丁寧にケアしてるのに…真っ赤なお尻のかゆみを断ち切りたい!
お尻がかゆくて仕方ないのに人前でかけずにつらい。生理になるとお尻が蒸れてかゆみが強くなる…。
こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。
今回は「お尻のかゆみ」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。
目次
我慢できないお尻のかゆみ…清潔にしているのに悪化するのはなぜ!?
友里さん(45歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。
お恥ずかしい話なのですが、このところお尻がかゆくて仕方がないんです。
もしかして汗が溜まったり雑菌がついたりして不潔になっているのでは、と不安になって何度もお尻を洗ったり、トイレの際は必ず温水便座でお尻を綺麗にするようにしているのですが、なぜだかかゆみの症状は悪化する一方!
最近ではお尻のくぼみにプツプツと湿疹のようなものが現れ、かき壊したせいでジュクジュクとしてきてしまって、最悪な状況です。家で過ごすときはこまめにケアできるのでいいのですが、友人とのランチや買い物などでちょっと遠出するときに限ってお尻のかゆみが激しくなり、それも悩みの種です。
帰宅してストッキングと補正下着を脱ぐと、お尻がかぶれたようになっていて、鏡で見るとお尻が真っ赤に! 急いで汗を洗い流すのですが、しばらくかゆみがおさまらず、再びかきこわしてしまうという悪循環。
このかゆみの悪循環を断ち切るには、いったいどうしたら良いのでしょうか?
ご質問ありがとうございます。
お尻を清潔に保つように気を使っていらっしゃるとのことですが、もしかしたら洗い過ぎることにより皮膚に必要な油分まで落としてしまっている可能性もあるかもしれませんね。
今回は、つらいお尻のかゆみの原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。
お尻のかゆみは不要な「熱」「湿」による蒸れなどが原因
肌のかゆみは多くの場合、ヒスタミンという「かゆみ物質」が何らかの刺激により肥満細胞から分泌され、知覚神経を刺激することで脳に「かゆみ」として伝達されることが原因となっています。
特にお尻には毛穴が多く、毛穴詰まりや毛穴の毛包に細菌が繁殖して炎症を起こし、かゆみが生じることもあります。また、肛門付近は大腸からの粘液分泌液によりかぶれや、締め付けの強い下着や月経用ナプキンなどにより蒸れることなどもかゆみの原因になることがあります。
東洋医学では、体のかゆみは皮膚を侵す病因である「風(ふう)」により起こるとされ、「気・血・水(生命エネルギー・血液・水分)」のバランスが崩れからさまざまな不調が起こると考えます。
特にお尻のかゆみは、体内の不要な「熱」や不必要な水分が溜まって「湿」が発生すること、また血の不足から起こる「血虚(けっきょ)」により起こるとされています。
次の章では、このような「お尻のかゆみ」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。
お尻のかゆみを解消する簡単セルフケア3選
1.お尻を清潔にしつつ洗いすぎないようにする
おしりを清潔に保つために、入浴の際はゴシゴシこすらず丁寧に洗い、しっかり水分をふき取るようにしましょう。水分が残っていると蒸れの原因となり、細菌の繁殖や乾燥の原因になってしまいます。
ただ、お尻を清潔にしようとするあまりに、温水便座などでお尻を洗い過ぎたり、何度も拭いたりするのは逆効果です。必要な油分を奪い、バリア機能の低下を招くことで、さらにかゆみを悪化させてしまう可能性も。
特に、月経時は特にナプキンが常に肌に触れることでお尻が蒸れやすく敏感になっています。洗いすぎには注意しつつ、こまめにナプキンを取り替えて清潔に保ち、かゆみが起きないようにしましょう。
2.お尻はかきむしらずに保湿ケアをしっかりと
お尻がかゆいあまりにボリボリと皮膚をかいてしまうと、刺激により皮膚のメラニン細胞が活性化し、皮膚が黒ずんで色素沈着を起こしてしまうことがあります。また、かきむしることでお尻の角質がはがれ、バリア機能が失われると雑菌が侵入し、さらにかゆみが悪化したり、ニオイの原因となったりしてしまいます。
特に年齢を重ねるに従って女性ホルモンが減ってくると、皮膚の潤いが減り乾燥してかゆみが起きることが増えるため、若い頃以上に保湿ケアが必要になってきます。
顔や手足の保湿には気を使ってもお尻は特に何もしない、などということがないように、ボディ用の化粧水や保湿クリームでお尻の乾燥を防ぐようにしましょう。
3.着用するものの通気性と締め付けに注意する
しっかり保湿ケアしていても、ナイロン素材の下着や締め付けの強い下着やストッキングを長時間着用することで、蒸れてかゆみが起きてしまうことがあります。直接肌に擦れる肌着は、綿などの通気性の良い素材のものを着用するようにしましょう。
また、補正下着やサポートタイプのストッキングなど、下半身をタイトに締め付けすぎることでお尻の血流が悪化し、冷えや乾燥を招くことでかゆみが悪化することがあります。かゆみの症状のあるときは、下着や衣服で体を締め付けないように心がけましょう。
根本的な体質改善には漢方薬が効果的!
お尻のかゆみを改善するために、市販の外用薬や処方薬などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、消風散(ショウフウサン)です。ジュクジュクしてかゆみが強く患部が熱をもったようになる方の皮膚の炎症やかゆみを鎮め、分泌物を抑える効果があります。また、黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)はかゆみやほてりが強くイライラしてしまうような場合にオススメです。
一方、冷えが強く、皮膚の乾燥によりかゆみが強くなる方には血流を整え、肌に栄養と潤いを与えることでかゆみを和らげる当帰飲子(トウキインシ)も良いでしょう。
蒸れや乾燥、血流悪化を避けてお尻を清潔に!
今回は、お尻のかゆみに悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、通気性がよく締め付けの少ないものを身につけることが大切です。洗い過ぎや拭き過ぎに気をつけながら、蒸れや乾燥に気を配ってお尻を清潔に保つようにしましょう。
また、こうした気になるかゆみの症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。