解熱後も続く嫌な症状…薄気味悪いスライム状の痰が口の中に!
熱が下がっても痰と咳が止まらない、痰が 喉に張りついて気持ちが悪い…。
このように、風邪をひいたときの症状にはさまざまなものがあり、それぞれに原因や対処法が異なります。
こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。
今回は「風邪による痰の症状」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。
目次
風邪は治ったはずなのに…痰が喉に絡まり仕事にも集中できません!
千晶さん(39歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。
先週、喉の痛みから発熱し久しぶりに風邪をひいてしまいました。今は、熱は完全に平熱に下がったにも関わらず、しつこい咳と痰が治らず、疲労困憊です。
特に、咳き込むたびにドロっとした痰が口の中に上がってきて、気持ち悪いのなんの…。
ティッシュで拭うと、世にも気味の悪い色のスライム状のものがべっとりとくっついてくるのが不快でたまりません。
家で過ごしているときは、そのスライムが何度出てこようが片っ端から始末してやるのですが、会社での打ち合わせ中や会議中に出現した場合がやっかいで…。
一応ティッシュは持ち歩いているものの、人前でおもむろにティッシュを開いて痰を吐き出す訳にもいかず、無言のまま口の中にスライムを飼っておくことも度々です。
このままではいつかこの気味の悪い奴をやむにやまれず飲み込むはめになることもありそうで、怖くて仕方がありません。
早めにこの症状を解消して爽快な気分で仕事に挑みたいのですが、何か良い方法はないでしょうか?
ご質問ありがとうございます。
暗い黄色や緑色の痰が出るのは、喉の粘膜に残ったウイルスと体が戦ってくれている証拠です。ですが、痰だけが長引き、仕事にも支障がでるのは困りますよね。
今回は、風邪にともない痰が出る原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。
痰が出るのはウイルスや細菌による喉の炎症が原因
風邪をひいたときに痰が出るのは、ウイルスや細菌によって喉に炎症が起きているからだと考えられています。
通常の痰は、サラサラとして無色透明や白色の場合が多いですが、喉に絡むような痰は黄色や緑色のことが多く、咳とともに症状が長引くこともあります。
これは粘液にウイルスや細菌、白血球が混ざったもので、白血球が病原体ときちんと戦っている証拠だといえます。
熱がひいても痰が出続ける場合は、喉の粘膜に残った病原体による炎症が続いている可能性がありますが、通常は1週間ほどで症状が治まることが多いようです。
東洋医学では、痰を「痰液(たんえき)」と呼び、痰が体中に溜まるといろんな臓器に病的な状態を起こすと考えています。
次の章では、こうした風邪による痰の症状の具体的な対処方法をお伝えしていきましょう。
痰の症状の苦しさを解消する3つの対処法
1.寝る向きを工夫して痰を上手に出そう
風邪を引いて咳が出ているときに仰向けになって寝ると、咳が出やすいと感じたことはありませんか?
仰向けやうつ伏せの体勢は気道を圧迫して咳を出やすくしてしまうため、気道を確保できる横向きで寝るようにしましょう。
また、寝るときはクッションなどを入れ、上半身側を少し高くして寝ると呼吸がしやすくなり、咳が軽減されるといわれています。
2.「痰を切る」飲み物を摂ろう
咳と痰が絡んで苦しいときは、飲み物で喉を温めると気管が広がり、呼吸を楽にすることができます。
温かい飲み物で喉を直接潤し、痰を体外に排出しましょう。
体を温めてくれる生姜湯に喉の炎症を鎮めるハチミツを加えて「ハチミツ生姜湯」にしてもいいですし、大根のおろし汁にハチミツを加えて飲むのも効果的です。
大根や山芋、レンコン、タケノコなどは痰が絡むのを防ぐ作用があるといわれていますので、食事のメニューに取り入れても良いでしょう。
3.睡眠時は部屋の加湿を心がけよう
夜中まで痰が出たり咳が止まらなかったりして苦しいとき、一番の対処法は部屋の乾燥を防ぐことです。
室内に洗濯物を干したり、加湿器を使用したりするなどして部屋の湿度を保つようにしましょう。
就寝中に湿らせたマスクをして寝るのも効果的です。マスクをして眠ることで、鼻や喉の粘膜を潤してくれるのはもちろん、体内へウイルスが侵入するのを防ぐ効果も期待できます。
寝苦しいときにはぜひ試してみてください。
根本的な体質改善には漢方薬が効果的!
風邪による痰の症状を改善するために、処方薬や市販薬の服用という選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、清肺湯(セイハイトウ)です。
字のごとく肺をきれいにする働きがあり、色が濃く、粘度の高い痰が多く出る方の喉や気管の炎症を抑えて痰をスムーズに排出しやすくします。
また、サラサラとした色の薄い痰や、鼻水をともなう痰の症状がある方は、冷えた体を温めながら体内の水分代謝を促して水っぽい痰を排出してくれる小青竜湯(ショウセイリュウトウ)も良いでしょう。
一方、冷えがあり胃腸が弱くて麻黄が含まれる漢方を使いづらい方は、苓甘姜味辛夏仁湯(リョウカンキョウミシンゲニントウ)がオススメです。
絡まる痰をスッキリ解消して快適に休養しましょう
今回は、風邪による痰の症状を緩和するためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
体を温め、喉に優しい飲み物で喉を潤わせたり、寝るときの体勢や室内の湿度を高めに保つなどの工夫をして、痰や咳による苦しさや睡眠不足を解消しましょう。
また、こうした風邪によるさまざまな症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。