風邪を引くたびに寒気と痛みが襲来…震えて眠るのはもうイヤ!

風邪 寒気 アイキャッチ
体験談

なんだか寒気がして体の節々が痛い、背中や腰の痛みとともに身体中が寒くなりブルブル震えてしまう…。
このように、風邪をひいたときの症状にはさまざまなものがあり、それぞれに原因や対処法が異なります。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「風邪による寒気」をテーマに、薬剤師の竹田先生にお話を伺ってみました。

暖かい部屋なのに震えるほどの寒気!この痛みと寒さをどうすれば?

寒気に悩む風邪を引いた女性

玲子さん(46歳女性)、プログラマーの方からご質問をいただきました。

このところ気温の激しい寒暖差が続くせいか、風邪をひきやすくなってしまって困っています。暖かいアウターを着ても寒さがおさまらず、背中のあたりにゾワゾワっと寒気を感じるのが風邪をひく合図で、ここ数ヶ月ですでに3、4回は風邪を引いている気がします。
特に高熱が出るわけではないのですが、寒気とともに節々がズキズキしてきて、なんだか体じゅうが痛くて仕方がないんです。
それに、仕事で長時間PC作業を続けることも多いせいか、風邪の引き始めは首・肩・背中・腰にかけてこわばったように痛くて!
帰宅して暖房をつけ、暖かい毛布にくるまってもまだ寒さが抜けず、震えているうちに夜が明けるという感じです。熱は出ても微熱程度のことが多いのですが、寒気と痛みが長く続くため体力の消耗がひどいんです。
どうにかしてこの嫌な寒気の症状を改善する方法はないでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
寒さはもちろん、寝不足や疲労などによる免疫力の低下によってもウイルスの侵入に対する抵抗力が弱まり、寒気や発熱、それにともなう体の痛みが起こることがあります。
今回は、風邪による寒気の原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

ウイルス侵入を防ぐ免疫の働きと「寒邪」が寒気の原因

ウイルスにおびえるマスクをした女性

風邪による寒気は、ウイルスが体内に侵入した際に免疫を活性化させるため、脳の体温を調整する機能が、体温を高くしようとすることで生じます。
全身の筋肉を震えさせて体に熱を生み出し、体に侵入したウイルスを攻撃するように免疫細胞に働きかけるため、このときに寒気や関節の痛みなどが風邪の症状として現れてくるのです。

東洋医学では風邪は、「風邪(ふうじゃ)」を感受することによって引き起こされると考えられており、なかでも寒気や震えの症状は「風邪」に「寒邪(かんじゃ)」が合わさって起きると考えられています。
次の章では、こうした風邪による寒気への具体的な対処方法をお伝えしていきましょう。

風邪による寒気を和らげるセルフケア3選

生姜

1.「風門」のツボを温めて風邪の悪化を防ぐ

読んで字のごとく、「風邪が入ってくる門」という意味のツボが「風門(ふうもん)」です。
寒気がすることを背中がゾクゾクする、とも表現しますが、風門はまさにその背中に位置するツボです。風門を温めることによって「風邪(ふうじゃ)」を遠ざけることができるといわれています。
気温が低く寒さを強く感じるときや、寒気を感じたときには、ここにカイロを貼ったり蒸しタオルで温めたりして、風邪を予防したり症状の悪化を防いだりしましょう。

◎「風門(ふうもん)」
背中の上部、左右の肩甲骨の間にあるツボ。
下を向いときに首の裏に大きくでっぱる骨があり、その骨から背骨に向かって数えて下2つ目の突起の骨、ちょうど指で3本分くらい下のあたりにあります。

2.「生の生姜」を食べて寒気を解消しよう

生の生姜には「ジンゲロール」と呼ばれる辛味成分が含まれており、解熱・殺菌効果によって体内の熱を取り除き、体の表面を温めてくれる効果があります。
風邪の引き始めの寒気があるときには、生のまますり下ろして食べたり、ガリとして食べるのがオススメです。
一方、生姜の乾燥や加熱で「ジンゲロール」は「ショウガオール」という成分に変わります。
こちらは血流を高めて、体を芯から温めるのに効果的で、冷え性などの改善には効果的ですが、寒気の改善には不向きですので、食べ方に気をつけて摂るようにしましょう。

3.発熱時の入浴はなるべく避けること

風邪の引き始めで体がだるく、寒気や関節の痛みが激しいときや高熱が出ているときは、体力の消耗を避けるためにも入浴は避けたほうが良いでしょう。
微熱(37.5℃以下)程度で症状も軽めなら入浴しても問題はありませんが、ぬるめのお湯に短時間浸かるだけにして、長湯をしないようすることが大事です。
また、入浴することにより発汗量が増えて水分が失われるため、風邪による発汗と合わせて脱水症状を起こしがちですので、入浴の前後には忘れずに水分補給をするようにしてくださいね。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

風邪による寒気を改善するために、処方薬や市販薬の服用という選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、葛根湯(カッコントウ)です。風邪のひき始めの寒気を感じるときに服用することで発汗・解熱を促し、首や肩、背中の緊張をほぐして痛みを和らげる効果があります。そのため緊張型頭痛や肩こりにもよく効きます。
また、寒気とともに喉の症状や関節の痛みの強い方には、体を温めて背中のこわばりをほぐし、筋肉の痛みを和らげる効果のある麻黄湯(マオウトウ)も良いでしょう。インフルエンザなどのひきはじめに使用されることもあります。

一方、強い寒気がある上に冷え症で、麻黄湯や葛根湯を使用するまでの体力がない方には、麻黄附子細辛湯(マオウブシサイシントウ)がからだを温める作用が強いのでオススメです。また、寒気が強くない風邪で、麻黄を含んでいない漢方薬を使用したい方、高齢者や妊婦などには、香蘇散(コウソサン)がオススメです。

背中や体を温めて、早めに風邪を退治しましょう

休養する女性

今回は、風邪による寒気を緩和するためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
寒気の症状を改善するためには、背中を中心に体全体を温めることが大切です。
風邪の症状の悪化を防げるかどうかの大切な時期でもありますので、しっかり栄養をとって体を休めるように心がけましょう。
また、こうした風邪によるさまざまな症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。
セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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