胃に異常がないのに拷問級の痛み…これも生理前の症状!?

体験談

生理の前に胃がチクチクと痛くなることがある、みぞおちのあたりが掴まれるように痛い…。
それは、もしかしたら月経前症候群(PMS)による胃の痛みかも!?

実は、多くの女性が生理前に起こるさまざまな症状に悩んでいます。
自分ではどうにもならない生理時の不調やつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「生理前の胃痛」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生へお話を伺ってみました。

空腹でも胃の痛みで食べられない…この痛みを何とかして!

優希さん(34歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

生理前になると頭痛がするとか下腹部が痛い、という話はよく耳にしますが、私の場合、ものすごく胃が痛くなるんです。
胃のあたりがチクチクし始めたと思ったら、みぞおちのあたりまで痛みが広がって、そのうちにギューッとつかまれるような鋭い痛みが襲ってくるんです。もうこうなると座っても横になっても痛くて、どうにもつらくて仕方ありません。
空腹時に痛くなることが多いのですが、結局痛みで何も食べられないこともあります。
最初は生理の前に限って痛くなることに気がつかなかったので、胃がおかしいのかと思って母に相談したんです。そうしたら「そんなに痛いなら大変な病気に違いない! 胃ガンだったらどうしよう!」と不安がられて胃カメラまで飲まされることに。
でも、検査をしても結局特に胃の異常は見つからなくて。
それで色々自分でも調べてみて、やっと、これはもしかしたらいわゆる月経前症候群(PMS)による症状なのでは?と思い…。
重大な病気ではないのでしょうが、あの痛みに何度も耐えるのは本当につらすぎます。
どうにか改善する方法はないでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
胃の痛みも生理前に起こるさまざまな症状のうちのひとつです。
月経前症候群(PMS)による胃痛の場合は胃薬では抑えられないことも多いため、とてもつらいですよね。
今回は、生理前に起こる胃の痛みの原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

プロスタグランジンによる胃の収縮が痛みの原因!

月経直前になると、子宮を収縮させて経血をスムーズに出すためにプロスタグランジンという生理活性物質が分泌されます。この物質は胃を収縮させる作用もあるため、分泌量が多すぎると胃の痛みの原因になります。

また、東洋医学では、「気・血・水(生命エネルギー・血液・水分)」の流れが滞ったり不足したりすることによって痛みが生じたりすると考えられています。
胃の症状は、「気」が不足している「気虚」、または「水」のバランスが悪くなっている「水毒」の状態によって起きやすくなります。

次の章では、こうした月経前に起きやすい胃痛に対する具体的な解決方法をお伝えしていきましょう。

月経前の胃痛を和らげる3つのセルフケア

1.胃に優しい食事をする

普段から胃に負担をかけない食生活を心がけることで、胃の粘膜を整えておきましょう。
脂肪分の多いもの、冷たいもの、糖分やカフェインなどの刺激物はなるべく控えて、腹八分目で満足できるように、よく噛んで食べる量を調節しましょう。

2.血行をよくして体を温める

月経直前から分泌されるプロスタグランジンが血管を収縮させるため、体は冷えやすくなっています。
冷えから胃痛が増悪することがあるので、お腹周りや背中をカイロなどで温めて、少しでも痛みを和らげましょう。
また、体を温める効果のあるジンジャーティーやシナモンティー、ほうじ茶やココアなどのホットドリンクをゆっくり飲んで胃を温めるのもオススメです。

3.胃の痛みに効くツボ押しをしよう!

胃の痛みに効果がある2つのツボを紹介します。痛みが現れた時はツボ押しをしてみましょう。

内関(ないかん)
手首の内側の横じわの中央から指3本分ひじ寄りの場所にあるツボ。
ズキズキした胃の痛みや不快感を緩和してくれる効果があります。

足三里(あしさんり)
ひざのお皿の下の外側のくぼみから指4本分下の位置にあるツボ。
胃腸全般の不調の改善や予防に効果的なツボです。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

月経前の胃痛を改善するために、市販薬やピルなどの処方薬に頼るという選択肢に加えて、根本的な改善を目的とした漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)です。急な筋肉のけいれんなどをやわらげる働きがあり、プロスタグランジンによる胃の痛みにも用いられます。
また、安中散(アンチュウサン)は冷え性で体力のない方のお腹や内臓を温めることで胃腸の機能を改善し胃痛を和らげる効果があります。
一方、胃痛とともに吐き気や胃もたれ、下痢などの症状がある方には、体内の「水」の巡りを整えて胃腸症状を改善してくれる胃苓湯(イレイトウ)もオススメです。

普段から胃のケアを心がけて過ごしましょう

今回は、月経前の胃痛に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
日頃から胃に優しい食生活やストレスを溜めない生活をすることで、月経前の痛みが起こりにくい体質に改善できるはずです。
また、セルフケアではなかなか症状が改善しない場合には、胃痛の症状によく効く漢方薬もあります。ぜひ、お近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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