めまいの薬を漢方で選ぼうーめまいに効く漢方薬の種類ー
めまいを起こす原因は耳や首、脳の異常などさまざまに考えられますが、比較的症状が軽いめまいでは特に病気が見つからないこともあります。特にめまいは女性や高齢者によく見られ、なんども繰り返し発生し、なかなか改善しない厄介な症状です。
めまいの治療法は漢方が得意とする分野でもあり、症状だけではなく体質によって自分に合った薬を選べるメリットもあります。
そこで今回は、めまいの治療に使われる漢方薬の種類と選び方についてお伝えしていきます。めまいが気になっている方はぜひ参考にしてください。
目次
めまいの主な原因
めまいには、景色が回転したように感じる回転性めまいや、雲の上を歩いているような感じがする浮動性めまいなどがあります。回転性めまいの原因の多くは耳の異常にあることが多いです。回転性めまいでよく知られるのがメニエール病で、水分代謝の異常により内耳と呼ばれる部分に水が溜まったような状態になっていることが原因です。
また、めまいは過度の疲労やストレスなどによっても悪化することがあります。ストレスの多い現代においては、突然のめまいや長引くめまいに悩まされている人も多くいます。なかなか改善しない厄介なめまいに漢方薬を使うことで効果が得られる可能性もあり、臨床的にも活用されています。
めまいと漢方
漢方薬は水分代謝やストレスなどに対してバランスを取るように働きかける作用があり、めまいの治療においても非常によく活用されています。また、漢方では体が揺れ動くような症状は「風(ふう)」が原因と捉え、体内にて発生する風邪を「内風(ないふう)」と呼びます。
また動いたときにクラっとしたり、目がくらんで倒れそうになるような軽めの症状が起きる場合には、頭部に十分な栄養や循環が行き届いていないことが原因です。
漢方薬はこのような状態を改善するよう手助けしてくれます。
めまいの治療によく用いられる漢方薬
めまいの治療に用いられる漢方薬には非常に多くの種類がありますが、主によく使われている代表的な処方を紹介します。体質によって選ぶべき漢方薬は異なるため、自分の体質や症状を見ながら選ぶことが大切です。
半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
- 回転性のグルグル回るめまい
- 食欲不振、普段から胃が弱い
- 舌に白い舌苔がついている
- 高齢者で手足が冷える
低血圧ぎみである水分代謝を改善し、胃腸機能を整える効果があります。体を温める作用も高く、冷えの強い女性のめまいにも適応します。胃腸(脾)の機能が悪いため、気血の産生が低下することで肝血が不足し内風が生じている状態を改善する作用、湿が体の上部にこもって頭痛やめまいが起きている状態を改善する作用などがあります。
釣藤散(ちょうとうさん)
- 頭痛持ちである、頭重感
- イライラしやすい、怒りっぽい
- 中高年以降で高血圧ぎみ
- 肩こりがする
- ストレスが多い人
頭痛が慢性的に起こりやすい人によく使われる漢方薬ですが、肩こりや頭重感を伴うめまいにも効果があります。ストレスにより肝血の流れが悪くなり肝や心が熱を持っている状態を改善します。また、肝が働きをサポートしている脾の働きも助け、胃腸に溜まった余分な水分の排泄を促します。肝で発生した内風を鎮めて、めまいの症状を改善する効果もあります。
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
- 水分をよく摂る
- めまいが度々繰り返される
- 立ちくらみ
- 手足の冷えがあるが、顔はのぼせて赤くなりやすい
- 動悸、息切れがする
余分な水分を取る作用のある生薬である「白朮」(びゃくじゅつ)や「蒼朮」(そうじゅつ)が含まれていて、脾に溜まった湿を取り除き機能を高める作用があります。さらに、脾の乱れにより巡りが悪くなった気の流れを改善することにも繋がり、結果的に心・肺の働きも高めます。頭部の気の巡りにも働きかけて、頭痛やめまい、立ちくらみ、耳鳴りなどの症状を改善する効果もあります。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 顔色が悪い、青白い
- めまい、立ちくらみがする
- 貧血気味
- 足腰が冷えやすい
- 生理痛、月経不順、更年期障害などがある
- 体力が低下気味、ストレスが多い
当帰芍薬散は非常に多くの症状・病状に対して使われることがある漢方薬で、特に女性に多く見られる不調に対して用いられます。ストレスにより肝気の流れが悪く、血の流れも悪くなっている状態に適しています。また、肝気の低下により悪化した脾の働きも改善する効果があり、血の産生を高める作用があります。脾の働きが悪いために水分代謝が停滞している状態も改善して、水の異常によって引き起こされるめまいや冷えも改善する効果があります。
めまいに悩んでいるなら漢方薬を試してみては?
めまいは様々な原因によって起きる症状であり、場合によって吐き気や頭痛、嘔吐などの辛い症状を伴うこともあります。さらにメニエール病のような病気では、難聴を引き起こすことも。長引くめまいは自己判断で対処するのではなく、まずは早めに病院で相談してみましょう。
めまいは原因がストレスや水分代謝の異常によるものであるならば漢方薬で改善できることも多いので、一つの選択肢として検討してみるのも良いでしょう。今回紹介した以外にも多くの漢方薬がめまいに使われるので、自分に合った漢方薬を見つけることが大切です。漢方に詳しい医師や専門家に相談して、自分にあった漢方薬を見つけて治療に取り入れてみてください。