ストレスで女性の手が震えるのはなぜ?震えの原因になる病気

女性の方で手が震えて困っている方はいらっしゃらないでしょうか。手が震える原因としてはストレスや低血糖などが考えられます。ここではどのような原因で手が震えてくるのか詳しく解説します。
目次
ストレスで女性の手が震える場合

手が震える原因でよくあるのが、ストレスによって手が震えてくる場合です。なぜストレスがあると手が震えてくるのでしょうか。
ストレスと自律神経
ストレスによって体に様々な反応が起こってくるのがストレス反応です。ストレス反応には心的外傷後ストレス障害や、適用障害など、心理的な様々な病気があります。これらの病気は体に対する反応として頭痛や動悸、息切れ、めまいなどに加え、震えなどの症状を起こしてくることがあります。
病気を発症していなくてもストレスによって手が震えてくることもあり、自律神経失調症による震えの可能性があります。
体に外部からストレスや緊張が加わると自律神経の中でも交感神経が過剰に興奮します。交感神経は体を動かすためのスイッチを入れるような神経ですから、過剰に反応することによって筋肉が過剰に収縮してしまいます。
また収縮した筋肉は自動的に弛緩するようになっていますので、収縮と弛緩を繰り返すことによって、震えが出てくるのです。
また自律神経自体にもオンとオフがあります。自律神経には交感神経があると説明しましたが、交感神経だけではなく副交感神経という神経も自律神経には存在します。交感神経が体にスイッチを入れる働きをする神経である一方で、副交感神経は体のスイッチをオフにする機能を持っている神経と言えます。自律神経はこの2つの神経をバランスよく保つことで体の全体の調子を整えています。
ストレスが強くかかってくると自律神経の働きが不安定になります。体を休めようとしても交感神経が強く働いてしまって、興奮したままになったり、反対に体を活発に活動させようとしている時にスイッチがオフになったりといったことが起こってきます。
これによって自律神経がうまく活動することができなくなり、交感神経が強く働いてしまった結果、震えが出てきてしまうということがあるのです。
本態性振戦とは
特に病気がないのに手が震えてしまう場合、本態性振戦という手の震えかもしれません。主に40歳を超えた女性に多く起こってくるものです。
原因ははっきりしないとされていますが、時折ストレスによって起こってくるものもあります。特に年齢を重ねてくると、普段から少し震えているのが、ストレスがかかった時に非常に震えが強くなるという症状も見られるようになります。
低血糖で女性の手が震える場合
手が震えるという症状があった場合、病気として考えやすいのは低血糖です。
低血糖とは
体は糖分を栄養にして活動しています。そのため血液中の糖分は、少なくなりすぎないように様々なホルモンが血糖値を上げようと活動しています。何らかの原因でそのホルモンの働きが落ちていたり、長期間にわたって食事をしなかったりすると、血液中の糖分が十分高くなく、細胞が活動しにくくなってしまうのです。この状態のことを低血糖と言います。
また元々糖尿病がある人にも低血糖は起こりやすいです。血糖を下げるための薬の影響で血糖値が下がりすぎてしまい低血糖になってしまうのです。
低血糖の症状としては様々なものがありますが、まずは空腹感や体のだるさが出てきます。それを過ぎてくるとだんだんと冷や汗が出たり動悸を感じたり、震えが出てきたりしてきます。さらにひどくなってくると眠気が強い脱力、めまいなどが出てきて意識が落ちてしまうようなことにもなりかねません。
低血糖の場合、震えというのはひどくなってしまう前の段階にあたり、警告のようなものだとも言えます。
低血糖の症状としての手の震え
低血糖の時に手が震えてきますが、手の震えだけの症状であることは珍しいです。大抵の場合、動悸や体のだるさなどの症状が一緒に出てきます。空腹感もありますから、これらの症状に合わせて震えが出てきた場合には、低血糖の症状としての手の震えであると考えられます。
対処法は糖分を摂取することです。ブドウ糖をそのまま摂取するのでもいいですし、甘い飴をなめるのでもいいです。ジュースを飲むのでもいいです。とにかく糖分を摂取すれば症状は改善してくるでしょう。
症状が改善しない場合には他の原因が考えられます。動悸などを伴っている場合には重篤な病気の可能性も否定はできませんので病院を受診した方がいいでしょう。
手が震えるその他の原因

