終日続く吐き気と生理痛にげんなり…この不快感はいったい何?

体験談

生理中、胃がムカムカして吐き気がする、お腹の痛みに加えて気持ちの悪さがあって起き上がれない……。
それは、もしかしたら「生理時の吐き気」かも!?
実は、多くの女性が悩んでいる月経時の不快な症状は「腹痛」だけではありません。

自分ではどうにもならない生理時の不調やつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「生理時の吐き気」をテーマに、薬剤師の手塚智子先生へお話を伺ってみました。

生理のたびに吐き気に襲われ、何も手につかなくて困ってます

佳菜さん(33歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

数年ほど前から、生理が来るたびに猛烈な吐き気に襲われるようになってしまって、悩んでいます。
生理が始まり、最初はお腹が痛くて、「痛い痛い」と思ってるうちに、胃のあたりがフルフルと震えるような感じがして、気持ちが悪くなってくるんです。
気持ち悪さと同時に頭痛やめまいがする時もあって、起きているだけでつらいので、寝込んでしまう時もたびたび……。実際に吐いてしまうこともあります。
ただ、二日酔いや食あたりと違って、吐いたからといってラクになるわけでもないところがまたつらくて。人前でそんな状態は見せられませんし、生理予定日の前後は予定も全く入れられず、予定のある日に生理になってしまったらキャンセルするしかない状態です。
このエンドレスに続くような吐き気の症状は、どうすれば消えてくれるでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
お腹の痛みに加えて吐き気や頭痛、めまいも併発してしまうとのこと、おつらいですね。
それでは今回は、生理時の吐き気の原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

月経時の吐き気はプロスタグランジンによる胃の収縮が原因!

月経中に吐き気が起きるのは「プロスタグランジン」という生理活性物質によるものです。
プロスタグランジンは子宮収縮を促して経血をスムーズに排出する作用がありますが、分泌量が多すぎると子宮の収縮が強くなり、月経痛の原因となります。
さらに、このプロスタグランジンには、子宮だけではなく胃を収縮させる作用もあるため、過剰に分泌されることにより吐き気も起こしてしまうのです。

東洋医学では、痛みを「不通則痛(ふつうそくつう)」「不栄則痛(ふえいそくつう)」と表現します。
不栄則痛は、通りが悪ければ痛みが生じる、ということ。
「気・血・水(生命エネルギー・血液・水分)」の流れが滞ることによって痛みが起きます。不栄則痛は、栄養が不足すると痛みが起こる、という意味です。
気血の不足によって、栄養が十分に供給されずに、痛みや吐き気が起こる、というわけです。
特に月経時は「気・血・水」の滞りが起こりやすいので、さまざまな不調が生じやすくなります。

次の章では、こうした月経時期特有の悩ましい症状に対する具体的な解決方法をお伝えしていきましょう。

月経時の「吐き気」を抑えるセルフケア3選

1.食べ物に気をつけましょう

辛いものなどの刺激物や、揚げ物など胃がもたれるような食べ物を控え、胃に負担をかけない食事を意識しましょう。
生姜やナッツ類など、身体を温める効果のある食材を意識的に摂取してみてください。

吐き気は空腹時に起きがちですが、気分の悪いときには無理して食べず、白湯やハーブティーなど水分を取りながら少しずつ食べられるものを口に入れるようにしましょう。

2.日頃からストレスケアを忘れずに

ストレスを感じていると、自律神経が乱れて、胃腸の働きが悪くなります。
消化器系が弱ると鉄分の吸収が阻害されるので、血を失う月経時には、吐き気を伴う貧血も起きやすくなります。
できる限りリラックスして、穏やかに月経の期間を過ごすようにしましょう。

3. 吐き気が強い時はしっかり休養しましょう

症状が辛い時は、無理せず身体を横にして安静にしながら、常温の飲み物を少量ずつ摂るようにしましょう。
安静にすることで自律神経が落ち着き、吐き気がやわらぐはずです。
また、安静時には身体を締め付けないルームウェアやパジャマなど、リラックスできる服装で足を少し高くして横になるのがオススメです。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

月経時の頭痛を改善するために、市販薬や処方薬に頼るという選択肢に加えて、根本的な改善を目的とした漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)です。冷え性で疲れやすい方の、めまいや頭重感をともなう吐き気を鎮めてくれる効果があります。
また、体力が中等度で頭痛やみぞおちがつかえるような感じの症状をともなう方には、気・血の流れをよくし、冷えをとってくれる呉茱萸湯(ゴシュユトウ)もオススメです。

自分の症状や体質にぴったりマッチした漢方薬を選ぶのは難しいと感じがちですが、「オンラインAI漢方」では、お悩みの症状を元にAIがあなたにぴったりな漢方薬をご案内しています。

つらい症状が起きづらい体質に改善していきましょう

今回は、月経時の吐き気に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
月経中のつらい症状を「いつもそうだから…」と諦めてそのままにせず、食事の習慣を見直したり、ストレスをためないように工夫してみてください。
女性特有の症状にとても効果がある漢方薬を取り入れて、体質を少しずつ改善していきましょう。

手塚智子

大学院修了後、研究職に従事し漢方を学ぶ。その後、薬剤師として臨床で働く傍ら様々な接客業を兼業し、渡米。帰国後、体の内外にアプローチ出来ることを目指して薬剤師兼ビューティーディレクターとして就業中。

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