ストレスで声が出ない原因は?心因性失声症などの病気を解説

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声が急に出なくなったことはありませんか? 声帯やその周りに異常があると声が出なくなることがあります。一方で、異常がなくてもストレスで声が出なくなることもあります。ここでは声が出なくなるさまざまな原因について詳しく見ていきましょう。

ストレスで声が出なくなる病気

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ストレスで声が出なくなる病気としては次のものが挙げられます。

心因性失声症

ストレスや心的外傷等による心因性の原因から、発声器官や脳に異常がないのに声を発することができなくなった状態のことを心因性失声症といいます。

声が出ない、話せない状態だけではなく、声が出てもかすれたり、しわがれ声になってしまうなどの状態もみられます。30歳以上の女性に多いですが、男性にもみられます。

突然声が出なくなるため、周囲が驚くことも多いです。声は出なくても、呼吸は問題なくでき、食事や嚥下も普通にできます。しばらくすると、自然と元通りになることも少なくないですが、声が出るようになるまで長くかかってしまうケースもあります。

心因性失声症は、精神的なショックを受けたり、ストレス過多な生活が続いていたりすることで起こります。ときには過呼吸を引き起こすこともあります。

まずは、耳鼻咽喉科を受診して、声帯や口腔内の検査で異常がないことを確認します。特に問題がない場合は、精神科や心療内科でカウンセリングや心理テストなどで音声障害を引き起こしている原因を調べていきます。

痙攣性発声障害

声帯の筋肉で持続的に過緊張がある場合、声がかすれ、つまったり、途切れたりすることもあります。これを痙攣性発声障害といいます。重症になるとうまく会話が成立しなくなってしまいます。治療はボトックスという神経を麻痺させる注射で声帯の緊張を和らげる方法があります。また、声帯の過緊張をとる方法もあります。

社交不安症

雑談はできるのに、人前で話すときだけ強いストレスがかかって声が震えて話せなかったり、オフィスのような静かな場所で電話などで話すときに声が出なくなったりするなど、特定の場面でうまく声が出せなくなる場合があります。これを社交不安症と言います。

社交不安症では、人に注目される状況を過剰に恐れて不安になって、うまく声を出せなくなってしまいます。

声が出ない・声が出にくい原因になるその他の病気

喉の不調を訴える女性

声帯や声帯の周辺に何らかの異常があり、声が出なかったり、出にくくなったりすることがあります。

声帯ポリープ、声帯結節

喉に負担をかけすぎたときに起こる内出血によってできた良性の腫瘤を声帯ポリープと言います。喉の使いすぎや喫煙が主な原因となります。初期のものであれば、声を出すことを控えていると自然治癒することもあります。

ひどい炎症を起こしている場合には、炎症を抑える薬を服用したり、ステロイド薬の吸入を行います。それでも効果が不十分な場合には、手術でポリープ切除することもあります。

声帯結節も、声帯ポリープと同様で声帯にできる良性腫瘤です。これは内出血ではなく、摩擦によって固くなった状態です。喉を長時間酷使することで発生します。声を出すことを控えて声帯を安静にすることで自然治癒します。結節が大きくなってしまった場合には手術が必要となります。

声帯麻痺

声帯を動かす筋肉をコントロールする神経を反回神経と言います。この神経が麻痺することを声帯麻痺といいます。声帯は2つ並んでいますが、片方だけ動かなくなることと、両方とも動かなくなることがあります。両方動かなくなると呼吸困難に陥る場合もあります。

片方の場合には、発声練習や声帯へのコラーゲン注入などである程度の回復が期待できます。両側の場合には、甲状軟骨形成術や声帯後方の軟骨の角度を調整する披裂軟骨内転術などの外科手術で回復を目指します。

声帯萎縮

声が出にくい高齢女性

主に加齢を原因として、声帯が痩せて弱っていくことで生じるものです。この場合は、ボイストレーニングで声帯を正しく、強く使えることにすることで症状の改善が期待できます。

急性喉頭炎

後頭の粘膜に炎症が起こることを喉頭炎と言い、なかでも風邪などのウイルスや細菌に感染したことで起こる炎症を急性喉頭炎と言います。風邪のほかにもカラオケや応援などでの声の出し過ぎ、アレルギー反応、喫煙、飲酒などでも起こります。

大声を出すこと、喫煙、飲酒、香辛料の摂取などはできるだけ控え、部屋の湿度を調整しましょう。水分補給も大切になってきます。治療としては解熱鎮痛薬や粘膜の炎症を抑える薬の服用をしたりします。

喉頭がん

60歳以上の男性に多いがんです。主な原因としては喫煙やアルコールの長期的・継続的な刺激となります。早期に発見された場合には、放射線治療で発生機能を温存した治療を行います。進行がある場合には、喉頭全摘術が必要となります。この場合は声帯も一緒に摘出するため、声が失われてしまいます。

いかがでしたでしょうか。声が急に出なくなると不安に感じますよね。はっきりとした原因が思いつかない場合や、症状が続く場合は、一度医療機関を受診して相談してみましょう。

白水寛理

九州大学病院 脳神経外科 医師   九州大学大学院医学研究院脳神経外科にて脳神経学を研究、高血圧・頭痛・脳卒中など脳に関する疾患に精通。臨床の場でも高血圧、頭痛、脳卒中など脳に関する治療にあたる。 日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会、日本小児神経学会、日本てんかん外科学会、日本脳神経血管内治療学会に所属。

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