花粉症の悪化で呼吸困難状態…まるで喘息発作のような息苦しさ!
花粉症による鼻づまりが酷すぎて呼吸が苦しい。鼻水やくしゃみとともに喉がイガイガして咳き込むことが増え、息苦しくて仕方がない…。
2月〜5月にかけての花粉シーズン、こうした「花粉症による息苦しさ」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。
こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。
今回は「花粉症による息苦しさ」をテーマに、薬剤師の中田早苗先生にお話を伺ってみました。
目次
咳と息苦しさでパニック寸前! 年々激化する花粉症がつらい…
優希さん(49歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。
若い頃に発症した花粉症ですが、さまざまな予防法や治療を試しては見たものの、なんだか年々症状が悪化しているような気がしてなりません。
特に今年は、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどのいわゆる花粉症症状に加えて、喉がイガイガするような、咳き込んで息が苦しくなるような症状まで出始めました。このたまらない息苦しさが続いた当初は、悪い風邪でもひいたのか、それとも急に喘息にでもなってしまったのかと思ってしまったほどです。
ただ、晴れた日に外出したときに限って咳き込む症状や息苦しさが悪化するので、これはもしや花粉によるものなのか、と思って耳鼻科で聞いてみたんです。そうしたら案の定、これも花粉症の症状だと言われ、ますます花粉によるアレルギーの恐ろしさを痛感しています。
先日も、主人と一緒に買い物に行ったのですが、郊外の緑の多い場所だったせいか、屋外の駐車場に車を停め、降りた途端に激しい咳と息苦しさであっという間に呼吸困難のような状態に! 花粉症ではない主人からしたら何事かと思うような事態だったようで、救急車を呼ぼうとするのをなんとか止めたほどです。
いい加減、こんな風に花粉症に日常を乱されるのがつくづく嫌になっています。なんとか症状を少しでもラクにする方法はないでしょうか?
ご質問ありがとうございます。
花粉症の症状にはさまざまなものがあり、初めて発作のような咳き込みや息苦しさを発症した場合はとても不安になってしまいますよね。
今回は、花粉症による息苦しさの原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。
花粉症による息苦しさは副鼻腔炎と「熱」が原因
花粉症は、スギ等の花粉に対する免疫反応により、さまざまな症状が引き起こされるアレルギー症状です。
花粉症の症状として息苦しさが現れるのは、鼻水や鼻づまりなどによる副鼻腔炎の症状から、空気の通り道が塞がれて口呼吸になってしまうことや、鼻の中で起こったアレルギー反応が気管に伝わり、激しく咳き込んでしまうことで生じると考えられています。
東洋医学では、息苦しさの症状は、花粉症による鼻炎が慢性化し、体に余分な「熱」が溜まる「熱証(ねっしょう)」の症状が生じることで炎症が悪化し、起こるとされています。
次の章では、このような「花粉症による息苦しさ」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。
花粉症による息苦しさを解消する3つの対処法
1.こまめなうがいと部屋の加湿を心がける
口呼吸により喉に入り込んでしまった花粉を外に出すためには、外出して帰宅したらすぐに手を洗い、うがいをすることが効果的です。
症状悪化を防ぐ対策としては、帰宅時だけでなく、睡眠前や起床後などにこまめにうがいすると良いでしょう。
また、鼻づまりの症状などから生じている息苦しさがある場合は、部屋を十分に加湿し、鼻の症状を改善することも息苦しさの緩和につながります。
2.部屋に侵入した花粉の除去をする
花粉による息苦しさを取り除くためには、洋服や髪の毛、ペットの毛などに付着して部屋の中に入った花粉を取り除くことが大切です。花粉症のシーズンは特にこまめに洗髪や部屋の掃除をし、空気清浄機で室内の空気を浄化しましょう。
また、髪の毛に付着した花粉を吸い込まないようにするために、枕や寝具などはこまめに取りかえるようにするのがオススメです。
3.息苦しさを鎮めるツボ「尺沢」を押す
花粉症による息苦しさや咳の症状がつらいときは「肺の気の流れ」をつかさどるツボ「尺沢(しゃくたく)」を押してみましょう。
◎尺沢(しゃくたく)
場所:肘を曲げた内側のできるシワの上にあり、シワの中央から指2本分ほど親指側にずらしたところにある、腱の外側にあるツボ。
反対の手で肘を内側から包み込むようにして、親指で少し強めにツボを押しながら、拳を顔に近づけるように肘を曲げたり伸ばしたりしましょう。10〜20回ほど繰り返します。
根本的な体質改善には漢方薬が効果的!
花粉症による息苦しさを改善するために、抗アレルギー薬の服用や注射などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、麦門冬湯(バクモンドウトウ)です。激しく咳き込むことによる息苦しさのある方の、喉に潤いを与えて渇きを癒し、症状を和らげる効果があります。
また、粘り気のある鼻水と鼻づまりで息苦しい方には、体内にこもった熱を冷まし、呼吸器を潤して鼻の通りをよくしてくれる辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)も良いでしょう。
花粉は入れない、持ち込まない、洗い流すことが鉄則
今回は、花粉症による息苦しさに悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、外出から帰宅したらすぐに粘膜に付着してしまった花粉を洗い流すこと、部屋の中に花粉をなるべく入れないように努力することも大切です。
また、こうした気になる花粉症の症状改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。