白斑の可能性も?手の皮が剥ける、白くなる原因
手の皮がむけて白くなってきている人はいらっしゃいませんか。もしかしたら何らかの皮膚病かもしれません。手の皮がむけたり、白くなったりする病気にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。
手の皮が剥ける原因
手のひらは物や外気に触れたり、汗をかいたり、様々な刺激にさらされることが多い部位です。そのため乾燥や手荒れなどの症状を起こしやすく、ただでさえ皮膚がむけることが多い場所と言えます。
少しむけるだけであれば特に気にする必要は無いかもしれませんが、多くむける場合には病気が隠れている可能性もあります。
病気かどうかを見分けるためには先ずは手の保湿などケアをしましょう。手荒れや乾燥が原因であればケアによって改善が見られるはずです。
一方、病気による皮むけの場合は保湿ケアを続けても症状がよくならなかったり、痛みやかゆみを強く伴ったり、水ぶくれを伴ったりといったことが多くあります。
では、どのような病気で皮がむけてくるのでしょうか。
手白癬
白癬とは水虫のことです。つまり手白癬は手にできた水虫です。
手白癬ができると手のひらがカサカサして皮がむけてきます。また、指の腹や手のひらにちいさな水ぶくれができてきます。爪にも白癬が感染すると爪が変形したり変色したりしてくるのが特徴です。
基本的には手だけに白癬が感染する事は稀で、足に水虫がある人が手にも感染することが多いと言われています。また、家族や公共施設のスリッパなどから感染することもあります。
手白癬を発症した場合、自分でケアすることは難しいですから皮膚科を受診することをおすすめします。
汗疱
汗疱は汗疱状湿疹の一種で、汗の出口である汗腺がつまって汗が外に分泌されなくなることによって起こってくる病気です。それによって皮膚の下に水ぶくれができてしまい、手のひらの皮がむけてきます。
このような汗腺のつまりが1か所ではなく複数箇所にできますから、水ぶくれが手のひらにいくつもできます。また、水ぶくれがつぶれると皮膚がむけて、かぶれやかゆみ、痛みが起こってきます。
症状は春から夏などの汗がよく出るようになる季節の変わり目に出てくるのが特徴で、手のひらに汗をかきやすい女性の人に多く起こります。
原因としては多汗症、金属アレルギー、ストレス、自律神経の乱れ等が関係していると言われていますが、ひとつの原因だけが関与していることは稀です。
こまめに汗を拭き取ることや、手袋をつけて水仕事することが対処となりますが、ほかの皮膚疾患との鑑別のためにも一度は皮膚科を受診されることをおすすめします。
掌蹠膿疱症
掌蹠膿疱症は、手のひらや足の土踏まず、かかとなどに起こってくる病気です。汗腺の開口部のような場所に過剰な免疫反応が起こり、好中球という免疫担当細胞がたくさん集まってくることで起こってきます。
透明な小さい水疱や黄色い小さい膿疱ができることから始まります。膿疱は一度良くなった後もまた出てきたりと、古くなったり新しくなったりを繰り返します。大きさは大体1mm~5mm程度のちいさなものです。
免疫反応が起こっていますから膿があるように見えてきますが、細菌感染ではないので膿疱の内容物が他の人についたとしても感染することはありません。
膿疱が破れるのに伴って、皮がむけて内容物が出てくることから他の疾患とは鑑別は容易です。治すには皮膚科で診断して治療する必要があります。
皮膚が白くなるのは白斑の可能性も
皮膚が部分的にまだらに白くなってくる場合には、白斑症である可能性もあります。その中でも尋常性白斑は比較的よくみられる疾患です。
尋常性白斑とは
尋常性白斑とは皮膚の一部が脱色されたように白くなってしまう病気のことです。原因ははっきりしたものは分かっていませんが、自己免疫疾患もしくは神経の異常によるものではないかと言われています。
表皮や毛母細胞のところに存在する、色素を産生するメラノサイトが破壊されたり機能が停止したりすることでメラニンが作られなくなってしまいます。
白斑は最初は限局している事が多いですが、だんだんと広がっていくことも多い病気です。
尋常性白斑の分類
尋常性白斑は白斑のでき方からいくつかのタイプに分類されます。
汎発型
汎発型は、身体の左右広い範囲に白斑が見られるタイプです。白斑自体は大きく、また拡大傾向もみられます。尋常性白斑の中でも最も多いタイプとなります。
分節型
分節型は、皮膚を支配する神経に沿って帯状にできるタイプです。皮膚の神経は脊髄から身体の前の方へと向かって走りますから、その走行に沿って帯状に白斑が広がります。これを皮膚分節と呼ぶことから、分節型という名前がついているのです。尋常性白斑の活動性が低下すると、拡大が止まるという特徴を持っています。
限局型
限局型は、皮膚の一部に白斑が限局しているものです。ただし、ほとんどの場合、その場所にずっと限局しているのではなく、汎発型や分節型の初期を見ているだけとも考えられ、大部分が汎発型か分節型に移行していきます。
尋常性白斑の症状の特徴
尋常性白斑は見た目ですぐに分かる事がほとんどですが、老人性白斑、脱色素性母斑、炎症後白斑といった白色病変を来す病変との鑑別を必要とする場合があります。
しかし、これらの疾患は病変が限局したまま、あるいは消退していくのが特徴で、尋常性白斑のように拡大していくことはあまりありません。拡大していくのが尋常性白斑の特徴と言われます。
尋常性白斑の治療
尋常性白斑の治療の第一選択は紫外線療法です。UVBと呼ばれる種類の紫外線を照射することで症状が改善していきます。ほかには照射しにくい部分などにエキシマライトという特殊なものを使用する場合があります。
これらの治療は原則として週に2~3回程度の通院で開始し、症状が改善してきている場合には回数を減らしていきます。
ただし、紫外線ですから日焼けを起こしてくる場合があります。なかなか白斑が治らない間に正常な皮膚に日焼けを起こしてしまい、コントラストが強くなる事で病気が一見悪くなったようにみえる時期があるのも特徴です。
治療期間は数か月で済む場合もありますが、数年単位で治療が必要になる場合もあります。
また、ステロイドの外用薬が適応になる場合があります。免疫細胞がメラノサイトを攻撃することが病気の原因であるわけですから、免疫細胞の活動を抑えるステロイド外用薬を使用することで免疫反応を抑え、進行を抑えます。ステロイドだけではなくほかの外用剤も使用する場合もあります。基本的には紫外線照射が第一選択で、外用薬は補助的な役割と言えます。