アイスドリンク1杯でダメ…お腹が冷えて下痢が止まりません!

体験談

ちょっと体が冷えただけで下痢症状が続いてしまう。冷たいものを食べ過ぎるとすぐにお腹がゆるくなって下痢を起こしてしまいなかなか治らない…。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「長引く下痢症状」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

長引く下痢で体力消耗…何をするにも元気が出なくて困っています

初美さん(61歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

このところちょっとしたことで体調を崩しやすく、すぐにお腹の調子が悪くなるため、なかなか活動的になれません。
もともと冷え性ではあるのですが、ここ数年はちょっとでも冷たいものを摂るともうダメ。体が冷えるのか、すぐにお腹が冷たくなって腸のあたりからチャポチャポと変な音がするような感じで、便が緩くなってしまうんです。
先日も、友人と散歩がてらおしゃべりしていていたのですが、喉が渇いてしまったので喫茶店に入り、そこで氷入りのアイスコーヒーを1杯飲んだんです。そうしたら案の定、途中でお腹の調子が大変なことになってしまって……。
逃げ帰るように帰宅してトイレに行ったら、やはり水っぽい便が出てお腹も痛くなり、ひどい下痢でなんだか動悸までしてきて、疲れ果ててしまいました。私の場合、始末が悪いことに一度お腹を壊すとなかなか症状が治らず、回復するまでにとても時間がかかるんです。
少しお腹の調子が良くなってきたかな、と思っても、少し消化の悪いものを摂っただけでまた便が緩くなるの繰り返し。
下痢って意外と体力を消耗するのか、このところちっとも元気が出なくて困っています。この長引く下痢をなんとか改善したいのですが、どうしたら良いでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
もともと冷えやすい体質とのことなので、加齢や体力の低下とともに冷えが胃腸症状として現れやすくなっているのかもしれませんね。
今回は、下痢が続く症状の原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

下痢が続くのはストレスや冷えなどが原因

下痢が続く症状の原因としては、消化不良や体の冷えから来るもの、暴飲暴食や食あたり、抗生物質の薬の副作用、過敏性腸症候群などによるもののほか、クローン病、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患なども考えられます。
一時的に症状が改善してもしばらくすると下痢症状が再燃するような場合は、一度医師の診断を受けることをオススメします。

また東洋医学では、冷たいものの摂りすぎで胃腸が冷えることにより体内の水分バランスが崩れること、ストレスや不摂生により「気(生命エネルギー)」が滞ること、加齢により生殖器官をつかさどる「腎(じん)」が衰えることで下痢症状が続くと考えられています。

次の章では、このような長引く下痢を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

長引く下痢の症状を和らげる3つのセルフケア

1.体を冷やさず、胃腸に優しい食物を摂る

下痢が長く続いている場合は、水分の摂り過ぎや冷たいものの摂り過ぎを避けることが大切です。
夏場は特に、窓を開けっ放しにして寝たり、エアコンの温度を低くしたまま寝たりすることによる寝冷えから来るお腹の冷えにも要注意です。
また、タケノコやゴボウなどの固い繊維質のものや、イモやカボチャ、豆類などお腹の中でガスを発生させやすい食材は控えるようにしましょう。
下痢の症状が安定するまでは、胃腸に負担をかけない、消化の良いものを少しずつよく噛んでゆっくり食べるようにすることが大切です。

2.アロマバスでゆったりストレスケアをする

神経過敏でデリケートな方は、疲労やストレスにより下痢症状を起こしてしまいがちです。
毎日の生活のなかでストレスをためないように注意し、心穏やかにリラックスして過ごせる時間をしっかり確保するようにしてみてください。
下痢症状に効果的な精油(エッセンシャルオイル)を数滴垂らしたアロマバスにゆったり浸かり、じんわりと体を温めるのもオススメです。

◎ストレス性の下痢を和らげる精油
ネロリ・ラベンダー・ゼラニウム・プチグレン・マンダリン

3.お腹の水分バランスを整えるツボを押す

お腹がチャポチャポとするような症状やなかなか改善しない慢性的な下痢症状にオススメなのがお腹の真ん中あたりにある「水分(すいぶん)」のツボです。

◎水分(すいぶん)
場所:おへそから親指1本分上の位置にあるツボ
腸に働きかけ、お腹の水分を調節するツボで、長引く下痢症状やお腹の調子が悪いときなどに刺激することで効果を発揮してくれます。
ツボにゆっくり圧を加えて、痛気持ちいいくらいの強さで5秒キープしましょう。ゆっくり円を描くように刺激するのもオススメです。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

長引く下痢を改善するために、市販薬や処方薬の服用などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、真武湯(シンブトウ)です。からだを温め、水分代謝を整えるので、冷えにより下痢症状を起こしやすい方に用いられます。
また、ストレスによる過敏性腸症候群などにより下痢が続く方には、腹部の緊張を緩和して痛みを止め、症状を改善する効果のある桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)も良いでしょう。
一方、朝起きると下痢になるような手足も冷える方には、人参湯(ニンジントウ)がおすすめです。

体の内側&外側からもお腹を冷やさないことが大切

今回は、下痢が続く症状に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、体を冷やさないように注意し、温かく消化の良いものを少量ずつ摂るようにし、ストレスを溜め込まないようにすることが大切です。
こうした気になる下痢の症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。
そして、セルフケアを試しても一向に症状が改善しない場合は、重篤な病気が原因となっている場合もありますので、たかが下痢と侮らずに医師の診断を受けるようにしましょう。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

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