ひどい日焼けで背中がヒリヒリ! 幸せな家族の休日に起きた惨劇!

お悩み

子どもと公園で夢中になって遊んでいたらノースリーブを着ていた二の腕がピリピリと痛くなってしまった、休日に屋外プールで過ごしていたら日焼けして皮膚がズキズキ…。
30〜60代の幅広い世代の女性のなかには、このような「日焼けによる痛み」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「日焼けによる痛み」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

無防備な素肌に紫外線が直撃! 日焼けによる痛みで背中がヒリヒリ…

友里さん(32歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

まさか自宅で過ごす休日に、あんなひどい日焼けをするとは思いませんでした! 
先日、主人が3歳になる娘のために、大きなビニールプールを買ってきてくれたんです。家庭用とはいえ結構大きめで、夫婦二人で交代で空気ポンプを踏みまくってもなかなか膨らますのは大変! 膨らますうちに、うちの大きいとは言えない庭がプールで半分ほどうまってしまったほどです。
大喜びで水着姿で待ち構える娘が可愛くて、家族で大はしゃぎしながらプールを完成させ、やっと娘を水の中に入れてあげることができたのですが……。
ふと我に返ると、背中がヒリヒリして真っ赤に! 半袖のTシャツで作業していた主人と違い、私は細い肩紐のキャミソール1枚で作業していたため、背中一面ひどい日焼けをしてしまったんです。
痛いばかりかものすごく熱を持っていたので、慌てて台所に駆け込み、大きな保冷剤で背中を冷やすこと30分。だいぶ痛みは治まったのですが、まだ背中が火照っています。無防備に紫外線を浴びることの怖さを思い知りました。
こんな、やけどしたかと思うほどの痛みはもう二度と味わいたくありませんが、こうした日焼けの予防策や対処法があれば、ぜひ教えてください。

ご質問ありがとうございます。
自宅のすぐそばの庭での出来事ということですから、日焼け止めを塗ったり、UVカットの上着を着たりするなどの対策になかなか気が回らなかったのかもしれませんね。
今回は、日焼けによる痛みの原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

日焼けによる痛みは、紫外線による皮膚の炎症が原因

日焼けによって痛みが生じるのは、紫外線のなかでも波長が短く、肌に炎症を与えやすい紫外線B波(UVB)を浴びることで皮膚が軽いやけど状態になっていることが原因と考えられています。
紫外線を皮膚に浴びることにより、皮膚組織や細胞に危険を知らせる「炎症惹起因子」という物質が細胞から放出され、この働きにより皮膚に炎症が起きて痛みが生じるのです。赤みを帯びてヒリヒリと痛む程度であれば冷やすことで軽快しますが、冷やしても痛みが治らない場合は抗炎症作用のあるステロイドなどでの治療が必要となる場合もあります。

また東洋医学では、日焼けによる痛みが生じるのは身体の表面に余分な熱がこもることによるものとされ、治療には身体の熱を冷ます漢方薬を用います。

次の章ではこのような「日焼けによる痛み」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

日焼けによる痛みを予防・改善する3つの対処法

1.すぐに冷やして涼しい場所に移動する

日焼け後のケアは、やけどと同様に早ければ早いほど良いため、少しでもでも肌がヒリヒリし始めたら、保冷剤や冷たい濡れタオルで日焼けした部分を冷やすようにしましょう。屋外にいる場合はすぐに屋内の涼しい場所に移動し、水分補給をすることも大切です。
冷やすことで熱感や痛みが落ち着いてくるようであれば、しっかり保湿をして様子を見ても良いですが、その後に水ぶくれや発熱、頭痛、嘔吐などの症状が生じた場合は速やかに医療機関を受診するようにしましょう。

2.ビタミン補給で肌のターンオーバーを促進

日焼けによりダメージを受けた肌をいち早く回復し、痛みを解消するには、肌の新陳代謝を活発にしてターンオーバーを促すことが大切です。
ビタミンは肌の生成に重要な栄養素なので、肌の回復のためにも積極的に摂ると良いでしょう。特にオススメなのは、抗酸化作用があり、肌老化を防ぐ働きもあるビタミンA、ビタミンC、ビタミンEです。日焼けによる痛みを感じたら、毎日の食事に積極的に取り入れてみてください。

◎ビタミンAを含む食材:トマト・カボチャ・ニンジン・ホウレン草など
◎ビタミンCを含む食材:イチゴ・キウイ・オレンジ・ブロッコリーなど
◎ビタミンEを含む食材:アボガド・アーモンド・大豆など

3.日焼け止めをこまめに塗り直して日焼け予防を

日焼けによる痛みを生じさせないためには、日頃から日傘や帽子などで紫外線対策を行い、紫外線ダメージから肌を守ることが重要です。
海や屋外のプール遊びや、屋外でのスポーツをする際には日焼け止めを塗ることが有効ですが、日焼け止めは、塗った場所に紫外線が長時間当たることで、日焼け止めの成分である紫外線吸収剤が劣化して効力が落ちてしまいます。
長時間屋外で過ごす場合は、日焼け止めを一度塗っただけで済ませず、できれば2時間おきに塗り直すようにすると良いでしょう。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

日焼けによる痛みを改善するために、セルフケアに加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)です。日焼けによる熱感やヒリつくような痛みに対して、熱を冷まし、痛みを和らげる効果があります。また、日焼けの灼熱感にカユミや異常にのどが渇くなどがある場合は、白虎加人参湯(ビャッコカニンジントウ)がよいでしょう。
一方、痛みに加えてジュクジュクして赤みやかゆみの症状もある方には、炎症を和らげてかゆみと余分な水をとる効果のある消風散(ショウフウサン)もオススメです。

まずはよく冷やして痛みと熱感を鎮めましょう

今回は、日焼けによる痛みに悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
基本的に、痛みをともなうほどの日焼けはやけどをしたのと同様にとらえ、まずは患部をしっかり冷やして熱や痛みを落ち着かせ、水分やビタミンをたっぷり補給することが大切です。
冷やしても痛みが改善せず、発熱や嘔吐などがある場合は熱中症などのおそれがあるため、早めに医療機関を受診しましょう。
また、こうした日焼けにともなう症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

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