。症状が強い場合には、ボツリヌス注射で筋肉の痙攣を止める治療や、顔面神経を圧迫している血管をずらす手術を行うことがあります。

チック

本人の意志と無関係に急に体の一部が繰り返し動いてしまう病気です。まばたきや咳払い、首振りや奇声などがあります。また、チックが起こる前には、その動作をしたいという強い衝動が生じます。この衝動は、くしゃみをするときや、かゆいところをかきたくなるときの衝動に似ており、チックを起こすと、その衝動は一時的に落ち着きます。

小児や青年期に発症することが多く、片側顔面痙攣に似た症状が出ますが、これらの症状は基本的に自分の意志でコントロールできるため、多くの場合自然に消失していきます。

チックの発症には脳機能の偏りや障害が深く関わっていると考えられており、チックを引き起こす緊張状態や不安を軽減することで症状が和らぐ場合があります。しかし、大人になっても症状が持続したり、再発する場合もあります。

いかがでしたでしょうか。目がピクピクする原因はさまざまあります。長時間パソコンやスマホを利用している場合には、目を休めることで改善することが多いです。ピクピクする動きが止まらない場合や、長い期間続く場合には、一度医療機関を受診することをおすすめします。

白水寛理

九州大学病院 脳神経外科 医師   九州大学大学院医学研究院脳神経外科にて脳神経学を研究、高血圧・頭痛・脳卒中など脳に関する疾患に精通。臨床の場でも高血圧、頭痛、脳卒中など脳に関する治療にあたる。 日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会、日本小児神経学会、日本てんかん外科学会、日本脳神経血管内治療学会に所属。

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