美と健康は食卓から。 主婦の友社アワード受賞・山形県の“減塩&ベジアップ”に注目

2024年、主婦の友社が主催する「すごい!健康長寿力アワード」において、山形県の取り組みが受賞団体として選出されました。選考理由は、「健診受診率の高さ」と「食習慣の改善支援」を柱に、県民の健康寿命延伸を目指す、継続性と実効性の高い政策です。
本記事では、地域に根ざした予防医療の先進例として、山形県の健康支援施策の背景と成果を紹介します。
山形県の健康課題は「食事と運動」

山形県では、かねてより生活習慣病のリスクが高い地域特性が指摘されてきました。車社会への移行により、県民の平均歩数が少ない傾向。また、食塩の摂取量が多く、野菜の摂取量が少ないという食事面での健康課題もあったとのこと。
県民一人ひとりの健康意識を高めるため、また医療費の適正化と生活の質の向上を図るために、2008年の特定健診制度の導入以降、健診受診率の向上と健康行動の定着を重点的に推進してきました。
「食べること」から始める健康づくり

今回のアワードで高く評価されたのが、山形県が展開している「減塩・ベジアッププロジェクト」の具体的な実践です。
この取り組みでは、県庁の職員食堂や各総合支庁の食堂で、減塩と野菜摂取量の増加を両立させた“ベジアップメニュー”を提供しており、公務員自らが健康的な食生活を体験・実践する場をつくっています。
たとえば、「1食あたりの塩分3g以下」「野菜量120g以上」といった明確な基準を設けたうえで、栄養バランスに配慮したメニューを日替わりで用意。食堂内には、塩分量や野菜量を見える化したポスターやPOPが設置されており、食べながら学べる工夫も凝らされています。
“職員向けの福利厚生”にとどまらず、モデルとして県民への普及を意識した取組として位置づけられ、実際に県内の飲食店やスーパーとの連携も進められています。
全国トップクラスの健診受診率が物語る成果
山形県の特定健診受診率は全国でも上位に位置しており、直近では65歳以上の受診率が70%を超える自治体もあります。また、健診後の行動変容(再検査受診や食習慣の見直し)に関するデータも示されており、単なる受診で終わらせない“実行支援”の質の高さが注目されています。
こうしたデータ主導の取り組みと、地道な普及啓発活動が、今回のアワード受賞にもつながりました。
「無理せず、続けられる」健康づくりのかたち

山形県の取り組みから見えてくるのは、「いかに日常に健康を溶け込ませるか」という視点です。健診という“気づき”の場と、食という“習慣化”の場をうまく連動させた施策は、他地域にも応用可能なヒントを多く含んでいます。
健康支援は、続かなければ意味がない。山形県の姿勢は、その本質を体現しているように感じます。
【関連リンク・出典】
山形県健康づくり推進課|県民運動ページ
「すごい!健康長寿力アワード2024」授賞発表!|【公式】主婦の友社「健康」note