手が震える場合、他にはどのような原因があるのでしょうか。
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症は手が震える病気として知られています。甲状腺というのは、喉のところにあるホルモンを分泌する器官のことです。ここから分泌されるホルモンを甲状腺ホルモンと言います。
甲状腺ホルモンの働きは、簡単に言えば体のスイッチを入れるための働きになります。働きとしては先に述べた交感神経と同じようなものと考えていいでしょう。
ホルモンの分泌が多くなると心拍数が上昇し、呼吸回数も増え、筋肉が収縮します。筋肉が収縮すると弛緩しますから、それが繰り返されることによって、手の震えという症状が出てきます。
ただ先に述べたストレスと違って、甲状腺機能亢進症の場合には、特にストレスを感じていない時にも手の震えの症状が出てきます。また動悸など他の症状も出続けます。そのためこのような症状が安静時にも続くような場合には、甲状腺機能亢進症を疑って病院で検査を受ける必要があります。血液検査で簡単に検査できますから気になる方は受診してみるといいでしょう。
パーキンソン病
パーキンソン病は脳に異常が起きることによって、運動の機能が少しずつ失われていく病気です。原因は分かっていませんが、脳の中のドーパミンという物質が減少していることが関与していると言われています。
体を動かすための機能が落ちてくるためになかなか動けなくなったり、動き出そうとした時になかなか動き出せなかったりといった症状に加え、手足が意識しないのに震えてしまうような症状が出てきます。
基本的には高齢者に起こってくるものです。だんだんと症状が強くなってきますので、体が動かしにくいと感じ始めたときに受診をすると診断がつく場合があります。
脳血管障害
大脳の運動野にある神経細胞は、それぞれの場所に応じて体の部位を制御しています。しかし、運動野にある細胞が、それぞれ勝手に命令を出すとバラバラの動きをしてしまい、協調性のある運動ができなくなります。脳の中では細胞がネットワークを形成し、安定して手足が動かせるように調節されています。
何らかの原因でこの協調性が失われると、手を動かさない状態を維持したり、目的の場所へ正しく手を持って行ったりすることが困難になります。勝手にある方向へ動いたり、元に戻ったりということを繰り返すことで手の震えとなります。
協調性が失われる原因で特に多いのが脳血管障害です。脳血管障害には、脳の血管が詰まる脳梗塞と、脳の血管が破れる脳出血があります。
脳梗塞が起こると、広い範囲に障害が出た場合には手足が動かなかったり、呂律が回らなかったり、意識を失ったりする場合があります。また、血管が詰まって機能を失い、手足の動きを調節する活動だけが障害され、震えの症状が見られることがあります。
脳出血の場合には、急激な頭痛とともに、麻痺や呂律が回らないなどの症状が出てきますが、あまり震えという症状が見られることはありません。
小脳失調
大脳は手足を動かす命令を出す場所で、その調整も行なっていますが、実はメインとなって手足の動きを調節しているのは小脳です。大脳が大まかな動きを調節し、細かい動きを小脳が行っていると考えるとわかりやすいでしょう。
そのため何らかの原因で小脳の機能が失われたり弱まってしまったりすると、動きの調節がうまくいかずに震えが見られることがあります。また、小脳失調の特徴的な症状として、歩き方に変化が出たり、姿勢が変わったりします。
これらの変化とともに震えがある場合には、小脳の異常をまず疑って検査を行います。
薬剤性振戦
薬剤によっても手足の震えが出ることがあります。特に、パーキンソン病のような震えを特徴とする薬剤性の振戦のことを薬剤性パーキンソニズムと言います。
パーキンソン病は脳の中のドーパミンの分泌量が低下することによって起こってくる病気です。そのため、ドーパミンの分泌を低下させたり、ドーパミンの作用を減弱させたりするような薬は、パーキンソニズムを起こしやすくなります。
例えば精神科の薬や、胃潰瘍の薬、胃腸運動の調整薬などは代表的なものです。これらの薬によって、八割程度ドーパミンの作用が減弱すると、パーキンソニズムが起こってくると言われています。
他にも、薬剤性パーキンソニズムを起こす薬として、高血圧の治療薬の一種であるカルシウム拮抗薬や抗がん剤の一部、頻尿の治療薬、認知症の薬などが挙げられます。
このように手の震えは様々な病気で起こってくることがあります。多くの場合はストレスですのでまずはストレス対策をして、それでも改善しない場合は病院を受診してみましょう。