痛散湯ってどんな漢方薬?効能効果と正しい飲み方を解説

漢方基礎知識

痛散湯という漢方薬の名前を聞いたことはありませんか?まさに痛みに効きそうな印象がありますが、痛散湯は一体どんな効能効果のある漢方薬なのでしょうか?

今回は痛散湯に配合されている成分から、その効能効果について解説していきます。また、痛散湯には「エキス顆粒」と「煎じ薬」の2つのタイプがあり、それぞれの飲み方と使い分けも知っておくと効果的な服用に繋がります。この記事では痛散湯の飲み方、選び方、副作用などについて紹介していきます。

痛散湯ってどんな漢方薬?

痛散湯は名前の通り「痛みに効く漢方薬」です。神経痛やリウマチ、肩こり、関節痛などの整形外科での治療対象となるような痛みに対して効果があります。再春館製薬所の独自の処方であり、他のメーカーでは作られていない漢方薬です。ベースとなっているのは「金匱要略(きんきようりゃく)」という古文書に収載されている風邪(ふうじゃ)や湿邪(しつじゃ)が原因で生じる痛みや発熱・熱感を治療する「麻杏薏甘湯」(まきょうよくかんとう)に、さらに水の滞りを改善する「防已」(ぼうい)を加えた処方です。しつこい痛み、長引く痛み、繰り返す痛みなどに悩んでいる方に長年愛用されています。

配合生薬の種類

痛散湯には痛みに効く作用と痛みに関わる利水作用をもつ「麻黄」「薏苡仁」「杏仁」「甘草」「防已」の5つの生薬がバランスよく配合されています。

「麻黄(まおう)」・・・風湿を体外へ追い出す発汗、利水作用があり、全身の疼痛、関節の痛みなどに効果がある。

「薏苡仁(よくいにん)」・・・ハトムギ茶でおなじみのハトムギの種子の殻を剥いだもので、イボ取りの生薬としても知られる。利水作用により関節や筋肉の痛みをとる効果がある

「防已(ぼうい)」・・・利水、鎮痛作用があり、神経痛、リウマチ、関節炎などに効果がある。

「杏仁(きょうにん)」・・・利水作用により湿を除く効果がある。

「甘草(かんぞう)」・・・消炎、緩和作用による鎮痛や、脾気を補い水分代謝を整えるはたらきなどがある。

この5つの組み合わせにより、じっくり痛みを改善していきます。

効能効果

痛散湯は「エキス剤」と「煎じ薬」の2種類のタイプがありますが、いずれも「神経痛」「リウマチ」「関節痛」や「関節炎」、筋肉痛「肩や腕の痛み」などに効果があります。

「エキス顆粒」と「煎じ薬」の違いと使い分け

痛散湯には「再春痛散湯エキス顆粒」と「痛散湯(煎じ薬)」の2種類があり、どちらが良いか迷ってしまう方もいるでしょう。漢方薬は元来、複数の生薬をやかんなどに入れた水で煮出してその薬液を飲んでいました。そのため「煎じ薬」と呼ばれているのです。しかし、煎じるには時間も手間もかかるため、携帯性や利便性を考え、そのまま服用できる「エキス顆粒」が販売されています。

煎じ薬は1包中に1日分の漢方薬が含まれています。次の方法で煎じて1日3回に分けて飲むようにしましょう。

「煎じ薬」の作り方:

  1. やかんの中に煎じ薬1包と水600mlを入れて、吹きこぼれに気をつけながら火にかける。
  2. 沸騰したら水が約半分の300ml程度まで減るまで弱火で煮詰めていく。
  3. 煎じ終わったら煎じ薬のパックは取り出して、1日3回毎食後に分けて服用する。

エキス顆粒はそのままお湯などに溶かして服用でき、軽くて携帯性に優れているメリットがあります。一方煎じ薬の方は煎じる手間はかかりますが、煮出している際に出る香りも体に効果を与えるメリットが期待されます。ご自分のライフスタイル合わせて選んでみる、またはエキス顆粒では効果があまり感じられなかったという方は煎じ薬に替えてみるというのも方法の一つです。

痛散湯に副作用はある?

一般的に漢方薬は作用が緩和であり、また市販薬である痛散湯は病院で処方される漢方薬と比べると副作用は起こりにくいと考えられます。しかし、痛散湯も医薬品であるため思わぬ副作用が起きることもあります。

痛散湯に配合されている「麻黄」は、胃腸が弱い人は吐き気・嘔吐・食欲不振・胃部不快感などの消化器症状がみられることがあります。

また「甘草」は、重篤な症状として「手足のつっぱり、しびれ、筋肉痛などの症状」が現れることがあります。その場合は使用を中止し、直ちに医師の診察を受けるようにしてください。

上記以外にも予期せぬ副作用が起きることがあるため、服用後に異変を感じた場合には速やかに服用を中止して医師または薬剤師に相談してください。

痛散湯を活用して辛い痛みを和らげよう

痛みを取るための治療はさまざまな手段がありますが、漢方薬はじっくりと体のバランスを整えて痛みに対処していく方法です。しつこい痛みや繰り返す痛みに悩んでいるという方は、痛散湯のような漢方薬を使うことで改善できることもあります。辛い痛みで困っているという方は、一度痛散湯を試してみてはいかがでしょうか?

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