明るい人が適応障害のことも?当てはまる症状となりやすい人

アイキャッチ 青空に掲げられた泣き顔の旗
お悩み

明るい人は精神疾患と無関係のように見えるかもしれません。「あの人は明るいから大丈夫」。そう思っている人も多いと思います。しかし、明るい人でも適応障害になることがあります。ここでは明るい人でもなりうる適応障害について詳しく見ていきましょう。

明るく振る舞う人が適応障害であるケース

顔を覆い、悩む女性

一見元気そうに見えるけれど、適応障害であるということはあります。人は、内面に抱えている生きづらさを表面には見せずに、強く振る舞うことがあります。

心が弱っているときには、気を抜いた瞬間に崩れ落ちそうな感覚を抱くこともあります。このような人は、自分自身を守るために鎧を纏っているような感覚を持っています。この鎧が内面の自分を守り抜いてくれ、生活を維持することができます。

しかし、周りからはこのしんどさが伝わらないため、元気そうに見えてしまいます。このように適応障害の人々が、元気に見えたり、明るく振る舞ったりするのは、強く振る舞っていないと、体ごと崩れてしまいそうな不安があるからです。強くないからこそ強く保たないと自分自身が成り立たないと感じているため、自分自身を守るために前向きな姿勢を保っているのです。

適応障害の主な症状

不眠に悩む女性

適応障害は、環境や変化に適応できず、ストレスが本人の耐性を超えたときに心身の不調が現れます。ストレスの臓器選択性というメカニズムが働き、下記のようなさまざまな身体の症状が現れます。

不眠

不眠は、もっとも頻度の高い症状となります。不眠の種類として、寝つきが悪い入眠障害や、途中で目が覚めてしまう中途覚醒、早く目が覚めてしまう早朝覚醒などに分けられます。

喉の異物感

喉に何かあるような感じがして、ものが飲み込みにくいなどの症状が出ることがあります。しかし、実際にものが飲み込めなくなったり、食べ物が引っかかったりすることはありません。この不快感は持続的で、喉になにかできたのではないかという心配から耳鼻咽喉科を受診する方も多くいるほどです。しかし、診察では特に異常はみられません。

胸の圧迫感

鎖骨の付け根からみぞおちにかけて、何かがつまったような、圧迫されたような感じになることもあります。

息苦しい

胸の圧迫感と同時に起こることもしばしばあります。息をいくら吸っても酸素が足りないように感じたり、なかには意識しないと呼吸ができないという不安をもっている方もいます。悪化すると過換気症候群に移行することもあります。

手足や口の周りのしびれ

発作的に息が苦しくなり、呼吸が速くなる過換気症候群でも起こる症状です。過換気症候群でない状態であっても、ストレスにさらされることでこの症状が出ることがあります。適応障害で起こる手足や口の周りのしびれは軽度であり、日常生活に支障が出ることは少ないです。

動悸

動悸や息苦しさに悩む女性

心臓がドキドキする症状であり、時には心臓が止まってしまうのではないかという恐怖感が伴うほどの動悸がして、パニック障害に移行することもあります。急性の強いストレスにさらされ、不安や怒りの感情が強いときに現れやすいです。

吐き気

何らかのストレスを感じたときに吐き気を生じることがあります。

意外に頻度が高く、気づかれにくい傾向があり、はじめのうちは一般内科や呼吸器科を受診することもあります。風邪にしてはおかしいということで心療内科を受診して診断がつくということもあります。

難聴

急性の強いストレスにさらされたときに生じることがあります。一時的に両耳に起こりますが、難聴への直接的な治療は行わず、原因となっているストレスの処理を行うことで対処します。

適応障害になりやすい人の特徴

真面目そうな女性

適応障害はそのストレスの原因となる事象が明確であることが特徴です。外因的ストレスとなりうる事象はどこにでも存在します。外因的ストレスがその人にとってストレスとなり得るのは、人間関係や環境という自分だけでは解決できにくい何かがあるからです。

・真面目で責任感が強い
・几帳面で物事を徹底的にやらないと気が済まない
・他人の目や評価が気になる
・人から頼まれると断れない
・心配性で傷つきやすい
・気持ちの切り替えが苦手
・人に頼るのが苦手で何でも自分で解決しようとする
・繊細で変化に敏感
・完璧主義で物事を白黒はっきりさせたい
・自分より他人を優先してしまう
・空気を読むのが苦手

これらの性格が当てはまったら必ず適応障害になるというわけではありませんが、なりやすい要因のひとつとなります。

いかがでしたでしょうか。明るいから適応障害にならないというわけではありません。自分の弱さを見せないために明るく振る舞っている人もいます。そんな人が外因的ストレスにさらされたときに適応障害を発症してしまいます。発症の原因となる出来事やどんな環境に適応できなかったのかをしっかりと見極めることが大切です。周りの協力も得ながらストレスを減らす環境の調整をしていきましょう。

白水寛理

九州大学病院 脳神経外科 医師   九州大学大学院医学研究院脳神経外科にて脳神経学を研究、高血圧・頭痛・脳卒中など脳に関する疾患に精通。臨床の場でも高血圧、頭痛、脳卒中など脳に関する治療にあたる。 日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会、日本小児神経学会、日本てんかん外科学会、日本脳神経血管内治療学会に所属。

プロフィール

関連記事